やっぱり音楽をやりたいよなあって

──ミドリの解散直後はどんな気持ちでどうやって過ごしてたんですか？

最初は夏休み始まったみたいな感じでめっちゃ楽しかった。でもだんだん焦燥感とか虚無感とかそんなものに駆られて、「どうしよう。ボク音楽やってへん」って思って。やっぱりボクの中で音楽っていうもんは大きかったみたい。もうやらへんって言ったよなあ、でもやりたいよなあとか。いろんな気持ちでぐらぐらーっとしてた。

──バンドを解散したときに音楽もやめるつもりだった？

うん。

──音楽をやめてどうするつもりだったんですか？

ぼんやり主婦しようと思ってた。英会話スクール通ってお花とか買いよってさ。そういうのもいいやろ？

──いいと思いますけど、後藤さんそういうタイプじゃないですよね。

うん。でもそのときはそれが一番正しい選択やって思っててん。けどこう……うん、なんか違かったみたい。

──音楽をやりたい自分に気付いてしまった。

いろいろ悩んでいろんなことがあって、まあ音楽をもう一回ちゃんとやろうかなってぼんやり思い始めて。

──2011年の春にUstreamで「歌いたい」という話をしていましたよね。そのときにはもう？

やろうってなってたと思う。ほんで4月の終わりとかに千住くんが誘ってくれてスタジオ入って、ボクの曲をめちゃくちゃ褒めてくれて。うん、多分その言葉があったからやろうって思えたんかな。

「曲できたけどどうしよう」

──2011年の春、最初にスタジオに入ったときにはどんな曲を？

「あたしの衝動」。

──じゃあ活動を再開するかどうかわからない時期から曲は作っていたと。

うん。iPhoneに鼻歌で入れてた。

──音楽をやめようと思っていたのに？

うーん……出てくるねんな。こう、散歩してるときとかに曲が出てきて。ほんまやったら録らんでもええねんけど……なんか残してしまっててんな。往生際が悪かったというか。だからやっぱやめるつもりでおったし、曲が出てきて録音しているっていう行動についてもボクすごいイヤで、人に相談したりとかもしててん。「この曲どうしよう」「曲できたけど……うーん」とか言って。

──どういう心境だったんですか？

わからんけど、バンドがなくなったからっていうのもあったんかも。言葉にしたらめっちゃ気持ち悪いけど、いとおしくなったっていうか。うん、音楽がいとおしくなって、曲がポンポンポンポン出てくるようになった。

──じゃあ実際は音楽をやめたかったわけではなく。

うん、多分バンドをやめたかってん。でも、間違えて音楽をやめるって言ってしまったみたい（笑）。

──あはは（笑）。

間違えちゃった（笑）。うん。

──じゃあやっぱり歌いたかった。

うーん、そうやったのかも。

──で、メンバーとスタジオに入ったら楽しかった？

うん。楽しかったー。

──やっぱり今回のソロ始動に至るまでには、メンバーの存在が大きいんでしょうね。

すごいおっきいと思う。AxSxEさんにはほんまに頼りきってしまってるし。千住くんとはなんか普通にケンカしてしまうくらいお互い自分のことしゃべったりしてるし。りぼんちゃんはボクがぼんやりしてるときに、うまいこと支えてくれてて。シュンちゃんは、あんな人見たことないっていうくらい、奇跡的なバランスで成り立ってる人やし。うん。

──今の話の中に「彼はプレイヤーとしてここがすごい」みたいな要素って一切なかったですね（笑）。

あ、ほんまやな（笑）。けどちゃうねん。音楽のことわからへんねん。

──え？

いや、わかるけど！ でもそんなさ、そんな音楽のことばっかりしゃべっててもしゃあないやん、と思ってんねん。そういう普通の自分をちゃんと音楽に反映させてくれてる人らやから。