ナタリー PowerPush - HighApps BY HIP LAND MUSIC

個性派ライブイベントを徹底解剖

HIP LAND MUSICが主催するライブイベントシリーズ「HighApps」。このイベントがツアー「HighApps Tours」に拡大し、6月に高松、福岡、広島、札幌、仙台の5都市で開催される。

今回ナタリーでは初の全国ツアー開催を記念し、改めて「HighApps」の魅力を掘り下げる特集を展開。同ツアーのホスト役ともいえるavengers in sci-fiの木幡太郎(Vo, G, Syn)とThe Flickersの安島裕輔(Vo, G, Syn)の両フロントマン、そしてそしてイベントプロデューサーであるヒップランドミュージックコーポレーションの野村達矢のコメントを交え、イベントの意義と出演バンドの本音を多角的に検証する。

取材・文 / 柴那典 撮影 / 福本和洋

 
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ライブイベント「HighApps」とは?

サカナクションなどが所属するマネージメントオフィスHIP LAND MUSICが主催するライブイベント「HighApps」。次世代を担うバンドやアーティストをいち早く紹介する同イベントが、6月に「HighApps Tours」として初めてツアーの形で行われる。

参加バンドは、avengers in sci-fi、The Flickers、2013年より新メンバー加入で5人組となったCzecho No Republic、さらにKANA-BOON、THE ORAL CIGARETTESという関西出身の新鋭2組。ダンスロック、インディポップ、ギターロックというさまざまなジャンルのバンドがラインナップされた。

2011年9月の初開催から、今回で14回目を迎えたシリーズライブの「HighApps」。その狙いとコンセプトはどこにあるのか? イベントプロデューサーの野村達矢(ヒップランドミュージックコーポレーション取締役執行役員)はこう語る。

「昨今の音楽シーンは、これまでのCDをはじめとするリリース主導のスタイルではなく、ライブやイベントに軸を置く形で進めていく形に移行してます。その発信源の1つとなるイベントが、これまでは媒体やイベンターが主催のものがほとんどだったんですが、その中であえてマネージメントが立ち上げるイベントを作ろうと思いました。1万人以上の人が集まる大型フェスがここ10年くらいの音楽ファンの注目を集めてきています。とはいえ、年に1度のお祭りになりつつもあり、その場限りの音楽体験で終わってしまっている人も少なくはありません。そういうことも含めて、ミドルサイズもしくはスモールサイズで楽しい音楽体験ができる場を少しでも多く提供していかなくてはという使命があります」

「HighApps」には独特の怖さがある(木幡太郎)

単なるライブイベントではなく、新たな試みを意欲的に導入しているのが「HighApps」の特徴。その1つは柔軟なコラボレーションだ。これまでにもタワーレコード「踊るロック」、New Audiogram、Livemastersと共同企画によるコラボイベントを開催し、さまざまなコンセプトのラインナップを実現してきた。

左から山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)、安島裕輔(The Flickers)、木幡太郎(avengers in sci-fi)、武井優心(Czecho No Republic)、谷口鮪(KANA-BOON)

そしてもう1つが、Ustreamでのライブ生配信を実施してきたこと。会場に来ることのできないファンもイベントをリアルタイムで体験でき、Twitterと連動することで視聴者も会場のファンも同じくイベントに参加することができる。リアルとネットが同期する新しいエンタテインメントのあり方をライブハウス発信で打ち出してきたことが「HighApps」の大きな個性になっている。

そして、そのことは出演するバンドたちにも大きな影響を与えているようだ。これまで定期的に同イベントに出演してきたavengers in sci-fi・木幡太郎はこう語る。

「『HighApps』は新しいことをするんですよ。それがまた緊張するんですよね。独特の怖さがある。本当にライブがいいバンドじゃないと淘汰されるという。楽屋でも、自分の出番の前に、他のバンドのステージをUstreamで観たりしますからね」

また、彼にとっては世代やジャンルの異なるバンドと同じステージに立つことで受ける刺激も大きいようだ。

「例えば仲間内のイベントとか、仲のいいバンドとやるイベントじゃなくて、完全に世代の違う人たち、新しく出てきた人たちと継続的に対バンする機会がある。そこも大きいですね。バンドマンって、同じ稼業に見えても、それぞれ別の世界、違う常識を持っていたりするんですよ。『HighApps』ってそういうことがわかるイベントで、いつも『負けねえぞ』みたいな気持ちがありますね」

盛り上げ合戦だけじゃシーンは面白くならないから(安島裕輔)

avengers in sci-fiと同じくThe Flickersも「HighApps」に継続して登場してきたバンドだ。最初の出演は2011年9月、第1回目「HighApps」のときまでさかのぼる。

「あのとき、うちのバンドはまだCDも出してなかった頃で。初めて対バンするプロのバンドがアベンズだった。そこで太郎さんに会って、ライブが終わった後に話しかけてくれて、すごく優しかった。それがうれしかったのを覚えてます」

左から安島裕輔(The Flickers)、山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)、武井優心(Czecho No Republic)、木幡太郎(avengers in sci-fi)、谷口鮪(KANA-BOON)

フロントマンの安島裕輔(Vo, G, Syn)は当時をこう振り返る。そこから2年近くのキャリアを経て、初のフルアルバム「A PIECE OF THE WORLD」のリリースを6月に控えた彼ら。イベントに対しての思い、音楽シーンに対しての思いも大きくなっているようだ。

「ライブに出るときはいつも緊張するし、『負けたくない』って気持ちも当然あるんです。でも、最近、それだけじゃなく大事にしたいことがあって。『負けたくない』だけだと、盛り上げたもん勝ちじゃないですか。でも、盛り上げ合戦だけじゃ、ライブも、音楽も、似たものになっていく。そうしたらシーンは面白くならないと思うんです」各種の大型ロックフェスが音楽リスナーの生活に根付き、シーンを活性化してきたここ十数年。だからこそ「HighApps」はそことは違う形でバンドの魅力を伝える場であってほしいと、彼は語る。

「今の音楽シーンって、サバイバルな世界だと思うんですよ。でも、『のし上がろう』とか『生き残ろう』とか、そういうことばかりを考えて、本当はなんでその曲を作ったかっていう大事なことを忘れたくないんです。僕らだけじゃなくて、どんなバンドでもそうだと思う。だから、ただのお祭りじゃなくて。お客さんの人生とか生活に持って帰れるものがあってほしい。そこは大事にしたいと強く思います」

新世代のアーティストがいち早く集うイベントとして着実に定着を果たしてきた「HighApps」。ライブだけでなく、登場するバンドが次の音楽シーンをどう作っていくかも、見どころの1つだと言っていいだろう。

「HighApps Tours」公演情報

2013年6月3日(月) 香川県 高松DIME
OPEN 18:00 / START 18:30
<出演者>
avengers in sci-fi / The Flickers / KANA-BOON / THE ORAL CIGARETTES
2013年6月5日(水) 福岡県 福岡Queblick
OPEN 18:00 / START 18:30
<出演者>
avengers in sci-fi / The Flickers / KANA-BOON / THE ORAL CIGARETTES
2013年6月6日(木) 広島県 広島ナミキジャンクション
OPEN 18:00 / START 18:30
<出演者>
avengers in sci-fi / The Flickers / KANA-BOON / THE ORAL CIGARETTES
2013年6月14日(金) 北海道 札幌DUCE
OPEN 18:00 / START 18:30
<出演者>
avengers in sci-fi / The Flickers / Czecho No Republic / THE ORAL CIGARETTES
2013年6月16日(日) 宮城県 仙台CLUB JUNK BOX
OPEN 18:00 / START 18:30
<出演者>
avengers in sci-fi / The Flickers / Czecho No Republic / THE ORAL CIGARETTES

チケット料金:
前売 2800円 / 当日3300円(※ドリンク代別)

詳細はリニューアルされたばかりの「HighApps」サイトで確認を。