エルフリーデがメジャー1stミニアルバム「rebirth」を3月18日にリリースした。
メジャーデビューアルバム「real-Ize」から約1年というタイミングでの発表となった本作には、元日に先行配信されたリード曲「Break Heart」やバンド初となるタイアップ曲「栄光へのエール」など全6曲が収録された。激しく疾走感のあるギターロックサウンドとキャッチーでポップな歌メロを持った王道ナンバーはもちろん、ツインボーカルやラップにも挑戦した意欲的な作品となっている。
音楽ナタリーでは今回、みくる(Vo)、山吹りょう(G)、星野李奈(B)、ゆーやん(Dr)のメンバー4人に加え、サウンドプロデューサーの小田内志徳(Quint)にも同席してもらいインタビューを実施。新作の聴きどころからバンドの目指すもの、さらには綿密に練られた戦略に至るまでをたっぷりと聞いた。
取材・文 / ナカニシキュウ 撮影 / 曽我美芽
6曲にしっかりとドラマがある
──メジャーデビューから1年近く経ちました。振り返ってみていかがですか?
みくる(Vo) あっという間の1年でした。
星野李奈(B) 本当にあっという間で。ツアーに行って、ワンマンやって、ずっと駆け足だったなって。振り返る時間もなかったですね。
ゆーやん(Dr) 私は、ちっちゃい頃によく遊んでた親戚の子からSNSで「音楽やってたんだね! お母さんに聞いたよ」ってメッセージが来ました。あと、ドラムをやっていることは友達にも言ってなかったんですけど、「バンドやってたの!?」と連絡が来たり。けっこういろんなところにバレました(笑)。
星野 メディア露出の機会も増えましたからね。街で声をかけられることも多くなりましたし。
──そして新作「rebirth」が完成しました。レコーディングはどんな感じで?
星野 普通のバンドさんは1つのレコーディングスタジオを何日間か押さえて、全員でディレクションし合いながら録っていくことが多いと思うんですけど、うちでそれをやると恥ずかしがり屋のメンバーが弾いてくれなくなっちゃうので、個々に録っていくんです。ベースとボーカルはお互い意見を出し合ったりするので一緒に録って、ドラムとギターに関しては準備が整い次第、小田内さんと仕上げていく感じですね。
──まるでリモートワークみたいですね。そうして作り上げた「rebirth」は、どんな作品になりましたか?
星野 「rebirth」は“再生”という意味で。1月にやったワンマンライブが「break down」、つまり“破壊”というテーマだったんですけど、そこから「rebirth」して強くなっていくというストーリーですね。そのテーマ性を踏まえて聴いていただくと、6曲にしっかりとドラマがあるんです。
──1曲1曲はもちろんだけど、アルバムとしてまとめて聴いてほしいと。
星野 そうですね。今までやってこなかったようなビート感だったりツインボーカル、ラップにも挑戦していて。飽きずに聴けるので楽しんでほしいなと思います。
メリハリがあってカッコいい曲
──では楽曲について詳しく聞かせてください。まず1曲目「Break Heart」は、ポップで王道なエルフリーデ流ロックチューンです。
みくる デモをいただいた段階から「めちゃくちゃいい……!」って思いました。すごく聴き込んだということもあって、レコーディングもすんなりいけましたね。
星野 これはライブで唯一すでに披露している曲で。イントロから序盤は白玉のベースやクローズドリムショット、ギターのディレイによって神秘的で浮遊感のある感じになっていて、そんな中でボーカルがすごく映えるんです。そのふわふわした感じからサビでガツンといくので、すごくメリハリがあってカッコいい曲だなと思ってます。
──ちょっと不思議に思ったのは、最後のサビは2回繰り返しなのかと思いきや、けっこう違うことをやってますよね。これ、普通にサビ2回ではダメだったんですか?
小田内志徳 あえてそういうふうにしています。最後の大サビを2回、同じテンポ感で攻めるのは容易なんですけども、ちょっとここはクライマックス感を出したいなと思ってハーフテンポに落としました。曲を飽きずに聴いてもらいたいというのが大きなテーマとしてありまして。
──なるほど。この曲に限らず、エルフリーデの楽曲って「同じパターンがもう1回来るのかと思ったら、ちょっと違う」みたいなケースがめちゃくちゃ多いですよね。覚えるのが大変じゃないですか?
星野 あはは、そうですね(笑)。
小田内 演奏する側はね(笑)。
星野 ジャズとかと違って、ポップスって完成されたものをその通りに弾くのが醍醐味だったりもするじゃないですか。ライブアレンジで演奏を変えることはもちろんあるけど、お客さんは「CDで聴いてたアレが聴きたかったのに!」みたいに思うかなって。
──ああ。例えば大御所の歌手の方がテレビでめっちゃタメて歌ったりしますけど……。
星野 「聴きたいのはそれじゃないんだよ!」みたいなこともありますよね。そういった意味では、アレンジは凝っているほうが映えると思います。ただまあ、新曲とかだと最初は弾き間違えちゃうかもしれません(笑)。
次のページ »
りょうをバンドに誘った理由の1つ