GO TO THE BEDS&PARADISES|少年時代の渡辺淳之介に影響与えたアートディレクター田中秀幸との初コラボ実現

アルバムなのにティッシュ付きの超豪華盤

──2組のアルバムがセットになった“超豪華盤”「GO TO THE BEDS & PARADISES -LUXURY TISSUE BOX-」のサンプルが手元にありますが、CDにしては大きめのパッケージですね。

渡辺淳之介

渡辺 はい。アルバムなのに透明のティッシュケースに入っていて、もうこれが最高なんですよ。

田中 遠慮しないでやろうと思えたからできたんですよ(笑)。

渡辺 ありがとうございます。最近CDじゃなかなか見ないような超豪華っぷり。

田中 レーベルの人たち苦労しただろうなって(笑)。

渡辺 そうですね(笑)。これも田中さんだからこそレーベルの人たちもがんばってくれて。僕が言うだけじゃできなかったと思います。最初のアイデアで、「アルバムなのにティッシュ付き」というアイデアを田中さんからいただいたから実現したんですよ。ボックスのデザインもかわいいし、これはやるしかないでしょと。

田中 もともと通常盤と超豪華盤を出したいという案はいただいてたんです。その豪華盤が普通のボックスじゃ面白くないから、何か仕様を考えてくださいということで。いろいろ考えてるときに「ティッシュがいいんじゃないか」とひらめいたんです(笑)。何かを模したパッケージにしたいなと思っていたところ、ティッシュがぴったりだろうと。あえて詳しくは言わないですけど(笑)。

墓石ぐらい描いちゃっていいですよ

──アルバムジャケットにはそれぞれ、GO TO THE BEDSは老人、PARADISESは若者の男女キャラクターが描かれています。

左から渡辺淳之介、田中秀幸。

田中 おっしゃる通り、2組のアートワークは「老人と若者」がテーマでした。打ち合わせのときにいろいろ聞いて、一方が若くてピチピチしたグループで……もう一方はベテラン勢と言えばいいでしょうか(笑)。キャラクターもそういう組み合わせにしたいということで。PARADISESのほうの若いキャラクターがそのまま歳を取って、GO TO THE BEDSのキャラクターをおじいさん、おばあさんにしたら面白いんじゃないかなと。「生まれてから死ぬまで」みたいなコンセプトもあったので、最初にお渡ししたラフは哺乳瓶と位牌で(笑)。でもそれだとストレートすぎたので、そういうイメージをいろいろちりばめたイラストを描きました。

──位牌の名残がお墓や卒塔婆でジャケットに残ってるという。

田中 そうですね。「もう墓石ぐらい描いちゃってもいいっすよ」みたいなことを社長がおっしゃっていたので、本当になんでもありなんだなと思いましたよ(笑)。たぶんその打ち合わせで顔合わせてそういう話を聞かなかったら、もうちょっと遠慮してたと思います。

渡辺 遠慮なく描いていただいたほうが確実にいいものにできるはずですから。

田中 面白いことは確かですね。

墓に片足突っ込んでるんだぞ

──お墓、卒塔婆、骨といったモチーフはジャケットのみならずGO TO THE BEDSのアー写にも盛り込まれていて、そこはかとなく終末感が漂ってますね。

渡辺 メンバーにはGANG PARADE時代から常に話していたことがあるんです。「もういつ終わってもおかしくないよ」と。で、2グループに分かれるという話になり、実際GANG PARADEではなくなった。GO TO THE BEDSだけではなく、PARADISESも同じなんですけど、レーベルがそれを受け入れてくれるかどうかもわかんないんだよというところに僕たちは立っているので、そのぐらいの気持ちでやろうよと。「お前らもう墓に片足突っ込んでるんだからね」ってぐらいの話をしました。そんなタイミングで田中さんと打ち合わせをさせてもらったので、僕から墓という言葉が出てきたんだと思います(笑)。

田中 「墓?」と最初は思いました。でもお話を聞いてそういう温度感が伝わったので、なんでもありなんだなということがわかりました。

──この2つのジャケットはJUDY AND MARYのベストアルバムのオマージュのようにも思えたのですが。

田中 このキャラクターをそのオマージュって言っちゃうと、ジュディマリにちょっと悪いかな(笑)。あっちはもっとちゃんと気を遣って描いてますから。

渡辺 (笑)。キャラクターを描いていただけるとなったときに、とにかくキャラ推しでいきたいというお話はしました。

──アー写はGO TO THE BEDSが骨に埋まり、PARADISESがバナナにまたがるというユニークな仕上がりになっていますね。どちらも鎖が出てくるという点だけ共通しているという。

田中秀幸

田中 ビジュアル的に統一させたくて。アー写は普段ソトバヤシケンタさんが撮影とディレクションをしているそうなんですけど、今回僕が作ったジャケットとアートディレクションを統一したいなと思ったので、ソトバヤシさんに撮影をしていただいて、僕の知り合いのアートディレクターの手島領さんにも入っていただきました。

渡辺 アー写の表現の仕方にしても変わってくるんだなと思いました。店舗特典のポスターもすごくよくて。ソロカットを上下逆さまにしてるんですけど、違和感がありつつも、強烈に惹きつけられるんですよ。

田中 これに関して僕はなんもしてなくて。逆さまにしただけなんですけど(笑)。

渡辺 ここまでだとGO TO THE BEDSだけいじめてるみたいな感じになっちゃってますけど、そういうつもりはないです(笑)。PARADISESに関してはナルハワールドのこれまでにない展開(山田なる名義で恋愛バラエティ番組「今日、好きになりました。~青い春編~」出演)もあって、ピチピチしたイメージにすごく合っているし、新しくファンが付いてもらえる状況ができるんじゃないかと思っているので、これまでのWACKじゃないアプローチというか、新しい方向性を探っていきたいとは思っているところです。