アーティストをやっていて一番うれしい瞬間

──ひまりの楽曲を通して伝えたいことはなんでしょう？

松瀬　人の心や体を動かすってことですかね。例えば僕らの「Birthday」という曲は両親への感謝を込めた歌なんです。誕生日こそ親に「産んでくれてありがとう」を言うべきなんじゃないかって。で、それを聴いてくれたファンの方が「今日初めて親に言いました」とか「直接は言えないのでCDを渡しました」って教えてくれたりすると、曲を作った意味を感じるというか、その人の人生に少しでも届く音楽が作れたんだなって。そういうのがアーティストをやっていて一番うれしい瞬間ですね。

門松　何もせずあきらめる人たちって意外と多いんじゃないかと思うんです。でも、もう1回自分のやりたいことや夢、忘れてたものを呼び起こして、小さなことからでも始めてみようって。そんなふうに、音楽で人の心を前向きにできたらなって思ってます。

──またお2人は、ケーブルテレビのレギュラー番組「シンガーソングウォーカー」にも出演。ここではさまざまな体験をしていて、森や川の掃除に始まり、最近では手筒花火というアーティストらしからぬ挑戦までされていましたね。

松瀬　観ていただいてありがとうございます（笑）。「シンガーソングウォーカー」は、僕らの存在をまず知っていただくきっかけになっていると思います。純粋に楽曲でひまりを伝えるのは当然のことですが、そうじゃないところからも僕たちの音楽に触れてくれる方が増えたらと思っていて。アーティストがこんな旅番組をやらせてもらえてるなんてすごくありがたいことだし、芸人さんがやられるようなこともさせてもらっていて。そういう体当たりなところが番組では盛り上がっていますね（笑）。

門松　あと毎回僕らは収録の最後に曲を作って歌うんです。1日の体験を歌に込めて。そういうのは僕らにしかできないことかなって思いますし、視聴できる方はぜひ観ていただけたらと思います！

1日1日を卒業するように、前向きな気持ちで明日を迎えられたら

──最後に10月8日リリースの新曲についてのお話も。トリプルA面シングルとなっていて、ひまりが今までいろんな人や街と出会った経験からできた曲が収録されているそうですね。

門松　はい！ 前シングル「櫻」から1年8カ月空くんですが、その間、僕らは宮城でのラジオ収録のため毎月1～2回は宮城にお邪魔してるんです。震災後はボランティアから始めて、仮設住宅で歌わせてもらったりしたんですが、その中で東北の皆さんにはいっぱいの笑顔と出会いをもらって。それがきっかけでできた「櫻」を“東北の今”と共に日本各地に自分たちの足で届けていくという活動を今も続けているんです。で、その中でまたいろんな出会いがあって、そこから生まれたのがこの3曲。共通するテーマとしては、いい日も苦しい日もそれぞれあるけれど、1日1日を卒業するように、前向きな気持ちで明日を迎えれたらいいよねっていう思いです。

松瀬　なんでもそうだと思うんですけど、自分にとってマイナスなことが起きたとき、それを悲しいと取るか、ここから前向きに進んでいこうと取るかだと思うので。このCDが僕らにとってもいい岐路になればいいなと思ってます。

──1曲ずつ簡単な解説もいただけますか？

門松　「坂道～Graduation～」はぜひ来年の卒業シーズンに歌ってもらえる曲になったらなと。ラストにみんなで合唱できるような部分もあって、そこはひまりのライブにもぴったり合うんじゃないかなって思います。2曲目の「想い出にかわるまで」は切ないバラード。地方のラジオに出させてもらうと、男性DJの方が共感してくださって一緒に盛り上がることが多いですね。

松瀬　僕らよりちょっと上くらいの各局の男性DJさんが、めっちゃ気に入ってくれてるんです。

門松　男子って、失恋してもそれを思い出に変えられないって言うじゃないですか。だから女子の皆さんには、男子はこういう気持ちなんだよっていうのをちょっとでも感じてもらえたらなって思いますね（笑）。

──そして3曲目「雪のようなMerry X'mas」。これは冬が待ち遠しくなるロマンチックなクリスマスソングですね。

松瀬　松井五郎さんに歌詞を書いていただいたんですが、一番メジャー感のある曲だと感じてます。すでにライブでは披露していて反響もいいので、僕らはやっとCDで聴いてもらえるなって感じです。3曲とも完成するたびに「めっちゃいいのできたなー」って言ったくらいの自信作なので、早くいろんな人に聴いてもらいたいです。