ナタリー PowerPush - dustbox

疾走するメロディックビート 2年ぶりアルバム「starbow」完成

dustboxが待望のニューアルバム「starbow」を11月3日にリリースする。ライブで培った勢いと、アルバムならではのストーリー性に満ちたこの作品は、そのタイトルが表すようにキラキラとした映像を浮かび上がらせ、バンドが持つスピード感を感じさせてくれる。今作について、SUGA(Vo,G)に話を訊いた。

取材・文 / 遠藤妙子

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今回はひとつひとつの音にこだわった

──この6thアルバム「starbow」は、美しいメロディと疾走感を併せ持った会心の内容だと思います。3rdアルバム「13 Brilliant Leaves」から1年ごとにリリースを続けてきましたが、本作まで2年の期間が空きました。まずはその理由を。

特に理由はないですけど、このまま年に1枚アルバムを作り続けるとバイトのシフトみたいになっちゃいそうで(笑)。

──例えば、自分たちを改めて見つめ直すことなどもあったんでしょうか?

リリースを止めたのは、決まり事みたいになるのがイヤだっただけですね。見つめ直すとかは別に考えてないです。ただライブ中心に活動がしたかっただけで。あれだけ制作してツアーを回ってということを続けてると、他のバンドのツアーサポートもできなくなりますからね。

──ではこの2年間での活動から、具体的に本作の制作へ向かうきっかけのようなものはありました?

ワンマンライブの予定があって、それに合わせて1曲くらい新曲を演奏できたらいいねって話をしていて、2、3曲作り始めたのがきっかけですかね。そこから少しずつデモを増やして。その後、メンバーみんなでアルバムの曲を作り始めたのは、レコーディングの3カ月前とかじゃないかな。

──前作はライブ感が強い作品だったと思うんです。いわばライブありきの作品というか。

そうですか?(笑)自分では前回はメロディありきな作品だと思ってました。「Hurdle Race」がそう感じさせてるのかな?

──前作の「Hurdle Race」はポップでありつつギターの音などはすごく激しいですから、それもあるかもしれません。で、今作もライブ的な疾走感はもちろんあるんですが、同時にメロディの良さがすごく伝わってくる気がして。

今回こだわったのは“音”なんですよね。前作は割れ気味になるくらいパンチのある音作りをしてるんですけど(笑)、今回はそうじゃなくて、もっとひとつひとつの音がクリアに聴こえるようにしてパンチを出そうってみんなで話し合ったんです。そのおかげでメロディが引き立つ形になってるんだと思うんですが。

──あ、私が前作にライブ感を感じたのは、そのパンチのある音のせいかもしれないです。で、今作は今の話のとおり音がクリアで、スタジオならではの疾走感、スタジオならではの音作り、スタジオならではのマジックがあったんだろうなと、それはすごく感じました。

そうですね。ドラムの音からひとつひとつ決めていく感じで、ベースやギターも細かく音作りをしました。何度も音の迷路にはまって何がいいのかわからなくなって、1回みんなで外に出て一服して、また作業して、を繰り返しました。ちょっとしたことで印象も変わるし、疾走感も変わってくるので難しかったですね。結果的にはすごく好きな音に仕上がって満足してます。

全体を通して聴いたときにキラキラした映像が浮かんだ

──イントロのような曲(「New Cosmos」)から始まりますが、これはもともとアルバムの構成としてイメージしていたもの? それともアルバム全体を俯瞰したときに出てきたものでしょうか?

最終的に、ですね。この曲は実はワンマンのときのライブSEとして作った曲で、その1回しか使わないのはもったいないなと思ってて、それで改造してたんですよ、ちょこちょこと。で、アルバム完成間近のときにメンバーに聴かせたら気に入ってくれたので「じゃあ入れてみよう」ってことで。このイントロがミックスで一番悩みましたけど(笑)。

──その曲から始まるところも含めて、今作は1つの作品としての統一感が強いように思います。曲も普段から書き溜めたというより、アルバムのために作っていったような。

そうですね。ネタはあったんですが、そこからアルバムに向けて作っていきました。曲作りの合宿を3回やって、そこで俺が持っていったネタを土台にアルバムを意識して曲を作っていったんです。途中で自分の溜めてたデモも飽きたので(笑)、みんなで話し合いながら作ったり、作り方を変えたりして、楽しみながら進めてましたね。だいたい俺のデモから別モノになるから、どうなるのかわからなくて面白かったです。

──アルバムタイトルに象徴されるように、流星の如くキラキラと疾走していくイメージを本作には感じたんですが、ご自身では本作のイメージはどういうものでしょう?

まったくその通りで、全体を通して聴いたときにすごくキラキラした映像が浮かんで、いろいろ連想していくうちに「星虹」という言葉が出てきて、タイトルも「starbow」に決めたんですよ。

──ホントにキラキラした映像が浮かぶし、疾走感や躍動感もある。そこから伝えたいことをあえて言葉にするなら?

今までの道のり+これからの道のり、ですね。

ニューアルバム「starbow」 / 2010年11月3日発売 / 2500円(税込) / Machine Records / Flying High

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CD収録曲
  1. New Cosmos
  2. Break Through
  3. One & Only
  4. You'll Never Be All Alone
  5. Thrill
  6. Don't Regret, Never Trying
  7. Runaway Train
  8. Hiding Place
  9. Daydream
  10. Hate Hate Hate
  11. Never Ending Dream
  12. Tears Of Joy
dustbox(だすとぼっくす)

1996年に埼玉で結成。1999年以降、SUGA(Vo,G)、REIJI(Dr)、JOJI(B,Cho)の3名で活動を続ける。コンスタントな音源リリースと全国ツアーの実施を重ね、ライブの動員は着実に増加。2010年には東京・新木場STUDIO COASTでのワンマンライブを成功させている。2010年11月に約2年ぶりとなる6thアルバム「starbow」をリリース。