音楽ナタリー PowerPush - GRANRODEO
KISHOWとe-ZUKAの考える 「黒子のバスケ」の関係
GRANRODEOがニューシングル「Punky Funky Love」をリリースした。
ユニット22枚目となるこのシングルの表題曲は現在放送中のテレビアニメ「黒子のバスケ」第3期のオープニングテーマに採用されている。彼らが「黒子のバスケ」シリーズのオープニングテーマを担当するのは、実に5回目のこと。彼らはこの楽曲でこれまでとはひと味もふた味も違うオープニングテーマ像を提示してみせている。
そこで今回ナタリーではKISHOW(Vo)とe-ZUKA(G)のインタビューを実施。シングルの聴きどころはもちろん、「黒子のバスケ」シリーズのオープニングテーマの制作術、そして同シリーズに対する思いを聞いた。
取材・文 / 成松哲
5作目だからできたまったく新しいオープニング曲
──GRANRODEOがアニメ「黒子のバスケ」シリーズのオープニングテーマを歌うのは、今作「Punky Funky Love」で5回目。毎回そうではあるんですけど、今回は特に攻めましたよね。「うわっ『黒子のバスケ』を舞台にここまで遊ぶか!」ってビックリしました。
e-ZUKA(G) なるほど。「はっきり言って『黒子のバスケ』に合ってないですね」と(笑)。
KISHOW(Vo) オレたち、やっちまったかあ……(笑)。
──違いますって! むしろ「『黒子のバスケ』のテーマソング」という枠組みがさらに拡張された気がしていて。景気のいいロックンロールに乗せて、やりたい放題に言葉遊びしまくるラブソングでありながら、ちゃんと何かを手にするために汗をかいてる若い子たちにハッパをかける1曲でもあったから。「黒子のバスケ」にはこんな曲も似合うのかって発見があったんです。
KISHOW まあ5回もオープニングテーマを担当させてもらっているわけですから「これくらいやってもいいでしょ?」って感じというか。制作スタッフとの信頼関係の積み重ねがあるからこそ作れた曲ではありますよね。だってこの曲が「黒子のバスケ」の第1期の一発目のオープニングになることは絶対にあり得ないわけだから。
GRANRODEOと「黒子のバスケ」の信頼関係
──実際「黒子のバスケ」とGRANRODEOっていい関係を積み重ねてますよね。というのもお2人は「Punky Funky Love」で突然遊び出したわけではない。第1期1クール目のオープニングテーマ「Can Do」は直球勝負。タイトル通り、若い子たちの“やる気”や“熱さ”をストレートに歌って、第1期2クール目では……。
KISHOW バスケットボールのゴールのリングのことを“リム”って呼ぶからっていうことで「RIMFIRE」っていうタイトルにしつつ「弾丸」とか「放つ」とか、バスケをイメージさせる単語をちょっとカッコいい感じで散りばめて、力を合わせるみんなの姿を歌って。で、ありがたいことに第2期のオープニングテーマのお話もいただけたから「The Other self」では、改めて「Can Do」と同じテーマ、「自分に負けない熱さ」のことを「Can Do」とはまた別の角度から歌い……。
──第2期2クール目のオープニングテーマの「変幻自在のマジカルスター」へと続く、と。
KISHOW あの曲あたりから信頼関係のもと遊べるようになったというか「いったれ!」って感じになってましたね。「4曲目か。まだ歌ってないテーマってなんだ?」「恋愛か?」「部活も恋愛も青春にはつきものだし、いいだろう」っていうことでラブソングを書いてみて。恋愛要素なんてかなり薄めのアニメなのに(笑)。
──でも「このままじゃ35連敗」「Dum Dum 響いてる」とバスケットボールを連想させるキーワードを散りばめている。「RIMFIRE」でも見せたお作法を踏襲しているから「黒子のバスケ」のテーマソングとしてちゃんと機能している。
KISHOW ただ2人ともそこで完全に燃え尽きっちゃったんですよねえ……。今はもう「燃えカスを燃料にギリ走ってる」みたいな状況ですから。
「これくらいいいんでしょ?」でできた“遊んでもいい曲”
──さっきからなんでそんなに自虐的なんですか(笑)。
KISHOW はははは(笑)。燃え尽きたっていうと確かにヘンなんだけど、でもその4曲で「バスケ」「対決」「学園モノ」「(週刊少年)ジャンプマンガ」っていう「黒子のバスケ」の世界、テーマ、モチーフにしっかり寄り添った曲を歌いきった自負はあって。なので「Punky Funky Love」は全然違うアプローチで作ってみた感じではあるんですよね。あともう1つ、こういう詞を書いた理由には大将(e-ZUKA)の書いてきたデモを聴いたときに「あっ、今回はユルい」と思ったっていうのもあるかな。「あっ、これ遊んでいい曲だ」って(笑)。
──実際サウンドも遊びに遊んでますよね。サビで突如高速2ビートにリズムチェンジするあたりは「Can Do」をイメージさせるし、後ノリのビートに乗せてKISHOWさんがフローするDメロは「RIMFIRE」をイメージさせる。しかもそのDメロで歌われるフレーズは「Can Do」「RIMFIRE」「1期」「2期」「3期」。過去のテーマソングを参照、引用するこの感じって「黒子のバスケ」ファンなら絶対うれしいはずですし。
e-ZUKA そういうパーティロック的な感じがいいんじゃないかな?っていうことは考えてました。これまでの曲の手法を引用することもそうだし、あと、1980年代の日本のニューウェイブ的な感じにしたこともそうですし。PLASTICSやP-MODELみたいなファンキーで、ちょっとチープな感じにしてみても面白いかなって。
──タイトな8ビートの上にピコピコした単音のシーケンスパターンが乗るイントロやAメロはまさに1980年代ニューウェイブ的ですよね。
e-ZUKA KISHOWじゃないけど「これくらいやってもいいんでしょ?」っていうことで、こういうアレンジにしてるんですよね。
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- ニューシングル「Punky Funky Love」 / 2015年1月28日発売 / Lantis
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / LACM-34298
- 通常盤 [CD] 1404円 / LACM-14298
- アニメ盤 [CD] 1404円 / LACM-14299
CD収録曲
- Punky Funky Love
- 追憶の輪郭
- wish
- Punky Funky Love(OFF VOCAL)
- 追憶の輪郭(OFF VOCAL)
- wish(OFF VOCAL)
初回限定盤DVD収録曲
- Punky Funky Love(Music Clip)
LIVE TOUR 2015 カルマとラビリンス
- 2015年2月15日(日)
大阪府 大阪城ホール - 2015年3月8日(日)
北海道 Zepp Sapporo - 2015年3月15日(日)
福岡県 福岡サンパレス コンサートホール - 2015年3月21日(土・祝)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ - 2015年3月22日(日)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ - 2015年3月29日(日)
宮城県 イズミティ21 大ホール - 2015年4月3日(金)
香川県 サンポートホール高松 大ホール - 2015年4月5日(日)
岡山県 倉敷市芸文館 - 2015年4月29日(水・祝)
山口県 山口市民会館(追加公演) - 2015年5月5日(火・祝)
新潟県 長岡市立劇場(追加公演)
※終了分は割愛しています。
GRANRODEO(グランロデオ)
ボーカリストのKISHOW(谷山紀章)とギタリストのe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマにして、ユニットの1stシングル「Go For It!」のリリース直後から、声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行する一方で「Animelo Summer Live」などの大型フェスでヘッドライナークラスのポジションを確立する。2014年9月には6枚目のアルバム「カルマとラビリンス」をリリースし、翌2015年1月にはテレビアニメ「黒子のバスケ」のオープニングテーマにして22枚目のシングル「Punky Funky Love」を発表している。また2月からは全国ツアー「カルマとラビリンス」を開催。