ナタリー PowerPush - ふくろうず”

シニカルはもう卒業 新境地「マジックモーメント」

「どうやって生きていくか」を歌ってる

──歌詞については、内田さんの作風がより力強くストレートになってるという印象を受けたんですけど。そのあたりはどう捉えてますか?

内田 今回「ベッドタウン」の歌詞とかはすごく気に入ってます。

石井竜太(G)

石井 うん、すごいはっきりしてるなあって思う。

安西 “なんとなく”な感じが前よりなくなってきてる印象はあるよね。

──曲を書くときは最初にテーマを決めるんですか?

内田 テーマを考えて歌おうって思ったことは1回もないですね。

──実際の歌詞やメロディがスルッと出てくる?

内田 どっちかっていうとそうです。あとは何か見たりとかすごい刺激を受けたりしたときに曲が生まれることが多いです。マンガを読んだりとか。

──なるほど。あと今回はラブソングよりも、メッセージソング的な内容が目立つ気がしたんです。人生の真実を言い当てたようなフレーズが端々に出てきますね。

内田 あ、でも「どうやって生きていくか」みたいなことは最初から一貫して言ってたつもりなんです。「ループする」(2009年発表の1stアルバム「ループする」に収録)とかも別に恋愛の歌じゃないつもりだし、根底にあるものは変わらなくて。でも歌詞とかそこまでちゃんと聴く人って少ないだろうし、もうちょっとメッセージが伝わるように書こうっていう意識は生まれてきました。斜に構える感じはなくなってきたと思う。

安西卓丸(B, Vo)

安西 いいと思う。そういうの逆にカッコ悪いもんね。

内田 でもちょっと飽きてきたから、次あたりまた戻るかもしれないけど(笑)。

──かと思えば「GINGA GO」みたいなシンプルな歌詞もあって。

内田 でも「GINGA GO」も「どこまでも 続いてく」って歌ってますけど、そんな100%前向きな曲じゃないんです。あきらめの曲でもあるというか。

石井 うん、途方もなさすぎるからね。

「とにかく全部やだ!」

──これまでふくろうずは照れ隠しも含めてちょっとシニカルな態度が根本にあった気がするんですが、このアルバムだけ聴くと内田さんはすごく熱い人みたいに感じますね。

内田 あはは(笑)。

──そう思われるのはイヤですか?

内田 うーん、なんでもイヤなんですよ、たぶん。シニカルに思われてもイヤだし、熱いやつだって思われるのもイヤだし。

──なるほど(笑)。

内田 かわいいやつだと思われるのもイヤだし、いきがってるやつだと思われるのもイヤ。とにかく全部やだ!みたいな。そういう人間なんです(笑)。

──でもそういうひねくれた内田さんが、歌に向かうときに正直になるっていうのが興味深いんですよね。

内田 でももっと正直でありたいなって思いました。直接的なことを書くとかっていうことではなくて。もう少し面白くて、もう少し素直で、聴いた人にいいって思ってもらえるような歌詞を書けるんじゃないかって最近すごく思ってるんです。

ニューアルバム「マジックモーメント」/ 2014年6月18日発売 / EPICレコードジャパン
「マジックモーメント」
初回限定盤 [CD+DVD]4400円 / ESCL-4218~19
通常盤 [CD]3140円 / ESCL-4220
CD収録曲
  1. GINGA GO
  2. デスティニー
  3. 夜の淵
  4. ユアソング
  5. テレビジョン
  6. ドキドキ
  7. マーベラス!
  8. イージーカム・イージーゴー
  9. 春の嵐
  10. 37.3
  11. ベッドタウン
  12. 赤い糸
  13. ハイブリッド レインボウ(ボーナス・トラック)
初回限定盤DVD収録内容
  • できない Music Video
  • マシュマロ Music Video
  • ごめんね Music Video
  • 砂漠の流刑地 Music Video
  • カシオペア(DEMOバージョン)Music Video
  • テレフォンNo.1 Music Video
  • 37.3 Music Video
  • マーベラス! Music Video
  • テレフォンNo.1 Music Video メイキング(前編)
  • テレフォンNo.1 Music Video メイキング(後編)
  • 砂漠の流刑地 2014.3.14 北とぴあライブ
ふくろうず

2007年に東京で結成。内田万里(Vo, Key)、石井竜太(G)、安西卓丸(B, Vo)からなる3人組バンド。2009年12月に初音源となるミニアルバム「ループする」をライブ会場などで限定発売。益子樹をエンジニアに迎えたこの作品は、独特の世界観と完成度の高いサウンドで大きな話題を呼び、2010年4月に2曲を加えた全国流通盤として再リリースされた。この音源をきっかけに人気は全国区に拡大。2010年10月に2ndアルバム「ごめんね」をリリースしたのち、2011年6月に3rdアルバム「砂漠の流刑地」でメジャーデビュー。2014年6月にアルバム「マジックモーメント」をリリース。