音楽ナタリー PowerPush - wowaka(ヒトリエ)×山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)
“ダンスロックバンド”の胸中
高速テンポでノレるお客さんはすごい
──BPMについても 「曲がそのテンポを求めてる」というところから高速になっていったんでしょうか。
wowaka どうだろう。でもうちは250BPMの曲がありますね(笑)。
山中 マジですか(笑)。
wowaka 取り方によっては125BPMにもできるけど、まあ速い。
山中 日本ってほんま独特ですよね。
wowaka うん、海外の音楽とはかなり違うよね。
山中 ノリ方が完全に違うんやなって。実際自分らが海外バンドのノリが好きでその要素を取り入れてやってみたけど、お客さんが想定とは違うノリ方をしたりとか(笑)。でも日本でどうやってのし上がっていくかって考えたときには日本人のお客さんが今何を求めてるかをしっかり考えるべきやと思う。高速のテンポであんなにお客さんがノレるのはすごいなとも思うし、「体力あるなー!」っていつも思いますけどね(笑)。
wowaka ははは(笑)。どこからなんの影響を受けてこういうシーンになってるかはいろんな理由があるから一概には言えないけど、今の時代って日本の演歌、歌謡曲、1990年代のJ-POPとかがバックグラウンドにあって、アニソンもボーカロイド曲もアイドルソングも情報としていっぱい受け取ってる人たちが作り手にも聴き手にもたくさんいるんだよね。僕自身はそういうバックグラウンドがあることを幸せだとは常々思ってて、日本に生まれてよかったなとすら思う。若手もどんどん育って出てきてるし、「閃光ライオット」って10代の子だけが出演してるでしょ。あれに出てるバンド観ると「うわ、うまいな」って思いますもん。
山中 もはや甲子園を観戦してる気分になりますよね、「あ、これで年下か」みたいな(笑)。年下の世代も新しいシーンを切り開いてる感じがしますね。だから面白いですよ、自分より若いバンドの音を聴くのも。
wowaka 例えばどういう人たちなの?
山中 The fin.とかHAPPYとか。彼らのやってる音楽って海外っぽい感じもする。自分らには自分らの考えがあってやってるんだっていう意思表示ができてる気もするし、すごいなって思います。
wowaka 僕らみたいないわゆる“高速四つ打ちシーン”と言われるところで戦っている人たちも、それとは違う下の世代のバンドシーンもそれぞれのやりたいことをしっかりやってるなら好きになれる。年下だからどうこうって考え方をしたことはないんですけどね。音聴くだけじゃ年齢もわからないし、それってちゃんと音楽自体にフォーカスされてるっていうことでいいことなんじゃないかな。
2015年は競演にも期待
──では最後に2015年の抱負を聞かせてください。
wowaka やっぱり音楽で発明したいですね。凝ったPVとか演出とかを考えてやるっていうのは今や当たり前になってきてるので、しっかりやるべきことができるようにしていきたいですね。
山中 wowakaさんっぽい(笑)。僕は“人”を見てもらいたいですね。オーラルの音楽をやってる人間を好きになってほしい。僕らと一緒に喜んだり悲しんだり、人としての感情が伴うバンドでありたいな。僕はオーラルのボーカリストとしての立ち位置がわからなかった時期があったんです。でも人間としての壁を取っ払ってお客さんと向き合うようになってから、自分たちの音楽を聴いてくれる人もライブに来てくれる人も増えたって実感があるんで、ライブでも普段のコミュニケーションでもそうだし、“人”同士で感情を共有して、2015年はこれまで以上に泥臭いバンドでやっていきたいなって思ってます。
wowaka 考え方の根本から泥臭いね(笑)。だからすごい好きなんだと思う。泥臭い人の生み出す音楽っていうのがライブでもCDでも如実に表れてるなってオーラルを見て感じるし、それってすごくいいなって思います。
──2015年は2組のコラボにも期待してます。
山中 面白いことしたいですよね。また飲み行って作戦会議して(笑)。
wowaka ほんとだね、何かできるといいね。
- ヒトリエ 1stフルアルバム「WONDER and WONDER」 / 2014年11月26日発売 / 非日常レコーズ
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3672円 / AICL-2785~6
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3672円 / AICL-2785~6
- 通常盤 [CD] 3024円 / AICL-2787
CD収録曲
- 終着点
- インパーフェクション
- N/A
- 5カウントハロー
- ピューパ・シネマ
- 癖
- NONSENSE
- ボートマン
- なぜなぜ
- 我楽多遊び
- ゴーストロール
- センスレス・ワンダー
初回限定盤DVD収録内容
<LIVE at LIQUIDROOM 20140418>
- ワールズエンド・ダンスホール
- (W)HERE
- センスレス・ワンダー
- 踊るマネキン、唄う阿呆
- ローリンガール
- THE ORAL CIGARETTES 1stフルアルバム「The BKW Show!!」 / 2014年11月12日発売 / A-Sketch
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3240円 / AZZS-28
- 通常盤 [CD] 2700円 / AZCS-1038
CD収録曲
- 嫌い
- モンスターエフェクト
- ハロウィンの余韻
- STARGET
- 自動販売機の男
- 僕は夢を見る
- リメイクセンス
- 起死回生STORY
- 大魔王参上
- 透明な雨宿り
初回限定盤DVD収録内容
~唇ツアー2014の巻~
- 出会い街
- 机上の空論に意味を為す
- mist...
- 大魔王参上
- 起死回生STORY
- Documentary of first one-man gig
ヒトリエ
wowaka(Vo, G)、シノダ(G, Cho)、イガラシ(B)、ゆーまお(Dr)の4人からなるバンド。ボーカロイド楽曲でサウンドクリエイターとして高い評価を集めていたwowakaが中心となり、ネットシーンで交流のあったシノダ、イガラシ、ゆーまおに声をかけ、2012年より活動をスタートさせた。同年12月には「ルームシック・ガールズエスケープ」、2013年4月には「non-fiction four e.p.」と立て続けに自主制作盤を発表し、同年4、5月に初のワンマンライブを行った。同年11月に開催されたワンマンライブ「hitori-escape:11.4 -非日常渋谷篇-」にて、ソニー・ミュージックグループ傘下に自主レーベル「非日常レコーズ」を立ち上げることを宣言。2014年1月にメジャーデビューシングル「センスレス・ワンダー」を発表し、2月にレーベル第2弾作品となるミニアルバム「イマジナリー・モノフィクション」をリリースした。4月には東名阪3都市を回るワンマンツアー「マネキン・イン・ザ・パーク」を行う。11月に1stフルアルバム「WONDER and WONDER」を発表し、12月から2015年1月にかけて初の全国ワンマンツアーを開催中。
THE ORAL CIGARETTES(オーラルシガレッツ)
2010年に奈良で結成された4人組ロックバンド。メンバーは山中拓也(Vo, G)、鈴木重伸(G)、あきらかにあきら(B, Cho)、中西雅哉(Dr)。アグレッシブかつ緻密に構築されたサウンドでファンを増やしていき、2012年には「MASH FIGHT!」にてグランプリを獲得する。2013年8月、1stミニアルバム「オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証」をリリース。2014年7月にメジャー1stシングル「起死回生STORY」、同年11月にアルバム「The BKW Show!!」を発表。アルバム発売後に開催したワンマンツアーは全公演ソールドアウトとなった。