しっかりした後輩にTJタジタジ
──「10年を経てもはや何も怖くはない」という発言が先ほどありました。しかし、MAKIさんは加入からは、ちょうど1年です。MAKIさんとしては、今作でいきなり幅が広がったことに戸惑いもあったのでは?
MAKI 戸惑いはなくて、僕はバンドが決めた方針自体が正解だと思っているので。むしろ、「ああ、こういう音楽もHNIBでできるんだ!」っていう気持ちのほうが強くて、このバンドにより可能性を感じました。結成から11年というタイミングでこういうアプローチの曲もできるようになるんだ、というふうに考えると自分ができることの可能性がこれからもっと広がってくるし、楽しみ方も増えるし。しかも実際、やりたいことができていますし、自分で今までやってこなかったこともやるようになってきて、それすらも楽しめてます。
──加入当初と現在を比べると、このバンド自体のイメージは変わってきていますか?
MAKI いや、それは変わっていないです。シャウトばかりじゃない曲、という話がさっき出ましたけど、実は僕が加入するずっと前から、それこそ1stアルバム「DECADENCE」(2010年発表)から聴き返してみても、実はいろんなところにメロディが入っていたと思うし。
──メンバーの人間的な部分ではどうですか?
MAKI やっぱヤバいですね、TJさんは(笑)。
一同 (笑)。
TJ 僕からすると、MAKIは人として先輩ですから(笑)。すごくしっかりしてるんで。今もしゃべりがすごくうまいなあと思いながら横で聞いてました(笑)。
──つまり年齢的にMAKIさんが後輩ではあるけれども、人としてはTJさんが一番後輩ということですか? なんか僕、失礼なことを言ってる気もしますが。
MAKI はははは!(笑)
TJ そうですね、僕がこのバンドにおける……。
MAKOTO 最底辺です(笑)。
TJ 本当に口下手でバカなんです。
MAKOTO 話をまとめると、MAKIの加入から1年経って、いよいよTJのボロが出てきた、ということなんです(笑)。MAKIも1年前はいろいろ探り探りで活動してたとは思うんですけどね。
──そんなMAKIさんにTJさんは一応、先輩風を吹かせてみたりもしたわけですか?
TJ まあ、そうですね(笑)。
MAKOTO それまではTJが最後に加入したメンバーだったから、バンド内に後輩ができたことで、TJなりにMAKIに対していろいろ気を使っていたんですよ。あとから加入した人の気持ちがわかるから。TJが後輩に対してケアとかフォローをしてきたんだけども、だんだんとボロが出てきて……。
TJ 最終的には僕がケアされるようになった(笑)。
──バンド内の図式が、改めてよくわかりました。
MAKOTO ちょっと人間的なヒエラルキーが変わってきたのかな。まあでも、そういう意味でもMAKIはなじんだよね。
TJ なじんだと思う。
MAKI そうですね。今回のレコーディングは以前に増してやりやすかったです。
届く音、伝わる音を考えて出た答え
──活動を10年重ねてきた今、怖いものはない。IKEPYさんが歌えばHNIBの音楽になる。そうした意識ばかりじゃなく、ここのところの活動の幅の広がりもこの作品には影響しているように思うんです。
MAKOTO うん。イベントでのライブやツアーをやってきて、音がめちゃくちゃ悪い場所でもやってきました。それこそフェスだと、ごはんを食べるエリアとか、ステージから離れた場所で音を聴いてる人たちもいますよね。そこで「あ、ちょっとこれは気になるぞ」と思ってもらえるサウンドにするにはどうしたらいいか、というのも考えました。その答えが“シンプル”だったんです。
──なるほど。
MAKOTO そういう環境で聴いてもノリや雰囲気が伝わるものを目指しました。一昨年、ツアーでヨーロッパを1カ月回って、当然オープナー(一番手)だからろくにサウンドチェックもできないし、音もよくない。そこでさらに曲が複雑だと、やっぱり伝わらないわけですよ。そういうところでシンプルの重要性を学んだ経験も生かされてます。
──シンプルさというものを意識すると、曲作りの段階でもかなり違いが出てきます?
DAIKI そうですね。ただシンプルに作ると言うよりは、耳に残るもの、聴きどころを明確にすることをすごく意識しました。昔はいろいろ手数も多くて、複雑なことをやっていたけども、やっぱり初めて僕らのライブを観る人にはそういうのが伝わりにくいし。
TJ すごく聴き込んでいるお客さんだけだったら、話は違ってくるんですけどね。
DAIKI 僕らの曲に初めて触れる初見の観客が、観終わったあとでついつい口ずさんじゃうような感じというのを……。
──口ずさめるようなリフのような?
DAIKI そうそう。自分がそういうキャッチーな音楽を聴いて育ってきたんで。そこに関しては、さほど考え込まずにできましたし、自信もありましたね。
──これまでは「このままだとストレートすぎるんじゃないか?」と考えて、楽曲にひねりを加えていたのに対して、閃きをストレートに出せるようになったわけですね。
DAIKI そう。これまで以上に思ったままのバンドサウンドが出せるようになった感じすらあります。
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IKEPYとカラオケに行ってできた曲
- HER NAME IN BLOOD「POWER」
- 2018年4月4日発売 / Warner Music Japan
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[CD]
2808円 / WPCL-12856
- 収録曲
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- POWER
- DARK
- KATANA
- SAVIOR
- MASK
- KINGSLAVE
- IDENTICAL
- CALLING
- FALLEN
- FORSAKEN
- SIMPLE THINGS
- HER NAME IN BLOOD「FULL POWER TOUR 2018」
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2018年5月4日(金・祝)宮城県 仙台MACANA
<出演者> HER NAME IN BLOOD / NOISEMAKER2018年5月10日(木)愛知県 CLUB UPSET
<出演者> HER NAME IN BLOOD / 打首獄門同好会2018年5月11日(金)大阪府 soma
<出演者> HER NAME IN BLOOD / ANOTHER STORY2018年5月13日(日)福岡県 Queblick
<出演者> HER NAME IN BLOOD / GYZE2018年5月17日(木)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
<出演者> HER NAME IN BLOOD
- HER NAME IN BLOOD(ハーネイムインブラッド)
- IKEPY(Vo)、DAIKI(G)、TJ(G)、MAKOTO(B)、MAKI(Dr)からなるメタルコア / ラウドロックバンド。2008年に活動を開始し、BEFORE MY LIFE FAILSとスプリットCDをリリース。同年開催された「Taste Of Chaos 2008 in Japan」への出演を経て、全国各地でライブ活動を展開していく。2010年に1stフルアルバム「DECADENCE」を発表。以降、数多くの海外アーティストの来日公演でサポートを務めるほか、「SCREAM OUT FEST」など大型イベントにも出演した。2013年末から2014年初頭にかけては、中国でのフェス出演を含むアジアツアーを実施。2014年4月にフルアルバムとしては約4年ぶりとなる「HER NAME IN BLOOD」をリリースし、同年5~9月に全国ツアー「RETURN OF THE BEAST TOUR 2014」を行った。2015年6月にWarner Music Japanよりメジャーデビューすることを発表し、9月にミニアルバム「BEAST MODE」をリリースした。10月にはデビュー作のレコ発ツアーをスタートさせたほか、アメリカで行われたSlipknot主催のライブイベント「KNOTFEST 2015」に出演し、Judas Priest、Korn、Mastodonらと競演。11月にはオジー・オズボーン主催によるライブイベント「Ozzfest Japan 2015」に参加した。2016年9月にフルアルバム「BAKEMONO」をリリースし、11月に初のヨーロッパツアーを行った。12月に前任ドラマーUmeboが脱退。2017年4月に新ドラマーとしてMAKIが加入した。5月に5曲入りCD「FROM THE ASHES」を発表。その後、「Resurrection Tour 2017」を開催したほか、Megadeth、Anthraxの来日ツアーや、「SATANIC CARNIVAL’17」などに出演した。2018年4月にMAKI加入後初のフルアルバム「POWER」をリリース。同月に香港でライブを行い、5月より「FULL POWER TOUR 2018」を開催する。