「この人、天才なのかな?」
──ericaさんは現在“告うたのカリスマ”として中高生から絶大な支持を受けているわけですけど、その片鱗は高校時代からありました?
Carlos K. いや、全然なかったですよ(笑)。
erica そうなんです。ないんです。私はたくさんの人と付き合ってきた恋愛マスターみたいな感じに思われがちですけど、それはほんとに誤解なんですよ(笑)。ファンの方からいただいたお手紙や、友達としゃべってることを元にして曲作りすることがほとんどなので。
Carlos K. 高校時代はまったく男っ気なかったでしょ。「誰々のことが好きで」みたいな話もまったく聞いたことなかった。
erica ずっと好きな人はいたんですけどね。いかんせんこういうキャラだからなかなか言い出せず。ずっとストーカーみたいに陰から見てるだけだったんです。全然告白なんてできない(笑)。
Carlos K. だから最初にericaがやってる音楽を聴いたときはちょっとビックリしたんですよ。高校時代のイメージからすると、アップテンポのきらびやかなダンスチューンを歌ってそうな感じでしたからね。でも実際はすごくナチュラルで、弾き語りでもしっかり聴かせられるような音楽性で。歌詞の内容的にもすごくピュアだから、同性の方が共感するのも納得できるというか。
erica なんかこっ恥ずかしいですよね(笑)。昔の私を知ってるガチ友達が自分の曲を聴いてくれてるのって。
Carlos K. いやでも、ericaにこんな一面があったんだなって思うと、ちょっと感動的だったけどね。
erica え、じゃあ私の作曲に関してはどう思う?
Carlos K. 感覚的じゃなくて、きわめて音楽的に作ってるなと思った。僕なんかよりも全然音楽に対する感覚が鋭くて、ちゃんと音楽を理解しながら作ってる気がするというか。「この感情だったらこのコードで」みたいなことをすごく考えてるはずなのに、それを現場ですぐにやってみせてくれたりもするから、「この人、天才なのかな?」みたいな(笑)。今回一緒に制作をしてみて、そんなことも感じましたね。
erica 何それ! そういうことはもっといっぱい言って、言って!(笑) 私的にはけっこう感覚的に作ってると思ってたんですけどね。勢いのまんまに書くことが多いから。でも確かにそう言われると、気持ちいいコード進行とかアレンジのイメージなんかはしっかり考えながら作ってる気もしますね。
アルバムだからこそできることにたくさんトライした
Carlos K. あと、ericaのいいところは聴いてくれる人のことをしっかり考えて作っているところ。「この言葉を使うと、聴き手はこう思うかな」とか、「こうすればこんな振り付けで楽しんでくれるかな」みたいなことを常に考えていて。もちろん自分の気持ちもしっかり注ぎ込まれているとは思うけど、相手の気持ちを最優先にするところは素晴らしいなと思いますね。
──今回リリースされた最新アルバム「告うた3~あなたへ贈る歌2~」を聴かせていただくと、楽曲のバリエーションの豊富さが強く印象に残りました。そこも大きな魅力なんじゃないかなと。ericaさんに抱いていた“ラブバラードの人”というイメージがいい意味で覆されたので。
erica 今までのアルバムは確かにそういうイメージがあったと思うんですけど、今回は「それだけじゃないぞ」というところを見せるものにしたかったんですよね。アルバムだからこそできることにたくさんトライしてみたんです。結果、自分の中からあふれてくるやりたいことをいろんな形で表現できたと思います。それはCarlosくんと一緒に作った曲もそうだしね。
Carlos K. へえ、そういう狙いがあったんだ。
──一方のCarlosさんもさまざまなアーティストにさまざまなタイプの楽曲を提供されていて。そういった振り幅の広い音楽性がericaさんとの共通項のような気もしました。
erica 確かにめちゃめちゃ幅広いですもんね。
Carlos K. 僕はそれが仕事なんで(笑)。まあでも個人的にも音楽はジャンル問わず、なんでも好きなんですよ。ヒップホップやR&Bも好きだし、ロックやクラシックも好き。それぞれの音楽によさがあるし、1曲の中でそれらをミックスしてみたりするとまた新しいものが生まれたりもする。そういう曲作りが僕は好きなんですよね。
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「お薬タイム」はこのくらいやったほうが面白い