ファンタスティック☆パイセン|アニメタイアップの夢を叶えて語るファンタスティックな野望

TikTokやYouTube shortsでヒット曲の替え歌を用いたあるある替え歌“あるうた”を多数公開し、中高生を中心に大きな人気を集めている2人組バンド、ファンタスティック☆パイセン。昨年8月にデジタルシングル「他力Hong Gung」でアーティストデビューを果たし、今年8月には「校則あるあるのうた」、9月にはテレビアニメ「ニンジャラ」エンディングテーマとなる「友情的行進」を2カ月連続でリリースするなど、精力的な活動を展開している。

音楽ナタリーでは、ファンタスティック☆パイセンのまほパイセン、ももパイセンの2人にインタビュー。結成からの歩みを振り返りつつ、音楽活動に対する熱い思いを語り合ってもらった。

取材・文 / もりひでゆき撮影 / 笹原清明

2人の出会いはディスティニー

──今年9月で結成2周年を迎えたファンタスティック☆パイセンですが、そもそもどんな流れで結成されたバンドなんでしょうか?

まほパイセン 私たちは普段、パイセン島に住んでるんですよ。地球儀には載ってない、心のきれいな人だけに見える島なんですけど。

──へえ。そこで出会ったわけですか。

まほパイセン ……すんなり受け入れてくださるんですね(笑)。

ももパイセン いつも「え?」って聞き返されるのに(笑)。初めてじゃない?

──あははは(笑)。ちょっと事前に予習してきたので免疫がありました。

まほパイセン なんだ、そうだったんですか(笑)。そんなピンク色でハートの形をしたパイセン島で私が普通に道を歩いていたところ、気付いたらももパイセンが横にいて。「あれ? なんかドラム叩きそうな顔をした子だな」と。

ももパイセン 私もまほパイセンを見て「あれ? もしかして歌、歌う子じゃない?」と思って。

まほパイセン で、パイセン寺でファンタスティック☆パイセンを結成しました。2人がそれぞれのパイセンハイスクール生活を送っていた、ある日の出来事です。

ファンタスティック☆パイセン

ファンタスティック☆パイセン

──まほパイセンはシンガーを目指していたんですか?

まほパイセン そうですね。パイセンジュニアハイスクールのときから歌手になりたいと思っていたので、パイセン島ではパイセンボイススクールに通ってたんですよ。そこでレコーディングの練習とか、リズムを取るグループレッスンとか、そういうことを地球の年数にすると5年くらいやってました。パイセン島の時間で言うと2秒くらいなんですけど。

ももパイセン あははは。島だとみんな動きがめっちゃ早いもんね(笑)。

──そして一方、ももパイセンはドラムをやられていたと。

ももパイセン はい。ドラムはパイセンハイスクールの軽音部で始めました。そこからずっと音楽をやりたいなと思って過ごしていたので、まほパイセンと出会った瞬間に「バンド組んじゃおうか!」みたいな流れになったんですよね。

まほパイセン うん。2人ですけど、自分たちの認識としてファンタスティック☆パイセンはバンドなんですよね。

ももパイセン 完全にバンド。まほパイセンと出会ったときはもうディスティニーって感じだったよね。

まほパイセン ホント、ディスティニーだった。最初から仲がいいですし、2年も経つともはや家族みたいな関係にもなってきて。

ももパイセン 普段から着てる洋服が被ることも多いし。

まほパイセン 発言が被ったりもするよね。突然、同じ曲を歌い出したりとか。

ももパイセン 怖いぐらいに思考がハモっちゃう。

まほパイセン ここまで相性がいいとは思ってなくて。自分たちでもビックリしてますね。

ももパイセン ホント、ディスティニーです。

──お二人はそれぞれどんな音楽を聴いてきたんですか?

まほパイセン 私はいきものがかりさんが好きで。吉岡聖恵さんのストレートな歌声にずっと憧れてきました。あとは星野源さんもよく聴いていますね。思わず体が動きだしちゃうようなポップな曲が好きです。

まほパイセン

まほパイセン

ももパイセン 私は邦ロックが大好きで。マカロニえんぴつさんとかフォーリミ(04 Limited Sazabys)さんとか、バンドの曲ばっかりをゴリゴリに聴いてきましたね。最近はインディーズのバンドもいっぱい聴いてます。バンドマン、カッコいいです。

──音楽の好みはけっこう違うんですね。

ももパイセン はい。性格も含めて案外似てないところも多いんですよ。

まほパイセン それぞれの個性があるのかもしれない。

ももパイセン 基本、まほパイセンってうるさいじゃないですか。

まほパイセン 急に悪口言われたけど(笑)。確かに私は声が大きいよね。「カラダはミニマム、やる気はマックス」というキャッチコピーでやらせてもらってるので。

──声の大きさ的に言うと、ももパイセンはけっこう静かなトーンですよね。そこは真逆かもしれない。

まほパイセン そうですね。ただ、ももパイセンはうるさく騒ぐわけではないけど、落ち着いているわけでも全然ないんですよ。その場の雰囲気をガラッと変える爆発力のあるひと言をポロッと言ったりすることがけっこう多くて。

ももパイセン 人を笑わせることが好きなので、常に面白いことを考えてはいますね。歌詞を書くときにはちょっとクスッと笑えるポイントを大事にしていますし。似ているようで似ていない2人がそろっていることで、バンドとしてはすごくいいバランスなんじゃないかなと自分たちでは思ってますね。

ももパイセン

ももパイセン

脳みそがファンタスティック

──結成後はTikTokを中心に活動をスタートさせ、そこで公開されるあるある替え歌“あるうた”がどんどん注目を集めていきましたよね。

まほパイセン まずは私たちがどれだけファンタスティックなのかを知ってもらおうということで、たくさんの人たちが使っているTikTokでいろんなネタを上げることにしたんですよ。

ももパイセン 最初はいろんなネタを投稿してたんですけど、あるとき、「替え歌いいんじゃない?」という話になって。そこで初めて“校則あるある”を替え歌にしてみたんです。私自身、パイセンジュニアハイスクールのときに校則がかなり厳しかったので、きっと共感してもらえるんじゃないかなと思って。

まほパイセン うん。その前から学校生活のあるあるをショートコントみたいな感じでやってはいたので、それを替え歌と混ぜちゃった感じでしたね。そうしたら、それがけっこうバズったんですよ。そこで「これはイケるかもしれない」と思い、ファンタスティック☆パイセンとしての1つのスタイルになっていった感じです。

ももパイセン 替え歌のあるあるネタで何本くらいやったかな? 200くらい?

まほパイセン うん。200は超えてると思う。

──あるあるネタを考えるのは大変そうですよね。

まほパイセン そうですね。けっこう大……いや、ネタは降ってきます、ファンタスティックだからすぐ降ってきます(笑)。ネタができたら、曲に合わせてももパイセンが作詞をしてくれます。ももパイセンも歌詞はすぐ降ってくるでしょ?

ももパイセン うん(笑)。降ってきたのをメロディに合わせた歌詞にまとめて。もともと替え歌が得意だったかというとそういうわけじゃないんだけど、降ってきちゃうからもどうしようもないというか(笑)。

まほパイセン 脳みそがファンタスティックだからね(笑)。

まほパイセン

まほパイセン

──もともと音楽が好きで、バンドという意識で活動をしていたファンタスティック☆パイセンにとって、替え歌スタイルのあるあるネタは親和性が高かったんでしょうね。で、そこで注目度を高めた2人は2021年8月に「他力Hong Gung」でアーティストデビューを果たしました。

まほパイセン 自分が歌手になれる日をずっと夢見ていたので、「他力Hong Gung」をリリースできたことは本当にうれしかったですね。キラキラピコピコしたテクノポップなサウンド感もファンタスティック☆パイセンにすごく合っていて、「ジャストフィットだ!」と思いました。

ももパイセン うん。明るいサウンドにまほパイセンの声がすごく合うんですよ。だからホントにジャストフィットだと思う。私はサブスクヘビーユーザーなので、自分たちの楽曲がサブスクで配信されたのが何よりうれしかったですね。

ももパイセン

ももパイセン

まほパイセン 周りのファミリーパイセンやフレンドパイセンもみんな喜んでくれたしね。TikTokのコメント欄には「クセになる曲」「いつも口ずさんでます」みたいな声もたくさんあったので、ホントにうれしい気持ちしかなかったです。

──リリース以降はライブやテレビ出演も経験されて。アーティストとしての成長を実感するところもあるのでは?

まほパイセン レコーディングにはだいぶ慣れたし、あとは人前でパフォーマンスすることに対しての余裕が生まれてきた気がします。ライブのときにアドリブで思い付いたことを言えるようになってきているので、そこは成長しているのかも。

ももパイセン うん。今まで以上に盛り上げ上手になった。私はドラムを組み立てるのが早くなったのが成長かな。ライブのときに叩く電子ドラムを、今までは15分ぐらい格闘して組み上げてたんですよ。でも今はもうサカサカサカーって。秒で完成させられるようになりました。

まほパイセン 進化はね、ここからもどんどんし続けていきたいですよね。私たちの曲を聴いて「いいな」と思ってくれる人をもっとどんどん増やしていきたいという気持ちが強くなってきているので。自分たちがまず何より楽しみながら、歩みを止めることなく活動していけたらなと思っています。