スカパー!×ナタリー PowerPush - FUJI ROCK FESTIVAL '12
日高正博×ブライアン・バートンルイス対談
2日目中止の発表をしたことは忘れられない
──そして97年に満を持して1回目のフジロックが山梨・天神山で開催されます。
ブライアン 僕はアメリカのLOLLAPALOOZAとかを観に行ってたし、当時のオルタナティブミュージックが大好きだったから出演者のラインナップに感激しましたね。洋楽はRED HOT CHILI PEPPERS、RAGE AGAINST THE MACHINE、THE PRODIGY、邦楽はTHE MAD CAPSULE MARKETS、電気グルーヴ、BOREDOMS。もう完璧だったんですよ。
日高 APHEX TWINがステージ上に犬小屋置いて、その中で延々プレイしてたじゃない。あれ、あとで本人に訊いたら出るに出られなかったんだって。自分のお面を着けたぬいぐるみたちがステージで盛り上がりすぎちゃって(笑)。
ブライアン APHEX TWINの犬小屋プレイ、いまや伝説ですけどね。
──そんな中、台風直撃で2日目がキャンセルになるという苦い経験もされて。いまや伝説となっている感がありますが……。
ブライアン 天神山スキー場はあんなに標高が高いにもかかわらず、みんなTシャツ、短パン、タオルにサンダルという軽装のお客さんばかりだったんですよ。それがすごい印象的で、同時に心配でもあったんです。
日高 俺は神様なんか信じてもいないけど、「調子に乗んなよ」って水ぶっかけられた気分だったね。あのとき、そこらじゅうでいろんな人がぐたーっとなってて、会場は本当に野戦病院みたいだった。次の日は晴れたけど、夜のうちに続行は不可能だって判断して、2日目は中止にすることにした。あの1年目があったから、今があるんだろうなと思う。
ブライアン 僕はあの日FM802の番組で、会場から生放送ラジオをやらせてもらってたんですよ。涙をこらえながら、2日目キャンセルの発表をしたことは忘れられないですね。
フェスとは不便さをどう楽しむか
──2回目は豊洲に場所を移して開催しましたね。開催自体を見送る可能性はあったんですか?
日高 俺はやめるなんてこれっぽっちも考えてなかったし、2年目も当然天神山でやるつもりだったよ。でも、お役所が出てきちゃって豊洲にせざるを得なかった。ほんとは夏の東京でなんてやりたくなかったよ。だって、何が起こるかわからないじゃない、あんな炎天下の中じゃ。
ブライアン 豊洲で開催された2回目はなぜかすごい覚えてます。暑かったですよねえ。
日高 豊洲に関しては、お客さんの健康問題が一番の課題だった。ブッキングしつつ、シャワーやウォータープール、日除けテントとか作ることも考えてさ。でも俺に言わせりゃ、豊洲はフェスティバルじゃないんだよね。都会の中のコンサートじゃキャンプもないし、なんといっても不便さがない。
──日高さんのいうフェスティバルの定義は、不便さ?
日高 不便さをどう楽しむかだよね。自己判断というか。最初から3~4年目くらいまでは、お客さんも目当てのアーティストだけを観たいって気持ちが強かったように思う。山の中はすっごく日が強いときもあれば、大雨なときもあるのに、自分の健康を考えないわけ。
ブライアン ガタガタ震えながらがんばっちゃう(笑)。
日高 でも誰も止めてくれる人がいないわけだから、自分でちょっと待てよってホテルに戻るなり、テントで休むなり、自己管理していかないと。そうやってお客さんが学んでいかないと、フェスティバルも進化していかない。
ブライアン そういう意味では、豊洲から苗場に移ったことが、ファンにとってもスタッフにとってもターニングポイントだったんじゃないですかね? もちろんひとつのバンドが観たいって気持ちはあると思うんだけど、そのプレッシャーを和らげるように枝分かれしていったのが今の形なんじゃないかと。いろんなアーティストがいて、いろんなステージがあって、いろんなアイテムがあって。ライブだけ追っかけなくても楽しめる。どんどん気持ちのいいフェスティバルの輪が、広がっていってるんじゃないかな。
──毎年フェスティバルを重ねていくことで、お客さんもそういったことを学んでいってる、定着していってると感じていますか?
日高 それはすごい感じるよね。もうほんとに優等生すぎるんじゃないの?ってくらい。
FUJI ROCK FESTIVAL
1997年よりスタートしたロックフェスティバル。1997年に山梨・天神山スキー場で開催された1回目は2日間の開催を予定していたが、台風が直撃したことで2日目は中止となってしまう。翌年開催された2回目は東京・東京ベイサイドスクエアで開催。そして1999年より新潟・苗場スキー場を会場に現在まで続いている。国内外のさまざまなアーティストを招聘し、ライブパフォーマンスだけでなく、反核運動やNGOによるレクチャーなども行われている。2012年はTHE STONE ROSESやRADIOHEAD、サカナクションといったビッグアーティストから無名の新人まで、幅広いラインナップを揃えて開催する。
チケット
3日通し券 42800円
1日券 17800円
駐車券 3000円(1日1台)
キャンプサイト券 3000円(1名)
※3日通し券と7月28日(土)29日(日)の1日券は売り切れ。
FUJI ROCK FESTIVAL'12 現地より生中継
BSスカパー!(BS241ch) / スカチャン5
2012年7月27日(金) 15:00~18:20
2012年7月28日(土) 15:00~18:20
2012年7月29日(日) 15:00~18:20
日本最大級の野外ロックフェス「FUJI ROCK FESTIVAL '12」を新潟県苗場スキー場から独占生中継! 今年も国内外のビッグネームをはじめ、注目新人など総勢200組近くが大集結する。番組では主要5ステージのほか、音楽と自然と人が一体となる3日間の模様をさまざまな角度から伝える。司会はブライアン・バートンルイス。各日の放送アーティストは未定。