音楽ナタリー Power Push - ZAQ×fhána

ないものねだりのマブダチ対談

4月27日、ZAQが11thシングル「割レル慟哭」を、fhánaが2ndアルバム「What a Wonderful World Line」をそれぞれ発表した。

共にランティスのレーベルメイトであり、プライベートでも交流があるという両者の新作同日リリースを記念して、音楽ナタリーでは対談を実施。数多くのアニメタイアップ曲を手がけるアーティスト同士、お互いの新作に対する思いはもちろん、楽曲制作のスタンスやアーティストとしてのあり方の違いまで、存分に語ってもらった。

取材・文 / 須藤輝 撮影 / 佐藤類

マブダチですから

──ZAQさんとfhánaの皆さんはランティスのレーベルメイトであり、昨年のアニサマ(2015年8月に埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催された大型アニメソングイベント「Animelo Summer Live 2015 -THE GATE-」)でコラボなさったりもしてますが、取材前の写真撮影の様子などを拝見するに、めっちゃ仲よさそうですね。

ZAQ もう、マブダチですから。

fhána一同 (笑)。

ZAQ

ZAQ 仕事以外でも、たまに一緒に飲みに行ったりとかね。

towana(fhána) でも、あんまり音楽の話はしたことないですよね。

yuxuki waga(fhána) ここじゃ話せないようなことをグダグダと。

ZAQ 最終的にはkevinイジリで終わるんだよね。kevinからどれだけ面白いネタが出てくるのか、試すように。

kevin mitsunaga(fhána) さんざん俺をイジリ倒して、飽きたら帰るっていう。

ZAQ でも、私はリーダーの佐藤さんとは個人的にお話したことがあんまりないんですよね。なんか、すごい繊細な人だって聞いたんですけど。

佐藤純一(fhána) 誰から聞いたんですか(笑)。

ZAQ いや、逆に私はすごい大雑把なんですよ。ミックス作業とか「とにかく印象がよければいい!」みたいな。でも、佐藤さんは絶対にそうはいかないだろうなと。fhánaの楽曲にしても、ガラス細工のように精巧で、こだわって作ってらっしゃるじゃないですか。

佐藤 (小声で)ありがとうございます。

ZAQ 合ってる? ねえtowanaちゃん、今ので合ってる? 間違ってたら言ってね?

towana 大丈夫、だいたい合ってる。

ZAQは突然変異だけど、fhánaは真っ当に進化している

佐藤 ZAQさんは、お世辞ではなく、うらやましいくらいの才能を感じるんですよ。

ZAQ (直立して)ひいいい! ちょっと、みんな聞いた?

佐藤 シンガーとして魅力的なだけでなく、ZAQさんは自分で歌うのはもちろん、作詞も作曲も編曲もやって、作る曲も面白くて、キャラも立ってるし、しかも作家として楽曲提供もしていて、すごいなと。

towana 今、ZAQさんの鼻がめっちゃ伸びてる(笑)。

ZAQ (鼻を高くするジェスチャーをしながら)いつ折られるかな(笑)。でも、それを言ったらfhánaも、私ができないことをやってるんですよね。私は協調性が皆無なので、人と何かをやるのが本当にダメ。音楽的な面でも、まずtowanaちゃんが唯一無二の声を持ってて、メロディやアレンジにしても、それぞれ作曲してる人のキャラが生きていて、誰も殺してない。バンドとしての見え方が美しいというか、真っ当に進化しているバンドだと思ってるんで。私ってけっこう、なんだろ……。

──シングルごとにアプローチを大胆に変えるタイプですよね。

ZAQ そうそう。突然変異っていうか、私は曲によってカウンターを入れる女なんです。でも、fhánaはバンドとしての方向性を明確にしつつ、そのうえで手を替え品を替え、エレクトロニカだったりインディーロックの要素を取り入れて変化を付けてる感じ。

佐藤 方向性、あるんですかね?

ZAQ ありますあります。

towana(fhána)

towana ZAQさんは今回のシングルの3曲だけでも歌い方が全然違う。というか1曲の中でも声をガラッと変えて歌ったりしてるから、私と正反対のアプローチをしてるなって。それは私には真似できないことで、ないものねだりじゃないですけど、うらやましく思いますし、尊敬してもいます。

ZAQ 私はたぶん、いろんな化粧をしたい女なんですね。でも、towanaちゃんはすっぴんで勝負できる。

towana ええー。そのお化粧って、自分で考えてやってます?

ZAQ はい。でも、あまりにもおかしな化粧をすると、止められます(笑)。

ZAQというアーティストは、本当は1人じゃない?

──今、towanaさんからZAQさんのニューシングルの話が出ましたが、その表題曲「割レル慟哭」はアニメ「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」第2期のオープニングテーマに採用されています。

ZAQ はい。

──ZAQさんは同アニメ第1期のオープニングテーマ「カタラレズトモ」も担当されましたが、この「割レル慟哭」もその延長線上にあるヘビーな曲で。しかもインダストリアルとダブステップを横断する、ここ数年のエレクトロニックミュージック界隈のトレンドを消化した曲でもありますね。

ZAQ そうですね。今回は特にヨーロッパのロック、クラブ文化の雰囲気みたいなものを取り入れたいと思って。前のインタビュー(参照:ZAQ「hopeness」インタビュー)でも言いましたけど、私が書く曲はどうしてもメロディが歌謡曲っぽくなってしまうので、やっぱりアレンジで斬新さを打ち出したい。なので、「割レル慟哭」は洋楽の流行を意識しましたね。

yuxuki このアレンジって、ZAQさんが全部やってるんですか?

ZAQ やってます。

kevin ZAQさんのアレンジの引き出しの多さには、毎回驚かされますね。「ZAQさんって、本当は1人じゃなくて、実は何人かいるんじゃないか?」って思っちゃうくらい。トレンドを押さえたサウンドとか、クラブで鳴ることを意識したサウンドとか、すごいなと。

ZAQ ニューシングル「割レル慟哭」 / 2016年4月27日発売 / Lantis
アーティスト盤 [CD+DVD] 1944円 / LACM-14479
アニメ盤 [CD] 1404円 / LACM-14480
CD収録曲
  1. 割レル慟哭
  2. 星空を歩く音
  3. Page
  4. 割レル慟哭(OFF VOCAL)
アーティスト盤DVD収録内容
  1. 割レル慟哭 Music Video
  2. Making of 割レル慟哭
ZAQ 2ndアルバム「NO RULE MY RULE」 / 2016年7月13日発売 / Lantis
Now Printing
初回限定盤 [CD+DVD] / 4320円 / LACA-35570
通常盤 [CD] / 3240円 / LACA-15570
fhána 2ndアルバム「What a Wonderful World Line」 / 2016年4月27日発売 / Lantis
初回限定盤 [CD+Blu-ray Disc] 3888円 / LACA-35557
通常盤 [CD] 3240円 / LACA-15557
CD収録曲
  1. The Color to Gray World
  2. What a Wonderful World Line
  3. ワンダーステラ
  4. Relief
  5. little secret magic
  6. Antivirus
  7. 虹を編めたら
  8. critique & curation
  9. c.a.t.
  10. Appl(E)ication
  11. 追憶のかなた
  12. ホシノカケラ
  13. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
  14. gift song
初回限定盤Blu-ray Disc収録内容
MUSIC VIDEO
  1. What a Wonderful World Line!
  2. 虹を編めたら
  3. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
  4. ワンダーステラ
リスアニ!LIVE 2016 LIVE映像
  1. 虹を編めたら
  2. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
  3. divine intervention
  4. 星屑のインターリュード
  5. Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~
fhána「What a Wonderful World Line Tour 2016」
  • 2016年5月7日(土)東京都 LIQUIDROOM
  • 2016年5月14日(土)愛知県 ElectricLadyLand
  • 2016年5月15日(日)大阪府 umeda AKASO
  • 2016年6月4日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO(※追加公演)
ZAQ(ザック)
ZAQ

シンガーソングライター。3歳の頃からピアノを始め、音楽大学のピアノ科に進学。学生時代に触れたアニメソングに衝撃を受け、アニソンシンガーを目指すように。ニコニコ動画主催のコンテストでファイナリストとなったことを契機に、2012年、アニメ「未来日記」のキャラクターソング「正義戦隊ゴ12th!!」のサウンドプロデュースを手がけてクリエイターデビュー。その後もさまざまなアニメ作品に楽曲を提供し、また同年10月にはアニメ「中二病でも恋がしたい!」のオープニングテーマ「Sparkling Daydream」でアーティストデビューを果たした。以来順調にシングルリリースを重ね、2014年4月には初のオリジナルフルアルバム「NOISY Lab.」を発表。また2013年以来、毎年、国内最大級のアニメソングイベント「Animelo Summer Live」に出演している。2016年4月に通算11枚目となるニューシングル「割レル慟哭」をリリース。表題曲はテレビアニメ「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」の第2期オープニングテーマに採用された。また同年7月には2ndアルバム「NO RULE MY RULE」がリリースされる。

fhána(ファナ)
fhána

佐藤純一(FLEET)、yuxuki waga(s10rw)、kevin mitsunaga (Leggysalad)という3人のプロデューサーと、女性ボーカリストtowanaによる4人組ユニット。それぞれ個別に活動していた佐藤純一、yuxuki waga、kevin mitsunagaの3人が2009年に出会い、ボーカリストを固定しないユニットとして始動した。2012年秋にはゲストボーカルの1人だったtowanaが正式加入。「僕らはみんな河合荘」「ウィッチクラフトワークス」「ぎんぎつね」「有頂天家族」「天体のメソッド」といったアニメ作品でテーマソングを担当して高い評価を集めた。さらにChouChoや相沢舞のプロデュース、さよならポニーテールやDECO*27の楽曲のリミックスなども行っている。2016年4月には2ndフルアルバム「What a Wonderful World Line」をリリース。アルバム発売後には東名阪3都市を回るライブツアー「What a Wonderful World Line Tour 2016」を行う。