Galileo Galilei×アニメ「クジマ歌えば家ほろろ」|運命的なコラボが生んだ、“真の理解者”への贈り物 (2/2)

稚内生まれのGalileo Galilei、ロシア生まれのクジマ

雄貴 「クジマ歌えば家ほろろ」とはもともとすごく親和性があったと思います。クジマ(鳥やペンギンのような外見をした謎の生物)ってロシア生まれじゃないですか。これは岩井くんとも話したんですけど、1stアルバム「パレード」(2011年発表)の頃、ロシアから来た青い目の女の子を主人公にした曲を作ったことがあって。稚内はロシアと近くて、道路の標識や商店街の案内とかにロシア語が併記されているんですよ。学生同士の交流もけっこう盛んで、ロシアの女の子たちのダンスを体育館で見たことがあって、めちゃくちゃカルチャーショックを受けたんです。

──メンバーの皆さんにとって、ロシアはかなり身近なんですね。

雄貴 はい。ロシアから来た女の子の曲は結局レコーディングしなかったけど、歌詞に“渡り鳥”が出てくるんですよ。「クジマ歌えば家ほろろ」を読んだとき、「紺野先生、俺らのこと見てたのかな」と思うくらいこの偶然にはびっくりしたし、運命的なものを感じました。Galileo Galileiを再始動してからしばらく経って、これまでやってきたことを収穫しているような感じもありますね。

──DAIKIさんは「木漏れ日坂」をどう捉えていますか?

DAIKI この曲の制作時にはまだ正式加入していなくて、できあがったものを聴きました。以前はサポートミュージシャンとして、「ライブで演奏するために曲を聴く」という感じだったけど、今はメンバーとして、楽曲の世界観や歌詞に対してもっと真摯に向き合おうと思っていて。それが始まったのが「アマデウス」と「木漏れ日坂」です。そのうえで「木漏れ日坂」について話すと……今の音楽って、いろいろ説明しないと受け取ってもらえないことが多い気がしていて。さっき雄貴くんが言ってた「美術館に行っても、作品は何も話しかけてくれない」にもつながる話ですけど、本来は聴き手側で感じ取るものだと思うんです。「木漏れ日坂」の歌詞もそうで、すぐに情景が浮かんでくるわけではないし、こちらでちゃんとセンサーを張って、自分のセンスで解釈しないと物語が見えてこない。でも、しっかり読み取ろうとすればすごく不思議な世界観がある楽曲だなと思っています。

DAIKI(G)(Photo by SHUN ITABA)

DAIKI(G)(Photo by SHUN ITABA)

──サウンドメイクに関してはどうですか?

雄貴 これまではミックスもマスタリングも自分たちで完了させることが多くて、Galileo GalileiもBBHFもそれが制作のスタイルになっていたんですよ。お願いするときは海外のエンジニアの方が多かったんですが、今回は日本の方にミックス、マスタリングをやってもらいました。ミックスは、BUMP OF CHICKEN、Coccoさん、スピッツ、くるりなどを手がけている牧野英司さん。ミックスが上がったときに、めちゃくちゃよくて衝撃を受けました。マスタリングは山崎翼さんで、僕らの音楽をすごく好きでいてくれて。メンバーだけじゃなくて、エンジニアの方々や紺野先生、アニメのスタッフの皆さんも一緒に演奏しているような気持ちでした。皆さんすごくクリエイティブだし、作品に対する愛があって。最近はそういう状況でいられることが多くて、心が洗われてます。それもさっき言った“収穫”なのかなと思ってますね。

小学生もお年寄りも「なりたい自分」がある

──「なりたい姿に なれない僕らは 飛んでく渡り鳥に 手を振って 言葉にする」という冒頭の歌詞に感銘を受けました。ここには雄貴さん自身の思いも反映されているんでしょうか?

雄貴 そこまで考えてないかもしれないです。例えば子供に作り話をするときって、あんまり深く考えないじゃないですか。歌詞もそれに近い感じで書いているし、あとになって「そうか、こういう歌詞なんだな」と自分で思うこともあるんですよ。そこはもう感覚でやってるというか、自分やみんなを含めて“人生のウェーブ”に乗ってるだけなのかなと。ただ「木漏れ日坂」の歌詞は、Fatboy Slimの「Right Here, Right Now」のMVのイメージがあります。進化の過程を映像にしているんですけど、それがずっと頭の中にあって。進化論が正しければ、生き物はなりたい姿になっていくわけじゃないですか。でも、「なんでそうなっちゃったの?」みたいな生き物もたくさんいて。人間もそうだと思うんです。ホルモンのバランスが感情の起伏につながるって、どうにかならなかった?とか。

──確かに(笑)。人間は個体差も大きいですしね。

雄貴 「なりたいものになれない」というのは、僕がずっと思っていることでもあるんです。たぶんずっと「なりたい自分」だったり、「自分はこういう感じなんだな」と考えながら生きていくんだろうなと。それは小学生でも80歳のお年寄りでも同じだし、根本は変わらないと思う。焦ってる人も達観している人も、「こうなりたい」と思ってそうなってるんだろうし、みんながみんな、1日先の自分になることを繰り返しているというか……よくわからない話になりましたけど(笑)、そういう感じです。

自分自身に集中して、ファンと本当の意味で向き合う

──5月からは全国ツアー「Galileo Galilei Tour 2026 "NAKED HERO"」が開催されます。2026年のGalileo Galileiの活動はどうなりそうですか?

DAIKI 正式にメンバーになってから、まだ一緒に制作したことがないんですよ。今年はアルバムを作るという目標を立てているので、個人的にはそこが大きいポイントかなと。自分のモードも変わるかもしれないし、今回のツアーでも、そういう部分を感じてもらえるようなライブをしたいと思っています。まだどうなるかわからないけど、ワクワクしてますね。

岡崎 前回の「TRITRAL TOUR」でも、演奏しながらお互いに刺激し合っていると感じて。「NAKED HERO」ではもっと刺激し合いたいし、技術だけではなく、自分たちの気持ちが音に乗るようなライブになるんじゃないかと思います。演出的なところ以上に、自分たちの生身の演奏を感じてもらいたいですね。

和樹 最近思っているのは、楽しむことが大事だなということです。このメンバーで制作したり、ライブをやったりしていく中で、純粋に楽しみたいという気持ちが強くなっているし、「これが自分の生きがいだ」と思うようになってきて。たぶん、みんなもそうじゃないかな。Galileo Galileiに“気難しい”という印象を持つ人もいるかもしれないけど、そんなことはなくて。今すごく幸せで、音楽をやることが楽しいので、次のツアーでもその空気感は出てくると思います。

尾崎和樹(Dr)(Photo by SHUN ITABA)

尾崎和樹(Dr)(Photo by SHUN ITABA)

雄貴 自分自身に集中して、自分たちの音楽を聴いてくれている人、ライブに来てくれる人たちに本当の意味で向き合っていきたいですね。そうは見えないかもしれないけど、僕はいろんなことが気になるタイプなんですよ。周りのことがすぐ気になっちゃうんだけど、それがデトックスされてきて。どう思われてもいいから、自分がやるべきこと、大事にするべき人たちに集中したいなと。僕らは音楽、芸術をやっているし、作品に対して「いい」と思ってくれる人がいることが何より大事。その信念はもっと強くなってるし、もはや信仰心に近いかもしれないです。自己分析としては(2016年発表の4thアルバム)「Sea and The Darkness」を作った頃の感情に近くて。正直に言うと、かなりダークな気持ちなんですよ。

──「木漏れ日坂」の手触りは、「Sea and The Darkness」に収録されている「鳥と鳥」に近いかもしれないですね。

雄貴 まったく同じ話を和樹としました。自分たちが作ったものがリンクしていくのはめちゃくちゃ面白いです。さっきから話している“収穫”にもつながるんですけど、これまで作ってきたたくさんの曲がつながってくる感覚がすごくある。長くやってきてよかったなと思うし、きっとファンの方も「この曲とこの曲はつながっているのかも」みたいなことを感じてくれるんじゃないかなと。そういうこともすごく励みになるんですよね。

──7月にはブラジル・サンパウロ市で開催されるアニメフェス「Anime Friends 2026」に出演します。Galileo Galileiにとって初めての海外公演ですね。

雄貴 ブラジルのアニメファン、日本のカルチャーが好きな方の情熱は本当にすごくて。僕らが出演するイベントの動画を観たんですけど、コスプレの気合いがハンパないんですよ。その姿を僕らも観たいし、すごく楽しみです。

岩井郁人(G)コメント

岩井郁人(G)(Photo by SHUN ITABA)

岩井郁人(G)(Photo by SHUN ITABA)

5人体制になったGalileo Galileiについて

Galileo Galileiは結成して、終了して、再始動するまで、バンドっていう形の中でいろいろな変化と挑戦を重ねてきました。純粋なバンド編成からエレクトロに行ったり、シーケンスと融合させたり、ずっと実験と発見を繰り返してきて。でも、そんな僕たちの今のモードはすごくオーガニックで、バンド然としたフィジカルなサウンドなんです。それは多分DAIKIくんがいるからで、彼の頭でっかちじゃない動物的なセンスがそうさせてくれてるのかなって漠然と感じてて。バンドって不思議な生き物で、1人加わるだけで空気やバランスがガラッと変わるんですよね。また新しいバンドに生まれ変わった感覚があって、これからの活動に色濃く反映されていくと思います。

新曲「木漏れ日坂」について

制作中に、メンバー同士でお互いの「ミュージシャンとしての得意技」について話すことがあったんですけど、メンバーから見た僕の得意技って「アコギのアルペジオのアンサンブル」みたいで。今回の「木漏れ日坂」のイントロでは、まさにそれを発揮できたかなと思ってます。そうやって個々の持ち味を制作の中で引き出し合って、パズルのように組み上げていけたので、雄貴が描く情景が、より立体的で奥行きのあるものに仕上がったんじゃないかなと感じてます。

ツアー「NAKED HERO」への意気込み

僕個人の状況として、自分を取り巻く小さな世界の「ヒーロー」として苦しんだり、ミュージシャンとして成長することに痛みが伴ったり、生きるうえで何かしらの困難にぶつかりまくってます。そういう壁を乗り越えるためには、身体性というか、フィジカルな何かが今は必要だと考えていて。頭で考えるんじゃなくて、もっと魂に正直になるというか。「NAKED HERO」というツアーを通して、僕自身がその答えを出したいし、ライブに来てくれるファンのみんなにも、何か熱いものを持ち帰ってもらえたらなと思ってます。

「TRITRAL TOUR」2025年11月26日のZepp DiverCity(TOKYO)公演の様子。(Photo by SHUN ITABA)

「TRITRAL TOUR」2025年11月26日のZepp DiverCity(TOKYO)公演の様子。(Photo by SHUN ITABA)

公演情報

Galileo Galilei Tour 2026 "NAKED HERO"

  • 2026年5月10日(日)北海道 cube garden
  • 2026年5月14日(木)大阪府 BIGCAT
  • 2026年5月17日(日)神奈川県 KT Zepp Yokohama
  • 2026年5月19日(火)福岡県 DRUM Be-1
  • 2026年5月21日(木)広島県 LIVE VANQUISH
  • 2026年5月23日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2026年5月26日(火)宮城県 darwin

Anime Friends 2026

2026年7月2日(木)~5日(日)ブラジル Distrito Anhembi
※Galileo Galileiは7月4日(土)公演に出演。

プロフィール

Galileo Galilei(ガリレオガリレイ)

尾崎雄貴(Vo, G)、尾崎和樹(Dr)らを中心に2007年に北海道・稚内にて結成されたロックバンド。2008年の「閃光ライオット」でグランプリを獲得し、2010年にミニアルバム「ハマナスの花」でメジャーデビュー。透明感のある美しいメロディと心に響く繊細な歌詞で国内外から支持を集める。ヒット曲に「夏空」「青い栞」「サークルゲーム」など。2016年、東京・日本武道館でのライブをもって活動に終止符を打つが、2022年10月に尾崎雄貴、尾崎和樹、岡崎真輝(B)、初期メンバー岩井郁人(G)の4人による新体制での活動再開を発表。オリジナルアルバムの2枚同時発売、再録アルバムのリリース、演劇を取り入れたライブツアーの開催など、精力的な活動を展開している。2025年10月、雄貴&和樹とともにBBHFのメンバーとして活動し、かねてよりGalileo Galileiのサポートギターを務めているDAIKI(G)が正式加入し5人体制に。テレビアニメ「クジマ歌えば家ほろろ」のオープニングテーマ「木漏れ日坂」を2026年4月に配信リリースした。

衣装協力
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