人間の裏側を書きたい

──続く「桃源郷白書」では、いけない恋愛の形が描かれています。

乱れた私生活の話を書きたくて。簡単に言えば女遊びをしている男性の曲になりましたね。最初はシンプルに女性と遊んでいる姿を書こうと思ったんですけど、「いや、そうはいかないぞ。だって悪いことをしてるんだから」っていう思いで、最後はちょっとダークな終わり方になっています。きれいな恋愛の歌詞は誰でも書けるような気がするので、だったら私は人間の裏側にある見えない部分を書きたいなって。

──サウンドはチャイナ風味になっていますね。

この歌詞を書いた頃にハマっていた山口美央子さんのアルバムにチャイナっぽい楽曲があって。その曲をめちゃくちゃ聴いていたので、本間さんに提案してそういうサウンドにしていただきました。それこそ「すみれ September Love」のようなイメージで。バイオリニストのNAOTOさんが弾いてくださった二胡もすごくいい雰囲気で、贅沢な仕上がりになりましたね。

──4曲目「SIDE B」は電話のSEが印象的に使われていて、ちょっとゾクッとする怖さがありますよね。

これは前作「Moonrise」に入っていた「Yの悲劇」のアンサーソングなんですよ。あの曲で「彼を渡さないわ」と言って嫌がらせをしていた女性は、実はその彼からずっと手を上げられていて、最悪な日々を送っていたんです。なのでこの曲では、その彼を手に入れた女性に対して「あの男には気をつけなさいよ」と忠告しているという内容になっています。だから歌詞に「DEAR Y」っていうフレーズが出てくるんですよね。「Yの悲劇」がA面だとしたら、この曲はB面。なのでこのタイトルになりました。

──感情のこもった歌が物語をより色濃くしてくれていますね。

ちょっと悲痛な叫びというか、荒ぶった感じを出しました。「Yの悲劇」でのパッション感は残しつつ、こっちはもうちょっと悲しさに寄せた歌い方を意識して。感情が爆発した大サビはライブで歌うのが超楽しみです！（笑）

中途半端じゃなくマジだからね

──そして最後は「ルバートには気をつけて！」。結婚の約束をしていたにも関わらず、突然別れを切り出された女性の悲しい思いが描かれた曲です。

人生にはいろんな波があると思うんですよ。いいときもあれば悪いときもある。そういった部分を曲にしてみたかったんですよね。なかなか悲しい曲になりました。歌詞は最初に「マニュアル通り、、、さりげなく、、、」というフレーズが浮かんで、そこから広げていった感じです。あと「シネマティックリアル」というのは私が作った造語なんですけど、今回のアルバムにはそういった言葉がいくつかちりばめてあるんですよ。

──なるほど。そういった部分からも80年代っぽい雰囲気が伝わってきますよね。

そうそう。「真冬のシアーマインド」の「シアーマインド」なんかもそうですね。そういう自分っぽい言葉を歌詞に盛り込むのは前作にはなかったことなので、そこは1つの成長かなと自分では思っています。

──来年2月には降幡さんの誕生日を祝うスペシャルライブ「Ai Furihata "Trip to BIRTH"」がBillboard Live TOKYOで開催されます。そして4月には横浜、名古屋、大阪、東京の4カ所を巡るZeppツアー「降幡愛 1st Live Tour」も決定しています。ソロとしての活動はここからも止まることなく加速していきそうですね。

はい！ 曲もだんだん増えてきましたし、2ndミニアルバムの曲たちをライブでお披露目できるのがすごく楽しみです。11月のライブで見えた自分なりのライブスタイルはそのままに、よりいろんなこだわりを随所にちりばめたステージを作っていきたいですね。ここからも「降幡愛は中途半端じゃなくマジだからね。マジのやつだよ！」ということをしっかりお伝えする活動をしていこうと思っています！