音楽ナタリー Power Push - 日本工学院ミュージックカレッジ presents HACHI-ON
佐香智久×夏代孝明×学生座談会&授業レポートで迫る、学生主催ライブの裏側
20人に囲まれた事務員G
──お2人は本番前のリハーサルから学生さんたちと関わっていたと思うんですけど、学生さんと一緒に仕事をしてみて、いかがでしたか?
夏代 いや、本当に何も困らなかったです。
佐香 すごく丁寧に接していただいて。
夏代 バンドメンバーの事務員Gさんのキーボードの音が出なかったときに、それを解明するために、20人ぐらいの学生さんたちが彼を囲んでいて。結局、事務員Gさんがシールドを挿し間違えてたのが原因だったんだけど……(笑)。
佐香 そうだったんだ(笑)。
──学生さんたちは、今日のためにどんなことをがんばってきましたか?
大石佳歩 私はお2人のマイクのセッティング担当だったので、どのマイクを使うか決めたり、スタンドが途中で下がってこないようにスタンドをお掃除したりとか。
佐香 わー、ありがとうございます! 弾き語りだとなお、ギター持ってるから下がってくると大変なんだよね(笑)。
三村 私は学校の行き帰りにずっと「ゲッタバンバン」と「愛言葉-special ver.-」を聴いて、「ここの照明はこうしたらいいかな?」っていうのをイメトレしてましたね。
佐香 めちゃめちゃうれしいです。僕もライブ前に「この曲こんなふうに照明当ててくれたらいいなー」って想像することがあります。
夏代 今日はどうでした?
佐香 「もっとこうしてほしかった!」みたいなのが全然なかったです。曲の展開に合わせてスポットライトを当ててくださったし、楽しくできました!
好きなものを何か1つ見つける
──お2人はPAや照明を始めとしたスタッフと、この先ライブで関わることがあると思います。学生さんたちにどんなスタッフになってほしいですか?
佐香 やっぱり話しかけてくれるとめっちゃうれしいですね。「どうですか?」ってコミュニケーションを取ってくれたりだとか。もちろん技術は大事なんですけど、人柄が好きだからその人にやってもらいたいっていうのがあって。愛がある方とご一緒させてもらうと、やっぱりすごくいいライブになるんですよね。
夏代 PAさんが「この部分はもっとみんなに聞こえやすくしたい」っていうこだわりを持って、調整してくれたことがあったんだけど、そういうふうに愛を持って自分のこと考えてくれてるのはすごいうれしいよね。
佐香 だからさっき言ってた、スタッフの皆さんが事前に僕の曲やなっちろ(夏代)の曲を聴いて、考えてくれてたっていうのは一番うれしいことだよね。そして今日、そんな皆さんの第1歩に関われたのがすごく光栄です。今日のライブはこの先もずっと覚えてると思う。
夏代 俺も心に残ると思う。みんなに子供ができたときに「佐香智久と夏代孝明のライブのスタッフをやってたんだよ」って言ってもらえるようになりたいよね。
佐香 うん。もしみんなが大人になってから、「そういえばさあ、佐香智久と夏代孝明っていたよね?」「あー! 売れなかったねー!」って言われてたらやだよね(笑)。
夏代 それ悲しいね!(笑) みんなの思い出の一部として、よりよいものになるために俺たちもまだまだがんばっていかなきゃね!
──最後に音楽業界で活躍する先輩として、学生さんにアドバイスをお願いします。
夏代 やっぱり自分が一番楽しめるものをやり続けるのがいいんじゃないかなって。仕事以外のところでもいいし、仕事自体がそれでもいいと思うんだけど、好きなものを何か1つ見つけておくと、この先の人生が楽しくなると思います。俺たちはたまたま音楽だったけど、それがイラストでも、ダンスでも、なんでもいいと思うんですよ。自分が自信を持って好きって言えるものを持って、人生を楽しみましょう。
佐香 本当にそうだと思う。もし今自分が思う道と違う道に進んでしまうことになっても、全然いいと思います。好きなものは自分の芯として1つ持っておいてさ。あと何度も言うけど、今日僕は皆さんと一緒にライブを作れたことが光栄だし、卒業制作に関わることができてすごくすごくうれしかったです。「いつか皆さんにまたどこかで会えたらいいなあ」と思いながら過ごしていくので、お互いがんばりましょう。
日本工学院ミュージックカレッジ
日本工学院ミュージックカレッジは、コンサート・イベント科、ミュージックアーティスト科、レコーディングクリエイター科、ダンスパフォーマンス科の全4学科で構成される。コンサート・イベント科はコンサート制作コース、コンサートPAコース、コンサート照明コース、コンサート舞台コース、イベント企画コースの5コースからなる学科。生徒たちはコンサートやイベントの最前線で活躍するスタッフになるべく、プロと同じ環境で学んでいる。毎年夏と冬には東京・赤坂BLITZやオリンパスホール八王子で、学生たちの手によって作り上げられたイベントが開催される。
佐香智久(サコウトモヒサ)
1991年北海道生まれのシンガーソングライター。中学時代に初めてアコースティックギターを手にし、高校入学後、作曲活動を開始。2009年に「少年T」名義で動画共有サイトにオリジナル楽曲の投稿を開始するとそのさわやかな歌声に「癒やし声の神」などのコメントが集まり、これまでに自身が参加した動画の総再生回数は1000万を超える。2012年にシングル「愛言葉」でメジャーデビューしたあとは、アニメ「君と僕。2」のオープニングテーマ「ずっと」、「絶園のテンペスト」エンディングテーマ「僕たちの歌」など話題作を次々と発表。また2013年夏には舞台「タンブリングvol.4」で役者デビューも果たしている。2015年4月、アニメ「ポケットモンスター XY」のオープニングテーマ「ゲッタバンバン」をリリース。同年7月には2ndアルバム「僕から君へ」を発売した。
夏代孝明(ナツシロタカアキ)
1992年生まれの男性シンガー。動画共有サイトに“歌ってみた”動画を投稿したことで話題を集め、2011年11月にオリジナル曲「星の歌」を発表した。2014年には東阪で自身初となるワンマンライブツアーを開催し、両公演共にソールドアウトさせる。2015年1月に1stアルバム「フィルライト」をリリース。同作にはbuzzG、40mP、西沢さんPら人気ボカロPが書き下ろした楽曲などが収められている。