音楽ナタリー Power Push - HARUHI

映画「せか猫」主題歌でデビューする17歳

ミュージカル経験を経て、オリジナル曲を作るように

──本番を迎え、ステージで歌ってみてどうでした?

人前で歌うということが人生においてどれだけ素晴らしいかということに気付きました。今もライブをするときはそうなんですけど、緊張よりも楽しい感情しかないんですよ。だから初めてステージに立った瞬間に「音楽を絶対やりたい!」って思ったし、自分の曲で自分の考え方や世界観を表現できたらもっと面白いだろうなって思ったんですよね。

──ミュージカルに出演したことで学校生活に何か変化はありましたか?

そうですね。全然話したことがなかった子に「すごかったね!」「HARUHIって歌えるんだね!」って言ってもらえるようになりました。それによって自分自身も成長できたし、モノの考え方もちょっと変わったりして学校もだんだん楽しくなっていきました。

──そのタイミングで一度は辞めたピアノやギターをもう一度やり始め、オリジナル曲を作るようになったんですよね。

そうなんです。最初はどうやればいいのかも全然わからないし、書きたい気持ちはあるのにすごくビビってましたね。当時はまだギターもうまく弾けなかったから、知り合いにギターでコードを弾いてもらって、そこにメロディや歌詞を乗せて作っていった感じ。で、1曲作ったら、それ以降はいろんな曲がどんどん出てくるようになって。

──最初に作ったのはどんな曲だったんですか?

「Always」ってタイトルのラブソングでした。そういうテーマが一番書きやすいかなと思っていたんです。で、周りの人に聴かせたらけっこう評判がよかったし、それは自分でも気に入ってます。そのあとにできた何曲かは、今聴くと全然よくないですけど(笑)。

──HARUHIさんが曲を書く上で大事にしてることは?

歌詞に関して言うと、前は単純に響きのキレイな言葉を選んで書いていた感じだけど、今はちゃんと意味や世界観を作らないとダメだなと思ってます。そういう歌詞を初めて書けたなって自分で思ってるのが、シングルのカップリングに入ってる「The Lion is Calling Me」ですね。自分が作った中では今一番好きな曲。メロディに関してはもう感覚でしかないかな。親友の子とか周りの人に聴いてもらうと、いいか悪いかを素直に教えてくれるから、そういう意見を参考にしてジャッジすることもありますね。

──HARUHIさんの曲を聴くと秘めたる才能を感じるんですよ。そこは狙って出せるものではないと思いますけど、ほかのアーティストにはないものを提示していきたいっていう思いはありますか?

ベーシックなこと、普通なことが好きじゃないってとこはあります。ちょっと変わった考え方が好きっていうか。みんなと一緒はイヤだから、トレンドとかを避けたりすることも多いですね。学校ではみんな黒髪か茶髪のロングだけど、同じじゃつまんないじゃんって思っちゃうから私はこういう髪型にしてるし。学校はいわゆる制服っていうのはないんですけど、みんなスカートでいる中、私はスウェット履いてますからね(笑)。曲を書くときもそういう感覚はあると思います。面白いコンセプトを持っていて、聴くたびに歌詞の意味合いが変わるような複雑な世界を持った曲が好きだから。

──では、歌に関してはどう思っていますか?

テクニックを完璧にするよりかは、例えばちょっと声が割れていたり、泣いた感じの声になっていたりしたとしても、感情がしっかり出てるなら、そういう歌のほうがいいと思ってます。カップリングに入ってる「Empty Motion」なんかはちょっと怒りが入った曲だから、そういう表現をしようと思ったし。音楽を聴くときもそういうボーカリストの曲に惹かれることが多いですからね。Paramoreとかジョス・ストーン、エイミー・ワインハウス、あとPanic! at the DiscoとかTwenty One Pilotsのボーカルも好きですね。

──HARUHIさんの歌声にはそういった海外アーティストに近い雰囲気を感じます。

どうなのかな。もうちょっとこんなふうに歌えたらいいなって思うことはもちろんあります。例えば5年前にケータイのボイスメモに録った自分の声を聴くと昔はほんとに歌えなかったんだなって思います(笑)。英語の曲はもちろん、まだあまり歌っていない日本語の曲はここからもっともっと努力しないといけないですね。自分がリスペクトするボーカリストの歌を「私ももっとこうやればよかった」と思うことも多いですし。

──ここからまだまだ変化していく部分もあるでしょうしね。

そうですね。声もまだ全然子供だからこれからどんどん変わっていくんじゃないかなって思います。この5年でもかなり変わってきたわけだから。

1stシングル「ひずみ」 / 2016年5月11日発売 / Sony Music Associated Records
初回限定盤 [CD+DVD] / 1500円 / AICL-3104~5
通常盤 [CD] /1200円 / AICL-3106
CD収録曲
  1. ひずみ
  2. あたたかい光
  3. Empty Motion
  4. The Lion is Calling Me
初回限定盤DVD 収録内容
  • 「ひずみ」ミュージックビデオ
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HARUHI(ハルヒ)

アメリカ・ロサンゼルス生まれ、17歳の女性シンガーソングライター。13歳から楽曲制作を開始し、歌唱表現力や楽曲のクオリティに音楽業界からの注目が集まる。川村元気のベストセラー小説が原作で、佐藤健と宮崎あおいが主演を務める映画「世界から猫が消えたなら」の主題歌を表題曲とした1stシングル「ひずみ」で2016年5月にメジャーデビュー。今作の表題曲は小林武史のプロデュース曲で、カップリング曲「Empty Motion」「The Lion is Calling Me」ではHARUHI本人が作詞作曲を手がけ、「あたたかい光」は小林武史と共同制作を行った。6月11日に東京都内にてSony Music Shopでの「ひずみ」先着購入者を対象としたプレミアムライブを行う。