「お薬タイム」はこのくらいやったほうが面白い
──今回のアルバムに収録される「お薬タイム」という曲で、旧知の仲であるお二人の初コラボレーションが実現しました。制作はどのように進んでいったんですか?
erica 普段は私が作ったデモをお渡ししてアレンジをしていただく流れが多いんですけど、Carlosくんとの作業はスタジオで一緒に作り上げていく感じで。しかも私がイメージを伝えると、「こんな感じ?」「こういうのはどう?」みたいにアレンジもその場でどんどん作ってくれるんですよ。CDになってるアレンジの半分くらいはその場で作られたものですからね。そこは作曲家であり、アレンジャーでもあるCarlosくんならではなのかなって。
Carlos K. イギリスなんかのクリエイターは基本的にアレンジからやるからね。そこである程度世界観を作っておいてあげたほうが、メロディを作る人もイメージしやすいから。
erica うん、ほんとにイメージしやすかった! 普段の作り方だと、どんなアレンジが上がってくるのかがちょっと不安なときもあるんですよ。自分のイメージとちぐはぐなものが上がってきてしまう場合もないわけではないし。でも今回はそんな心配がなかったんですよね。制作もすごくスピーディだったし、私としては初めての経験ですごく新鮮でした。
──歌詞は落ち込んでいる人を変顔で励ますという内容になっています。アップテンポでにぎやかなサウンドと相まってすごく元気が出る仕上がりですよね。
erica この曲は歌詞も現場で書いたんですけど、途中で急にふざけたくなっちゃったというか(笑)。変顔特集みたいな感じで、サビ頭は“お猿さん”“子豚さん”“はんにゃさん”みたいにしようと思ったんですよね。で、それをCarlosくんに伝えたら、「何言ってんの?」みたいな感じで、その場の空気が一瞬固まって(笑)。
Carlos K. 童謡じゃないんだからさっていう(笑)。
erica でも私としては、そういうサビにすることでライブや、友達との動画撮影とかでかわいく使ってもらえるんじゃないかなという思いもあったんですよ。そしたら「それは面白いかもね」ってことで採用してもらえたんですけど。
──“お猿さん”“子豚さん”の流れではそれぞれ鳴き声的なSEが入っているので、Carlosさんもしっかりそのアイデアに乗っかったってことですよね。
Carlos K. 乗っかりました。っていうかそういう指示が来たッス(笑)。
erica あははは(笑)。そうね。「もっといい音ないの?」みたいなね。
Carlos K. でもこの曲はそのくらいやったほうが絶対面白いなという思いもあって。最初は戸惑ったけど(笑)、ericaはやっぱりエンターテイナーなんだなと改めて思いましたね。歌に関してもericaは自分なりの色をしっかり持っているんで、表情豊かに安定した歌を入れてくれたのが素晴らしかったです。ディレクションすることもなく、全部おまかせでしたから。
「あなたへ贈る歌2」はどんな状況の人の心にも響く曲になったはず
──また、今回のアルバムにはericaさんの代表曲である「あなたへ贈る歌」の続編である「あなたへ贈る歌2」が収録されていることも大きなトピックです。これについても一言いただけますか?
erica 「あなたへ贈る歌」は私が告白ソングを歌うようになったきっかけの曲でもあるので、ずっと大切に歌い継いできたんですよ。ただ、リリースから時間が経ったこともあるので、今の自分の声で改めて歌ってみたいなという思いもあって。そこでまずアレンジ違いのバージョンを新録で入れることにしたんです。
──それがアルバムのラストに入っている「あなたへ贈る歌(Fantastic Orchestra Ver.)」ですよね。
erica はい。で、それを録ってるときに、この曲の主人公の女の子はその後どうなったのかなってふと思ったので、じゃ作ってみようということになって。ただ、歌詞をどう書いていくかという部分でかなり悩みました。ほんとに何パターンも書きましたから。
──結果、「あなたへ贈る歌2」は一緒にいる恋人に対して改めて自分の気持ちを告白する歌になっています。
erica そうそう。例えカップルとして成立している人であっても、告白は何回だってしていいんだよ、ということを言いたかったんです。もちろんこれから恋を実らせようとしている人に対してもしっかり寄り添えるような書き方を意識したので、きっとどんな状況の人の心にも響く曲になったんじゃないかなと思っているんですけど。
Carlos K. へえ、いいね。僕は今さっきCDをいただいたんで、帰ったら聴いてみます。(収録曲を眺めながら)面白いタイトルの曲も多いね。「あまのじゃく子」とか気になるわ(笑)。
erica それはね、自分の気持ちを素直に表せない女の子の歌です。基本的に女の子のあるあるが詰まっていると思うので、男性の方はこれを聴いて女心を勉強してください!(笑)
Carlos K. はい、勉強します(笑)。
──本作をきっかけに、またお二人のコラボが実現するといいですね。
erica また何かできたらいいですよね。断られるんじゃないかという問題もありますけど(笑)。
Carlos K. いやいや(笑)。今回はご一緒できてほんとうれしかったんでね、またぜひ。
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