GO TO THE BEDS / PARADISES、メンバーまるごと入れ替えの意味を問う

音楽事務所WACKに所属するGO TO THE BEDSとPARADISESは、数奇な運命をたどっている。2組はもともとGANG PARADEに在籍していたメンバーが分裂する形で生まれたグループで、コロナ禍中の2020年4月に始動した。それからオーディションによる新メンバー追加などを経た2021年10月、WACK代表・渡辺淳之介は「TOKYO IDOL FESTIVAL 2021」のステージで突然の発表をして、メンバーならびにファンを驚かせた。

「GO TO THE BEDSとPARADISESのメンバーをすべて交換させていただきます。GO TO THE BEDSのメンバーはPARADISESに加入、PARADISESメンバーはGO TO THE BEDSに加入となります」(渡辺淳之介)

前代未聞の2グループのメンバー総入れ替えという発表に続けて、12月15日に発売された2組によるスプリットEP「G⇔P」の発売が告げられた。新体制になったGO TO THE BEDSとPARADISESそれぞれの新曲は、GO TO THE BEDSがテラシマユウカ作詞の「merry bad end」、PARADISESがヤママチミキ作詞による「you」だ。音楽ナタリーでは2組から、GO TO THE BEDSの月ノウサギ、キャ・ノン、PARADISESのヤママチミキ、チャンベイビーを迎え、サプライズ発表のあった「TIF 2021」後にあった出来事や、それぞれのグループにかける思い、新曲の内容などについて話を聞いた。

取材・文 / 田中和宏撮影 / 宇佐美亮

突然の“G⇔P”総入れ替え

──GO TO THE BEDSとPARADISESは2020年3月末に始動が発表されたグループで、GANG PARADEのメンバーが2組に分かれて誕生しました。あれから1年半以上が経ち、今年3月には各グループに新メンバーが加入。10月には「TOKYO IDOL FESTIVAL 2021」のステージ上でのサプライズ発表で、グループのメンバーがまるごと入れ替わることがアナウンスされました。多くのファンが驚いたと思いますが、改めて当時、皆さんはどんな気持ちだったんですか?

月ノウサギ(GO TO THE BEDS) 私たちもびっくりしましたよ! GO TO THE BEDSの曲を歌えるのがすごく楽しみだなというワクワクした気持ちもありましたが、頭がびっくりしていて。お家に帰って1人になったとき「もしかするとPARADISESの曲をパフォーマンスするのは今日が最後だったのかもしれない」と寂しくもなりました。GO TO THE BEDSを歌えるワクワクとPARADISESの曲をこれからもう歌えないんだという寂しさの2つが一気に押し寄せてきました。

月ノウサギ(GO TO THE BEDS)

月ノウサギ(GO TO THE BEDS)

ヤママチミキ(PARADISES) 本当に突然でびっくりしたし、私もGO TO THE BEDSの曲を歌うのは今日が最後だったんだなという思いはありました。トレード発表前からもともとGO TO THE BEDSのことを好きだとは思っていたけど、GO TO THE BEDSのことを好きだったんだと再確認した感じもある。でも大好きだったからこそ、またいつかGO TO THE BEDSの曲をできるかもしれないという思いを持ちつつ、PARADISESとしてやっていく覚悟をわりとすぐに持ちました。

キャ・ノン(GO TO THE BEDS) 「TIF」のWACKステージでは当日に突然、GO TO THE BEDSとPARADISESに関する発表があるから、集まっておいてとスタッフさんから言われていたんですよ。これまでもWACKはいろいろなサプライズを発表していましたよね。私もWACK加入前からそういう現場を見てきたので、何かしらあると思っていたし、何があってもがんばろうって気持ちで最初から構えていました。だからメンバーまるごと入れ替えるという発表にはびっくりしたけど、受け入れられないほどの衝撃ではなくて。がんばれることでよかったなって(笑)。

月ノ キャ・ノンが発表後に言っていたんですよ。「こういうのって、ホントに事前になんも知らされないんだね」って(笑)。「そうなんだよ! いつだって何も知らないんだよこっちは!」って。

──WACK人事はいつも突然ですね。チャンベイビーさんはどう思ったんですか?

チャンベイビー(PARADISES) 私はGO TO THE BEDSがすごく好きだったので、最初は寂しかったです。性格的にネガティブなので不安な気持ちもあったんですけど、メンバー(ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン)がみんなポジティブな人たちだったので、気持ちの面で引っ張ってくれました。だからすぐに頭を切り替えられたし、PARADISESでの活動が楽しみになりました。

チャンベイビー(PARADISES)

チャンベイビー(PARADISES)

──これまでいろいろ経験しているヤママチさんからすると、「切り替えないとやってられない」というところも正直ありますよね。

ヤママチ そうですね(笑)。あとはトレードもそうだけど、何か変化があるときは、何かしら自分たちに問題があったり、テコ入れをしないとダメだったりする状況だと思うんです。私たちとしては、WACKで活動できること自体がすごくありがたいことなので、この変化をバネにして全力で取り組みたいです。それと、あとから入ったメンバーのケアをするのは既存メンバーの役割です。一体感を高めて、一緒に前を向いて進めるように。さっきベビが言ったみたいに、ちゃんと気持ちを切り替えられたと言ってくれたのはよかったなと思います。

GO TO THE BEDSとPARADISESメンバー、初めて全員で話し合った

──トレード決定後、2組がそろって話し合うことはあったんですか?

ヤママチ トレードが決まってから1回会ったよね。

ヤママチミキ(PARADISES)

ヤママチミキ(PARADISES)

月ノ 発表の翌日くらいにね。お互いのグループの印象や曲をどうパフォーマンスしていたかなどを意見交換しました。GANG PARADEからGO TO THE BEDSとPARADISESに分かれたとき、もともと同じグループのメンバーなのにGO TO THE BEDSはカッコよく、PARADISESはキラキラという具合にカラーが真逆の2グループができて。分かれてからは、あえて互いのグループが関わらなかったということがあったんですよね。だから「TIF」のあと、ちゃんとひさしぶりに全員で集まったんですけど、今年入ったキャ・ノンとかベビもそうだし、(キラ・)メイちゃん(キラ・メイは2020年3月に行われた「WACK合同オーディション2020」でPARADISESに加入)を含めて集まったのは本当に初めてだったので新鮮でした。で、初めて2組のメンバー同士で会ったときに思ったんです。「GO TO THE BEDSとPARADISES、これからお互い一緒にがんばっていこうね」とコンタクトする機会を今回のトレードでいただいたんだなって。

──新体制になるにあたって、グループの方向性をどうするかについても考えたんですか?

ヤママチ トレード発表が終わったあとすぐ、楽屋で渡辺さんからいろいろ話をしてもらいました。「メンバーがグループの固定観念にとらわれすぎている」と。GO TO THE BEDSはカッコよくやらなきゃとか、PARADISESはかわいくてアイドルらしくキラキラやらなきゃみたいな。「そういうことを考えずに楽しまないとダメだよ」と言っていただいたので、固定観念をぶっ壊すのも大事と思いつつ、新PARADISESのメンバーだけでも改めて話し合いました。そこで改めてわかったのは、PARADISESの楽曲がすごく強い、とてもいいということだったんです。PARADISESを改めてみんなで聴いて、自分が思っていた以上にメッセージ性が強いし、キラキラしているだけでもアイドルらしい感じだけでもない。そんな楽曲が多かったから、「これをもっとたくさんの人に伝えていきたいね」とメンバーで話しました。なので今はそれを一番の目標として掲げて活動しています。

キャ・ノン 確かにそうですね。PARADISESも「PARADISESらしさとは?」というところに囚われてしまっていたんです。PARADISESのメンバーがGO TO THE BEDSになったからといって突然歌がうまくなるわけでもなければ、今までできなかったことができるようになるわけでもない。私たちはトレード前にPARADISESとして自分たちらしさや見せ方、お客さんにどう楽しんでもらうかはライブを通してつかんできました。私たちのよさをGO TO THE BEDSでも出せるようにしたいから、グループが変わったところで自分たちのなりたい姿、見せたい姿は変わらないんです。自分たちなりのGO TO THE BEDSをどうお客さんに楽しんでもらえるか、今までやってきたことをどうやって生かせるかを考えていますね。

キャ・ノン(GO TO THE BEDS)

キャ・ノン(GO TO THE BEDS)

月ノ 練習中に「GO TO THE BEDSではこうしていこう」と話し合うわけじゃなくて、「この曲はこうしたほうがお客さんはノリやすい」とか、「4人でやるならこういう形のほうがいい」って意見がPARADISESのときよりも自然に出てくるようになりました。そういうグループの雰囲気ってライブにも出るんですよね。お客さんに伝わる瞬間がどんどんわかるようになってきているので、楽しいライブができています。