SKY-HI|リクルート「FYHM」|仲間たちと描き出した、「個」であることの幸せ

リクルートの企画「Follow Your Heart & Music」特集の初回に登場するのはSKY-HI。彼は本企画のテーマに沿った楽曲として、最新アルバム「JAPRISON」に収録されている「New Verse」のリミックスバージョン「New verse - Remix feat. eill」を提供し、Spikey Johnとのタッグでミュージックビデオを制作した。インタビューではMVに込めたメッセージについて話を聞いたほか、自分の心に従いながらパワフルに音楽の道を進み続ける彼が抱く思いに迫った。

取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 映美 撮影協力 / J-WAVE

いい機会だからこそ、あまりキレイすぎないものがいい

──今回リクルートの企画する「Follow Your Heart & Music」でSKY-HIさんは「挑戦」というテーマに沿った新しいミュージックビデオを制作されました。まずこの企画のお話を聞いたときに、どのように感じましたか?

「自分に何ができるかな?」と考えましたね。企画テーマと俺が普段やっていることは遠い関係にはないということは確かに感じていたので、「やれることはあるな」と思ったんですけど。いい機会だからこそ、あまりキレイすぎないものがいいな、とかね。

──SKY-HIさんの中でリクルートのイメージって、どんなものでしたか?

完全に元社員のKEN THE 390さんのイメージですね(笑)。リクルートで働かれているときから知り合いだったし。KENさんはあるタイミングで辞められて、まさに“リクルート”なさるんですけど、そのあともリクルートさんとコラボしたりしてましたもんね。辞めてからもそういう関係性があるっていいなと思いました。“組織より人”みたいなところは好きな考えです。その逆の“人より組織”になると嫌だなと思っていたりするので。素敵な企業なんだなと思っていますし……今からの中途採用だと、自分がどういった待遇になるのか気になりますね(笑)。

「大したことあっても笑ってやろう」と言える曲にしたい

──今回提供されたのは「New Verse」のリミックスバージョンですが、SKY-HIさんが自身と向き合った末に完成し、「笑っちまいな」と歌う「New Verse」で、この企画に参加した理由はなんですか?(参照:SKY-HI「JAPRISON」インタビュー|“監獄”を抜け出す鍵はここに

無責任に「大丈夫だよ」と言う曲にはしたくないという思いがあったんです。かといって「24時間戦えますか」みたいな曲にするのも論外で。社会と接する年数が増えるに従って……特に就職以降ですね、親の庇護下から外れたとき、自分と向き合えるかというのはものすごく大切だと思うことが多くて。

──なるほど。

今って、自分とあまり向き合わなくても生活できちゃうんですよね、iPhoneの中にすべてが詰まっているから。自分と向き合う時間は減っていくし、就職活動なんかでも自己PRとかありますけど、自分のことを「こういう人間です」と形骸化して言うのも、そんなに自分のことが簡単にわかるほど楽なものじゃないと。社会生活をある程度していると、なおさら思うんですよね。なので誰かの門出のタイミングみたいな機会に送る曲を、「何があっても大丈夫!」じゃなく、自分と向き合った果てに「大したことあっても笑ってやろう」と言える曲にしたいと思ったのが1つ。

──ほかにはどういった思いが?

SKY-HI

あとは、ものすごく気に入ってる曲だというのもありますね。そう、共同制作者の中にMATZっていう20歳そこそこのビートメイカーがいたりしますけど、彼は「就活かな?」くらいの勢いで僕のところに来たのを覚えてますよ。イベント会場の楽屋まで来て「今度セッションやらせてください」って。その前にもSNS上でアプローチがありましたし。最初に会ってから1年くらい経って、やっと一緒にスタジオに入ったんですけど、その日に作ったものが手応えのあるものだったから、そこから「New Verse」を作っていったんです。あ、それで言うとフィーチャリングアーティストのeillちゃんもそうだ。リミックスコンテストに曲を送ってくれてたんで。2人共、わりとガツガツしてる……。でも思い返せば、自分もそういうタイプでした。クラブに毎日CD持って通っていたので。今クラブでデモCDとか渡したらめんどくさがられるんだろうな(笑)。

──そういった若い才能との共同作業はいかがですか?

自分より若い人から学ぶことは常にありますね。だから若い人と話すのも好きですし。日常生活で触れ合う人に影響されることって少なからずあると思うんですけど、一緒に曲を作る作業では特に。また「New Verse」が自分の中で特別な曲だからっていうのもあるけれど、“空気の共有”みたいな感覚がすごくありました。

──では、リミックスの仕上がりについては?

よかったと思います。eillちゃんはラップを自分で書かないというのを聞いていたから、「気付かずにラップさせてやろう」と思ってディレクションして(笑)。合いそうなものを作って歌ってもらったんだけど、それは“0から1”の作業なので、あとは「どういうふうに広げてくれるのかな」と期待していたら、本当にいい意味で想像通り。この「想像通り」は「やってくれるんじゃないかな?」と思ってたら実際にやってくれた、みたいなね。そういうタイミングがいっぱいあって、すごく楽しかったです。総じていい仕上がりだと思っております。


2019年3月4日更新