goomiey|水戸発女子高生バンドが放つ“武器”

進路に悩んだ3人が出した答えは

──ここからは初の全国流通盤「Arms」について聞かせてください。1曲目「アイロニー」は平山さんが好きなバンドの解散を受けて書いたそうですね。

平山 はい。進路について考えていた時期で、「この先もバンドをずっとやりたい」という決心をしたんですけど、お母さんとかに反対されたんです。「普通じゃない」と何度も言われて。そんなときに、地元で一緒にやってた黒猫ラテというバンドが解散したんです。それを聞いたとき、自分も考え直したほうがいいんじゃないかなと迷って。でも「やっぱりバンドがやりたい!」と決心したんです。そのときの気持ちを込めて「学校よりも大事なものがあるんじゃないか」と思って書きました。

──進路に悩むというのは、大久保さん、岩堀さんも同じだったと思うんですけど、この曲を聴いたときどう感じました?

大久保 自分も進学をしないという進路を選んで、平山と同じようなことを感じていたので「この気持ちを言葉にしてくれてありがとう」と思いました。

大久保林香(Dr, Cho)

──大久保さん、岩堀さんも進学をせずにバンド活動を続けるんですよね? その決意はすぐに固まったんですか?

大久保 私と平山は決めてたんですけど、最初、聖奈は……。

岩堀 私は美容師になりたくて、美容師の専門学校に行くか、バンドを続けるか悩んでたんです。「Arms」のレコーディング中もずっと悩んでたんですけど、レコーディングが終わったときに「これが最後になるのは嫌だ、まだ続けたい」と思うようになって、バンドを続けると決めました。

大久保 一度、聖奈が専門学校に行ってバンドを脱退するからサポートを探さないといけないという状況になって。そのとき私と平山はすごく気持ちが落ちていっちゃって、ライブをしててもどこか本気で楽しめなかったんです。でも聖奈が続けるという決心をしてくれたあとのライブは、失敗はたくさんしちゃったんですけど、すごく楽しかった。そのときに「やっぱりgoomieyはこの3人じゃないと」と思えました。

──「アイロニー」は進路に悩んだ3人だからこその曲なんですね。ではサビで出てくる「白線」は学生と社会人の境界線のような?

平山 そうです。バンドを辞めてやりたくない勉強や仕事をするのか、やりたいことをやるのかという境界線です。

──ミュージックビデオでは実際に3人が白線を越えていますね。MVの撮影はいかがでした?

平山 自分たちのやりたいことをたくさんやらせてもらいました。遊んでるシーンは撮影だってことを忘れるくらい、本当に普通に遊んでて(笑)。演奏シーンはいつも使ってるスタジオで撮ったんですけど、オシャレにしたいねと言って、私物をたくさん持っていきました。

岩堀 私はお母さんが矢沢あいさんのマンガが好きで家にあったんですけど、それを読んでファッションとか美容に興味を持ったので、いろいろなきっかけという意味で矢沢あいさんのマンガを持って行きました。

平山の失恋体験を描いた「回数券」

──3曲目の「回数券」は1stデモに入っていた曲の再録です。失恋の痛みや悲しみが、電車の窓からの情景だけで描かれています。

平山 高校2年生のときに付き合ってた彼氏がいて、電車に乗って彼氏の家までよく遊びに行ってたんです。私の家の方面の電車ではないので、別れた途端にその電車に乗らなくなってしまって。ケンカしたあとに1人で乗ったり、デートで一緒に乗ったり、付き合ってた間、とにかくよくその電車に乗ってたんですよね。乗らなくなってから、「ああ、電車でいろいろ考えてたんだな」と思って、彼への思いが吹っ切れてから「ありがとう」という意味で書きました。

──実際に回数券を使っていたんですか?

平山 使ってないです。でも「回数券を買ったほうがいいんじゃないか」って周りに言われてたのでタイトルにしました。

平山舞桜(G, Vo)

──吹っ切れたときに書いたということですが、例えば実際に失恋した人にはこの曲をどういう気持ちで聴いてほしいですか?

平山 無理やり前に進もうとしなくていいよ、ということを伝えられたらと思います。私も失恋したときにたくさんの音楽に助けてもらったので、自分が悲しいと思ったときには、1人で悲しい思いを抱えるんじゃなくて、この曲を聴いていろんなことを思い出して共感してもらいたいです。

大久保 実際、付き合ってた時期には平山からいろいろ話を聞いていたので、「歌詞にできてよかったな」と思いました。完全に吹っ切るために歌詞にしたのかなって。

平山 聖奈はこの曲に共感したんでしょ?

岩堀 うん(笑)。ケンカして彼氏の家から泣いて帰った日があったんですけど、そのときずっとこの曲をリピートして。自分もメンバーだけど、すごく共感できました。