はなわさんの粋な演出
──完成した「ツバメ」を聴いて、光黄さんはどんなことを感じたでしょう。
光黄 先ほど健水くんが言っていたDメロのあとは、俺が「さらば友よ」と歌う落ちサビなんですけど……ここだけは、メンバー同士の歌なのかなって思ったんです。このやりとりはお互いに向けて言っている気がして。
健水 うん。
光黄 感動しました。歌いたかったけどね、Dメロも!(笑) だけど、俺はあえて外されたんだと思います。
真咲 Dメロでは、僕らの思いを光黄くんに聴いてもらってるんです。
光黄 はなわさんの粋な演出だなって思いました。あとね、みんなの声がホントにカッコよくて。宙の「いつか見てろと!」(モノマネしながら)とか、もう誰!?くらいの勢いで。
怜生 マネしてる!(笑)
一同 あはははは!(笑)
光黄 力強くて、もう“草”じゃないよ。“木”みたいな感じだよ。
宙 ありがとうございます、すいません……!
光黄 宙、この曲全体的にいつもと違うよね?
宙 そうですね。思い切り歌ってます。
光黄 ホントに、新しいみんなも発見できました。
宙 恥ずかしい(笑)。でもうれしいです。
風男塾にいるから青春を感じられている
──サビのダンスは、ファンの方と一緒に踊れそうな振りになっていますね。
健水 はい。手振りが多いからファンの皆さんも一緒にできると思います。あとステージでは、この曲はマイクスタンドを使う曲になるんです。マイクスタンドは「同じ時代に生まれた若者たち」以来なので、ひさびさの感覚です。
光黄 振り付けの先生は違うんですけど、どこか「同じ時代に生まれた若者たち」を思い出すよね。エモーショナルな気分になる。
──そして、ミュージックビデオは地方でがんばるバンドの絆を描いたドラマ仕立てのものになっています。光黄さんが上京を決めるメンバー役で、皆さんの演技シーンが印象的でした。
光黄 そうですね。もう怖くて、まだ遠目でしか観てないんですけど(笑)。
健水 ええ、なんで!? けっこう感動したのに(笑)。
光黄 そんなにセリフはなかったんですけどね、本当にドラマみたいで。
健水 あのね、俺、光黄くんと向き合ってポーズ決めるシーンがけっこうキツかった。ホントに切なくなってしまって。
宙 最後のお別れのシーンですよね。
怜生 そう、あのシーンでみんながしてるポーズ、その場で生まれたんですよ(笑)。
健水 「ツバメ」の振り付けの中から取り出して。
──そうだったんですね。作品の中では5人の合言葉的な感じで、象徴的に使われていますよね。
健水 そうなんです。
光黄 で、あのポーズってどういう意味?
光黄以外全員 今!?(笑)
健水 「がんばれよ!」みたいな感じだよ! 「俺たちは通じ合ってるぞ」みたいな。
光黄 そっかそっか(笑)。てかあのシーンの4人、ホントにかわいかったです。怜生くんさ、泣いてなかった?
怜生 泣いてました(笑)。
光黄 青春を感じたよね。バンドの演奏シーンも楽しかった。
健水 そう、風男塾にいるから青春を感じられているという部分はホンマにあります。実際の学生時代は、映像の中みたいに仲間とはしゃぐことってなかったし。
真咲 あんな感じで友達を見送ったこともなかったです。
光黄 うんうん。
──そして、MVのラストにはすごく意味深なシーンもあって。光黄さんが落としたピックを渡す2人は誰?と、期間限定でフルバージョンが公開されていたYouTubeのコメント欄もざわついていましたが……。
光黄 すれ違った2人に落としたピックを託して「任せたよ」と伝える。意味深ですよね。でも、次の世代の子たちと同じMVに出れるのはうれしかったです、つながっている感じがして。卒業を発表したときのコメントにも「持っているバトンを次の人にタッチする気持ちでいます」ということを書いたんですけど、ホントにそれを具現化したようなMVになったなと思います。
価値観も変わったし、人として成長させてもらった
──光黄さんは2010年から今まで風男塾の活動を続けてこられましたが、9年間を振り返るとどんな気持ちになるでしょう。
光黄 言葉で表すのは難しいですね。いろんなことがありました。苦手だったダンスを覚えて、たくさんのメンバーの卒業を見届けて、新しい子たちを迎えて。そんな中で、卒業加入を繰り返していって、その都度グループが新しくなることがグループが長く続いていく秘訣だなと思ったし、風男塾は歴史がたくさん詰まったユニットになっているなと思います。いや……それは2010年の時点ですでに感じていたから「そこから9年経つのか」と思うと本当に不思議な気分で、一瞬で過ぎたようにも思うんですけど(笑)、でもホントに自分がやれることはやりきったかなと思います。さっき健水くんも言っていたけど、大人になってからの青春。青春を取り戻した!という感じの9年だったと思いますね。本当に楽しかったです。
──では、瀬斗光黄として活動してきた中で、ご自身の変化を感じるようなことはありますか?
光黄 ありますね。最初は後輩という立場だったけど、そこから“中間管理職”になり、先輩になり……という一通りの過程を経験させていただいて、受け入れる力、器の大きさや対応力が変わったかなと思います。先輩が本当に個性的な方ばかりで「自分は本当に無個性で何もない人間だな」と感じて、そこから「どうすれば個性を出せるんだろう」ということをすごく考えたのは新人のとき。で、中間管理職のときは「いろんな人がいるし、いろんな意見があるのは当たり前だな」ということがわかった。価値観も変わったし、人として成長させてもらったなと思います。
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いなきゃいけない人
- 風男塾「ツバメ」
- 2019年1月30日発売 / Imperial Records
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初回限定盤A [CD+DVD]
1550円 / TECI-650
- CD収録曲
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- ツバメ
- Ballad of the Phantom
- 初回限定盤A付属DVD収録内容
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- 「ツバメ」ミュージックビデオ
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初回限定盤B [CD+DVD]
1550円 / TECI-651
- CD収録曲
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- ツバメ
- Ballad of the Phantom
- 初回限定盤B付属DVD収録内容
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- 「ツバメ」ミュージックビデオメイキング映像
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通常盤 [CD]
1080円 / TECI-652
- 収録曲
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- ツバメ
- Ballad of the Phantom
- @Daylight
- ツバメ -Instrumental-
- Ballad of the Phantom -Instrumental-
- @Daylight -Instrumental-
- ライブ情報
風男塾 中野サンプラザ公演(タイトル未定) -
- 2019年2月11日(月・祝) 東京都 中野サンプラザホール
- 風男塾(フダンジュク)
- 「人を元気にする」を活動理念に結成された男装アイドルユニット。2008年9月にシングル「男坂」でデビューを果たし、男装によるクールかつエモーショナルなパフォーマンスでアイドルシーンにおいて独自のポジションを築き上げた。2017年には東京・日比谷野外音楽堂でのワンマンライブを成功に収め、2018年10月にはデビュー10周年を記念した「風ァイト!!!!!!」をリリース。幾度かのメンバーチェンジを経て、現在は瀬斗光黄(せとこうき)、愛刃健水(あいばけんすい)、藤守怜生(ふじもりれお)、紅竜真咲(くりゅうまさき)、草歌部宙(くさかべそら)の5人で活動している。2019年1月にシングル「ツバメ」を発表し、2月に行われる東京・中野サンプラザホールワンマンをもって光黄が卒業する。