「GO!GO!7188 Tribute - GO!GO! A GO!GO!」ディスクレビュー

5番目は男性4人組のピアノ系インストバンド、opening。以前から親交があり、対バンもしている彼ら。残念ながらオリジナルメンバーではこれが最後の音源になるそうだが、スケール感ある音作りと独自の構成で「考え事」をインスト化している。6番目のdetroit7もGO!GO!7188のお気に入りバンドで、彼女たちの自主企画イベント「エレキ大作戦」にも参加するなど、以前から交流を深めているバンドのひとつだ。ダークに歪んだヘビー＆ラウドなサウンドが「サンダーガール」にGO!GO!7188とは別の硬派な切れ味とバイオレントな匂いをもたらしている。

次のフラワーカンパニーズは、躍動感に富んだダイナミックなグルーヴと、シタールやマンドリンを配したラーガなムードとの絶妙なマッチングで「飛び跳ねマーチ」をカバー。実はアッコがまだ鹿児島の女子高校生だったとき、わざわざ福岡まで出向き初めてライブハウスで観たバンドがフラワーカンパニーズだったそうで、GO!GO!7188がデビューしてからは、両者は幾度となく対バンライブやフェスでの競演を重ねている。

8番目の所ジョージは、これまた意外と思う人が多いかもしれないが、彼はなんと、知る人ぞ知るGO!GO!7188フリーク。自身のラジオ番組などでは以前から彼女たちの曲をかけまくっているし、それに応えるように、GO!GO!7188の3人も昨年リリースされた彼のアルバム「コケコッコゥ!!～七色の声色～」で「制御不能」「ニワトリは飛んでいかない」の2曲の演奏を担当。それをカップリングしたアナログ限定シングルも「GO!GO!7188と1056さん」名義でリリースされている。所は、アコースティックギター4本のアンサンブルで「とかげ3号」をカバー。ちょっと童謡めいた不可思議な歌詞にマッチした、どこか人を食ったような彼の飄々としたキャラクターが奇妙でシュールな味わいを醸し出している。

9曲目はbloodthirsty butchersならではのタイトに締まった歪み系のサウンドが、ヒリヒリとした切迫感を作り出す「ジェットにんぢん」。彼らもまた、GO!GO!7188が対バンしたいバンドとしていつも真っ先に名前を挙げる、彼女たちが大好きなバンドのひとつだ。そしてラストは、MONGOL800がチョイスした「こいのうた」。MONGOL800も対バン経験はもちろん、GO!GO!7188のメンバーとは個人的な親交もある、相思相愛の仲。彼らは三線、琉笛、エイサー太鼓といった島楽器や、囃子や指笛を交えた琉球人らしいアレンジで楽曲を構成。後半に向けて静かな波のうねりが徐々に盛り上がっていくような、8分近い大作でアルバムを締めくくっている。

以上、10組のアーティストによる全10曲。そこには、GO!GO!7188への愛とあたたかな目線がしっかりと息づいている。言い換えれば、カバー曲を通して伝わってくる彼ら、彼女らの活き活きとした本当に楽しそうな姿が、GO!GO!7188がいかに多くの仲間たちから愛されているのかということを如実に物語っているのだ。そしてなにより素晴らしいのは、これだけ個性に富んだバンドやミュージシャンが各々の持ち味を存分に発揮しながらも、原曲の魅力、ひいてはGO!GO!7188の魅力はなんら損なわれていないということ。むしろカバーという形を借りることで、その魅力が逆に浮き彫りにされているというか、歌詞やメロディはもちろん、彼女たちの音楽センスそのものの良さが改めて実感できる、そんな実に理想的なトリビュートアルバムになっているのだ。

2000年のデビューから数え、今年で早くも11年。その間、アッコ、ユウ、ターキーという異なる3つの個性を束ねながら、ときにはエキセントリックとも思われる独自の音楽性で、GSからハードロックまでが混在する、文字どおり説明不能な極めて自由度の高いポップでキャッチーな楽曲を届け続けているGO!GO!7188。そして、そんな彼女たちの魅力に惹かれたたくさんの仲間たちが、惜しみない愛とエールを贈った「GO!GO!7188 Tribute - GO!GO! A GO!GO!」。ここに参加した各アーティストのファンも、もしこれを聴いて気に入ったら、彼ら、彼女たちが愛するGO!GO!7188の元歌を、そしてできればほかの楽曲も、ぜひ改めて聴いてみてもらいたいと思う。