音楽ナタリー PowerPush - GRAPEVINE
新たな刺激受け再出発
作詞を楽しむ方法を覚えた
──作詞作業は順調にいきましたか?
田中 いや、時間はかかってると思います。世の中の人がどのくらい作詞に時間かけるのかわかんないですけど。
西川 昔よりはかかってなさそうですけどね。昔は歌詞ができてなくってレコーディング飛ばすってこともよくあったんですよ。
田中 ああー、そうだね。
西川 今回は2、3曲あって、「どれから歌おうか」みたいなこともあったので。うちの場合は必ず曲が先にあってあとから歌詞をつけるんで、早い遅いの話じゃなくて、ヘタしたらレコーディングの日程的に書く時間がないこともあって。オケが上がってすぐ歌入れしなきゃいけないときはレコーディングを飛ばす可能性が高かったんですけど、そういうことはなくなったんで、比較的早くなったんじゃないですかね。
──田中さんは詞を書くことが早くなった自覚はありますか?
田中 うーん、まあ「優秀だな」とここ数年は思ってますよ(笑)。特にこの5、6年はかなり楽しんでやれてますし。
──それより前は楽しめていなかったということですか?
田中 楽しんでやれてない時期もありましたよ。それこそ歌詞ができてなくて歌入れ飛ばす、みたいなときは。
──楽しめるようになったのはなぜなんでしょう。
田中 おそらく「こういうものを書かなければいけない」っていう、変なプレッシャーから脱することができたんじゃないですかね。自分で楽しむ方法を覚えたといいますか。
──作詞とフラットに向き合えるようになった?
田中 そうですね、はい。
──なるほど。ちなみに4曲目の「Weight」って、2008年発表の「Wants」と関係があったりしますか?
田中 お、そうです。「Wants」の歌詞の一部を引用していて。
──「通りすがりにこう云っただけ」の部分ですね。
田中 はい。ちょっとね、「Weight」は曲の雰囲気とかアレンジの方向が「Wants」に相当近いんですよ。詞をイメージしていったときに、「Wants」の主人公やシチュエーションにかぶるものがあり。だったらもういっそのこと「Wants」のアナザーストーリーにしようと思って、タイトルも「Wants」を意識して「Weight」にしました。
やれと言われればやります
──移籍後、YouTubeやCDの特典DVDでバンドの活動に密着した「VIDEOVINE」という企画映像が公開されていますね。個人的には、佇まいや音楽性からちょっととっつきにくそうなイメージがあったバンド像がいい意味で崩れている印象を受けました。
西川 それは編集の仕方のおかげだと思うんですけどね(笑)。
亀井 これは完全に柴田くん(SPEEDSTAR RECORDSの担当A&R)の趣味嗜好(笑)。
田中 柴田くんはもともと映像畑の人で、レコーディングのときもずっとビデオ回してるんですよ。「そんなもん回してても(絵的に)退屈やで」っていう話はしてたんですけど。長々と撮った中からうまくチョイスしてあんな感じになったんじゃないですかね(笑)。
──今までよりも素の部分が垣間見える気がします。
西川 でも、実際はあんなに楽しそうなレコーディングじゃないんですよ(笑)。あれは面白いとこだけつなげてるから。98%くらいは沈黙で進んでいきますからね(笑)。
田中 使えるとこを一生懸命集めたんがあれですよ。
亀井 で、尺が足りひんから飲み会のときの映像を使うんです。
──ああ、「VIDEOVINE」での密着映像はハイライトに次ぐハイライトなんですね(笑)。こういった気さくな面を公の場に出していくことで、バンドの見え方も変わりそうですよね。
西川 それも「GRAPEVINEのこういう面も出していきたい」っていう柴田くんの意図があるんだと思いますね。例えば今回からバンドのロゴを変えてみたり。アルバムジャケットにも載ってますけど、Calvin Kleinみたいな書体じゃないですか。
田中 はっはっはっは(笑)。
西川 そういう感じも僕らにはなかったんで。
──それで言うと「Empty song」のPVも、田中さんが演技するという今までとは趣向の違った作品です。
田中 ああ、そうですね。あれも言われるがままにやってああなったんですけど(笑)。
──そのへんは柔軟に対応するんですね。
田中 単純に、ポニーキャニオン時代後半は、よく言うと自由にやらせていただいてたわけですけど、悪く言うと別に誰も何も言ってくれない、誰も僕らに対して何もしようとしないといいますか(笑)。そういう感じやったんで、移籍してから「こんなビデオ作りましょうよ」って言われるようになって非常にうれしい限りなんですよ。なのでやれと言われればやります。
西川 僕は正直イヤですけどね(笑)。ビデオ撮影ってすごい大変なんで。
田中 そうだね。正直好きか嫌いかと聞かれれば嫌いですよ。ふふふふ(笑)。
西川 今回のジャケット撮影もそこそこ過酷でした。これスタジオの中にスモークを焚いてモクモクにした状態を作ったんですけど、なかなかモクモクにならなくて、すごい量のスモークを焚いて。すごく暑かった……。
亀井 しかも真夏に撮りましたからね、確か。ちゃんと衣装も用意してもらってて、けっこういい服を着てるんですよ。アー写の衣装とも違うし。
西川 サイズまで測って着せられてるわりにはジャケットに写ってないですけどね(笑)。
──こういったビジュアル面についてはメンバーの皆さんも関知されてるんですか?
西川 移籍してからはそういうことを話すようになりましたね。それまではずっと同じデザイナーの人とやっていて、信頼してたのである程度はお任せしてた部分もあって。今回から新たな人とやるようになってミーティングの機会を持つことが多かったですし、ロゴに関しても写真のイメージにしても、積極的に提案されたものの中からみんなで「こんな感じがいいかな」って話し合いました。
田中 それも含めて、移籍したことで新たにいろんなアイデアや意見をもらうっていう刺激があったのはやっぱりよかったと思いますね。
- ニューアルバム「Burning tree」 / 2015年1月28日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3996円 / VIZL-756
- 通常盤 [CD] 3240円 / VICL-64266
CD収録曲
- Big tree song
- KOL(キックアウト ラヴァー)
- 死番虫
- Weight
- Empty song
- MAWATA
- IPA
- 流転
- アルファビル
- Esq.(エスクワイヤー)
- サクリファイス
初回限定盤DVD収録内容
- 「Empty song」Music Video
- VIDEOVINE Vol.2(RECORDING / SHOOTING / LIVE)
- ライブDVD / Blu-ray「IN A LIFETIME」 / 2015年1月28日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
- Blu-ray+CD / 6480円 / VIZL-768
- DVD+CD / 5400円 / VIZL-769
DVD / Blu-ray
- いけすかない
- スロウ
- SUN
- 光について
- RUBBERGIRL
- Lifework
- 25
- 青い魚
- RUGGERGIRL No.8
- 白日
- 大人(NOBODY NOBODY)
- 望みの彼方
- HOPE(軽め)
- This town
- JIVE
- 空の向こうから
- 熱の花
- 豚の皿
- Reverb
- ミスフライハイ
- 超える
- アナザーワールド
Bonus Movie
- 「IN A LIFETIME」SPECIAL INTERVIEW
CD
- いけすかない
- スロウ
- SUN
- 光について
- RUBBERGIRL
- Lifework
- 25
- 青い魚
- RUGGERGIRL No.8
- 白日
- 大人(NOBODY NOBODY)
- 望みの彼方
- HOPE(軽め)
GRAPEVINE(グレイプバイン)
田中和将(Vo, G)、西川弘剛(G)、亀井亨(Dr)の3人からなるロックバンド。1993年に元メンバーの西原誠(B)を含めた4人で結成。1997年にミニアルバム「覚醒」でデビューし、1999年リリースの3rdシングル「スロウ」が大ヒットを記録する。2002年に西原がジストニアのため脱退して以降は、高野勲(Key, G)、金戸覚(B)をサポートメンバーに加えた5人編成で活動を続けている。2010年にはギタリスト / プロデューサーの長田進と「長田進 with GRAPEVINE」名義でアルバム「MALPASO」を制作。2012年にメジャーデビュー15周年を迎え、9月に初のベストアルバム「Best of GRAPEVINE 1997-2012」を発表した。2014年11月にビクターエンタテインメント内のSPEEDSTAR RECORDSへ移籍し、2015年1月に移籍第1弾シングル「Empty song」収録曲を含むニューアルバム「Burning tree」をリリース。