音楽ナタリー PowerPush - fhána

アニソンシーンを疾走中 広がっていく4人の世界

ライブをイメージした「ソライロピクチャー」

──カップリングには「ソライロピクチャー」という曲も収録されています。こちらはyuxukiさんが作曲されていますね。

yuxuki waga

yuxuki はい。「星屑のインターリュード」がちょっとクラブっぽいノリで、音がたくさん入っている感じの曲だったので、こっちは対極とも言えるシンプルなわかりやすいバンドサウンドにしました。僕の思春期を彩っていたメロコアからピアノエモ路線のノリですね。これからライブも増えていくと思うので、初見でも楽しめてしまうような盛り上がりやすさも意識しました。

kevin けっこう明確にライブのことをイメージしまくってましたよね。

yuxuki うん。「ライブでは、ここできっとこう盛り上がるな」とか、バッキバキにイメージしながら作ってました(笑)。

towana 明るくさわやかなバンドサウンドなので、歌うのもすごく楽しかったですね。wagaくんには「エモく歌ってくれ」って言われたので、それを心がけながら。歌詞の世界観も、ちょっと悲しい部分のある「星屑のインターリュード」の歌詞の世界に対して、こっちはすごく明るくて、かわいらしさがあるんです。

fhána第5のメンバー・林英樹

──作詞は2曲ともfhána楽曲のすべての歌詞を手がけている林英樹さんですね。

佐藤 アニメの曲の場合はある程度の方向性は最初にお伝えするし、原作とか脚本とかももちろん読んで書いていただいてます。「星屑のインターリュード」の場合は、1990年代J-POP感と文学的であることをキーワードとしてお伝えしましたね。一方、タイアップのない曲に関してはもう基本的にはお任せしちゃってます。しっかりした信頼関係が築けてきているので、林くんにfhánaの世界観の一端を委ねてるところはどんどん大きくなってきてると思います。

kevin mitsunaga

kevin 僕らの中では、林さんは第5のメンバーくらいな感覚なので。お世話になりっぱなしです。

towana 歌う人が歌詞を書かない……林さんが書いた歌詞を私が歌うことで、過剰に暑苦しくならず、さわやかに聴いてもらえるところはあると思うんですよね。それがfhánaの良さにもなっていると思うし。歌詞が上がってきたときは毎回感動しています。

yuxuki 「ソライロピクチャー」の歌詞はお話っぽい雰囲気で書かれているのがいいんですよね。その中で、関わる人の輪が広がることで自分の世界が広がっていくという、ちょっと応援歌的なメッセージが込められているっていう。

──そのメッセージは、デビュー以降ファンであったりスタッフであったり、関わる人が増えていくことでその世界をグングン広げているfhánaの姿にも当てはまりますよね。

towana おー!

kevin つながりますねー!

佐藤 確かにそうですね。なるほどなるほど。言われてみればそうですね。

たくさんの人にfhánaを知ってもらいたい

──では最後にfhánaの今後についてお聞きできればと。本作のリリースをもって解禁となりましたが、来年2月4日には初のフルアルバムがリリースされることに。

kevin はい。今、絶賛制作中です(笑)。

佐藤 最初のfhánaの集大成でありつつ、5枚分のシングルが溜まっているのでベストアルバム的な意味合いのある作品になると思います。同時に、これまでを総括するだけではなく、次のfhánaの世界への扉を開ける内容にもしたいですね。生きているといろいろ憂鬱なことってありますけど、それを見据えた上でその外側の世界を目指していければいいなっていう思いを込めて、「Outside of Melancholy」っていうタイトルにすることも決めたので、そういう曲も新しく作ろうと思ってます。

yuxuki メジャーデビューする前に作っていた、超オルタナな、いわゆるエモい曲を入れる予定もあって。そういう部分でも今までのシングルでは出せていない面を詰め込むことができればなと。

──そして、2015年3月1日には東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで初のワンマンライブも決定しました。

towana 正直、ワンマンができる日が来るとは思っていなかったので本当にうれしいですね。デビュー以来、色んな人たちに支えていただいて、いい形で活動してこれているとは思うんですけど、私はfhánaのことをもっと定番化させたいんですよ。fhánaが新しい曲を出せば絶対に聴くよっていう人がもっと増えてほしい、端的に言えばファンをもっと増やしたいってことなんですけど、とにかくもっともっとたくさんの方に知っていただきたいんです。なので、初のアルバムと初のワンマンを通して、その願いに一歩でも近付けたらいいなって思います。ここからもっともっとがんばりますので!

yuxuki 来年は今年以上にアクティブに活動したいですね。ライブもね、アニメのイベントだけではなく異種格闘技戦的なことにも挑戦したいじゃないですか。

kevin 他の畑に勝負を挑む的な。

yuxuki うん。ロックフェスとかにfhánaとして出るのも楽しそうだなって思うんですよね。なので、そういったところも虎視眈々と狙っていきたいと思います!

fhána

佐藤 デビューして1年間で思ったのは、音楽を届けることの難しさは、人と人とが分かり合うことの難しさと同じだなということで。今、ネット時代で人々の価値観が多様化しているとは言われつつも、人間の願いや思いは、あまり変わらないと思ってるんです。昔の人も今の人も外国の人もそんなに変わらない。だけど、その心に届くルートが今は複雑になっていると思うんですね。例えば、言い方1つで受け取られ方は変わるし、誰が言ったかでも変わってしまう。他人と分かり合うのって難しいですよね。でもだからこそ、分かり合えたときは特別だと感じられる。そういう意味で、アニメというのは1つの大きな突破口だと思います。同じ曲でもアニメを通して聴くと、よさがスッと伝わったりする。今、アニメはたくさんのアーティストや音楽を人々の元へ届けるハブみたいなものになっているんじゃないかと。そういう中でfhánaとしても、アルバムや初ワンマンを通じて、たくさんの人にとって特別な存在になっていけたらいいなと思います。

ニューシングル「星屑のインターリュード」 / 2014年11月5日発売 / 1404円 / Lantis / LACM-14279
ニューシングル「星屑のインターリュード」
収録曲
  1. 星屑のインターリュード
  2. ソライロピクチャー
  3. 星屑のインターリュード(Avec Avec “twilight town” Remix)
  4. 星屑のインターリュード(Instrumental)
  5. ソライロピクチャー(Instrumental)
fhána(ファナ)

佐藤純一(FLEET)、yuxuki waga(s10rw)、kevin mitsunaga(Leggysalad)という3人のプロデューサーと、女性ボーカリストtowanaによる4人組ユニット。それぞれ個別に活動していた佐藤純一、yuxuki waga、kevin mitsunagaの3人が2009年に出会い、ボーカリストを固定しないユニットとして始動した。2012年秋にはゲストボーカルの1人だったtowanaが正式加入。「僕らはみんな河合荘」「ウィッチクラフトワークス」「ぎんぎつね」「有頂天家族」といったアニメ作品でテーマソングを担当して高い評価を集めた。さらにChouChoや相沢舞のプロデュース、さよならポニーテールやDECO*27の楽曲のリミックスなども行っている。2014年11月5日にシングル「星屑のインターリュード」をリリースした。シングル表題曲はアニメ「天体のメソッド」のエンディング曲。