ナタリー PowerPush - GO!GO!7188

個性派勢揃い! 豪華トリビュート盤を徹底解剖

昨年6月にメジャーデビュー10周年を迎えたGO!GO!7188。彼女たちのアニバーサリーイヤーを祝う初のトリビュートアルバム、その名も「GO!GO!7188 Tribute - GO!GO! A GO!GO!」がリリースされた。

今回のアルバムにはPOLYSICS、THE NEATBEATS、少年ナイフ、中村中、opening、detroit7、フラワーカンパニーズ、所ジョージ、bloodthirsty butchers、MONGOL800の計10組が参加。GO!GO!の新旧の名曲が、彼らの手によって新たな形で生まれ変わっている。

今回ナタリーではこのトリビュート盤を徹底解剖。ディスクレビューや参加アーティストから寄せられた直筆メッセージを交えながら紹介する。

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「GO!GO!7188 Tribute - GO!GO! A GO!GO!」ディスクレビュー

文/村野弘正

言うまでもなくトリビュートアルバムでまず大切なことは、参加するミュージシャンたちがいかにそのアーティストや楽曲に対して愛情を持っているかということだ。「愛のないカバーならば、愛のあるコピーのほうが100倍思いが届く」という言葉もあるくらい、愛があってこそ、そこに“トリビュート(敬愛の気持ちを込めた捧げ物)”という意味も生まれるのであり、でなければ単にそのとき限りの“お仕事”という、文字どおり“愛のない”ただのカバー合戦に終始してしまうだろう。

そして2つ目に大切なことは、その上で彼ら、彼女らがどれだけ自分たちの個性を殺すことなく、その楽曲を自分たちのモノにしているかということ。言い換えれば、カバーするアーティストや楽曲の本質をしっかりと理解した上で、しかし好きなればこそ遠慮なく、その良さをいかに本家とは別の形で表現しているのか。リスナーにとってはそこに最大の面白味があるのだ。

その点、「GO!GO!7188 Tribute - GO!GO! A GO!GO!」は実に真っ当なトリビュートアルバムだ。参加しているアーティストは、誰 もが日頃からGO!GO!7188のことが大好きで、中にはお互いのライブを観に行ったり、対バンしたりと彼女たちとは以前から浅からぬ親交を持っている人々もいる。なおかつ、それぞれにひとクセもふたクセもありながら、日本のロックシーン、ひいては音楽シーンに確かなポジションとバリューを持ち、GO!GO!7188同様、間違いなくシーンの一角を面白くしている個性的な連中ばかりだ。

そんな多彩なアーティストたちが「GO!GO!7188のために!」という強いモチベーションを胸に、思い思いに好きな楽曲をチョイス。自分たちの個性を存分に生かした独自の解釈とアイデアで、GO!GO!7188の楽曲に新たな息吹を吹き込んでいるのだ。その出来栄えは実際に耳にしてもらえれば一聴瞭然だが、以下、簡単にではあるが、その収録ラインナップを紹介しておこう。

まず幕開けを飾るのは、GO!GO!7188と同時期にデビューし、その頃から対バンをしてきているPOLYSICS。しかも、POLYSICSのメンバーとGO!GO!7188のアッコとユウは同世代という仲良しバンドだ。彼らはPOLYSICS特有のアグレッシブで疾走感ある、ポップなテクノサウンドで「文具」をカバーしている。2番手は、やはりGO!GO!7188とは知り合って早10年というTHE NEATBEATS。昨年6月リリースのGO!GO!7188の最新アルバム「Go!!GO!GO!Go!!」ではエキストラトラックの「365連休ブギ」がTHE NEATBEATSのプライベートスタジオでレコーディングされるなど、両者の仲はもはや切っても切れないものになっている。彼らは彼女たちのデビュー曲「太陽」をセレクト。リバプールサウンドを基調にした、60年代GS(グループサウンズ)を現代化させたようなロックンロールと、モノラルで制作された音像に、彼らのこだわりがしっかりと生かされている。

3曲目は少年ナイフが初期の彼女たちをほうふつとさせるオルタナっぽい屈託のなさで独特の倦怠を表出する「パンク」。少年ナイフは以前からGO!GO!7188のメンバーが大好きだったバンドのひとつで、昨年、少年ナイフの自主企画イベント「ナイフの日」(毎年7月12日前後に開催)に誘ってもらい意気投合。以来、親交を深めている。続く中村中は、ちょっと意外な人選と思われるかもしれないが、実はお互いデビュー前からの知り合いで、中村は「GO!GO!7188は私の青春だった」と言い切るほど彼女たちが大好き。以前にもカバーしたことのある「雨のち雨のち雨」を再度レコーディングしているが、陰りのあるジャジーなスウィング感と、切々としたメランコリックな歌声が印象的だ。

トリビュートアルバム「GO!GO!7188 Tribute - GO!GO! A GO!GO!」 / 2011年3月16日発売 / 3000円(税込) / FlyingStar Records / VICB-60069

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CD収録曲
  1. POLYSICS / 文具
  2. THE NEATBEATS / 太陽
  3. 少年ナイフ / パンク
  4. 中村中 / 雨のち雨のち雨
  5. opening / 考え事
  6. detroit7 / サンダーガール
  7. フラワーカンパニーズ / 飛び跳ねマーチ
  8. 所ジョージ / とかげ3号
  9. bloodthirsty butchers / ジェットにんぢん
  10. MONGOL800 / こいのうた
GO!GO!7188(ごーごーなないちはちはち)

1998年6月、ユウ(G, Vo)とアッコ(B, Vo)を中心に鹿児島で結成。1999年にターキー(Dr, Vo)が加入し、現在の編成となる。2000年6月にシングル「太陽」でメジャーデビュー。ポップなサウンドとアグレッシブなライブパフォーマンスで人気を集める。2004年には日本武道館公演を開催。2007年には初のアメリカツアーを実施し、成功を収めた。「こいのうた」「C7」「浮舟」など多くのヒット曲を有する。なおユウはGO!GO!7188と並行してチリヌルヲワカのメンバーとしても活動中。