ナタリー PowerPush - 道玄坂下り隊
謎のエアカバーアーティストがBunta(TOTALFAT)とパンク対談
カバーが自分たちにない引き出しを増やしてくれた
Bunta それにしても今回の選曲センス、マジいいっすよね。GOOD4NOTHINGの「STICK WITH YOURSELF」とか選ぶんだって。
Natty 「STICK WITH YOURSELF」はめちゃめちゃテンポが速かったですね。歌ってみると、聴いてるときよりも余計に速く感じるし。
Bunta 聴いてるだけだと、疾走感があって「あっ、いいじゃんいいじゃん!」って気持ちいいんだけどね。
Natty うんうん。私もそう思ってたんですけど、歌ってみたらヒーヒー言っちゃって、途中で「ちょっとすいません、ストップ!」って(笑)。
Bunta あははは(笑)。さっき挙げたBlink-182の「FEELING THIS」もいいし、Fall Out Boyの「Sugar, We’re Goin Down」とかSimple Planの「I'd Do Anything」も好きだなあ。日本のバンドもMY FIRST STORYとか、新しいところも押さえてるし。
──そんな中、SOBUTの名前にビックリしたんですが。
Natty えへへ(笑)。SOBUT様の「OVERRIDE GENERATION」は苦労しましたね。すごく個性が強い曲じゃないですか。そこをどう自分らしく表現するかは本当に難しかったです。特にこの曲は淡々と歌ったらよさが生かせないと思ったので、いろいろ自分なりに挑戦はしてみたんですけど。
──TOTALFATも過去にカバーの経験が何度かありますよね。Buntaくんの場合、ボーカリストのそれとはかなり違うと思いますが、どうやって自分らしさを表現していくんですか?
Bunta そうっすね……直近だとラルクのトリビュートアルバム(2012年6月発売の「L’Arc-en-Ciel Tribute」)で「Driver's High」をカバーしたけど、1曲勝負だし、参加アーティストには海外のバンドもいたし、その中でどう目立つかをすごく考えましたね。TOTALFATのすべてを1曲の中に詰め込もうって考えてアレンジして。そういう意味では自分の十八番を存分に出せるから、やりやすいんですよ。やりやすいし、楽しいし、それに曲もいいし(笑)。
Natty あのカバー、めっちゃよかったです。ホントに大好きです。
Bunta あと、昔ハードロックのカバーやったときは(2007年1月発売のカバーアルバム「Hard Rock Reviver U.S version」)、俺らもまだ若かったし、カバー自体がすごい挑戦だったんすよ。アレンジをする際に一度自分たちでコピーするんですけど、そこで見えてくるものもいろいろあって。そういう自分たちにない引き出しを増やしてくれたという意味で、カバーって面白いし好きなんですよね。
初めて聴いたときの気持ちを覚えてたから、そのまま歌った
──じゃあ今回の道玄坂下り隊のアルバムの中で、もし自分たちでカバーしたら面白いなと思う曲はありましたか?
Bunta そうだなあ……洋楽で言うと、「Playmate Of The Year」か「FEELING THIS」かな。でも「FEELING THIS」は、特にドラムに関しては一番難しいと思います。俺、Blink-182のトラヴィス・パーカーが一番好きなドラマーなんです。ホント、全曲完コピできるぐらい叩いてきたんで……さっきのNattyの話じゃないけど、好きすぎて崩せないっていうか。「これ、違うフレーズにしたらダサいしハマんないんじゃない?」って。だからコピーで終わっちゃいそうなんすよね。そういう意味では「Playmate Of The Year」はもっとフラットに接することができるかも。例えばラップをShunにやってもらったりして……そういう想像が膨らみますよね。ああ、でもエルレをやってみても面白いかな。例えばJoseさんが「風の日」を歌ったらどうなるのかなとか。
Natty 確かに。ちょっと聴いてみたいです。
Bunta でも好きすぎると崩せないって本当にわかるな。メロディだけじゃなくて、「このプレイやこのアレンジが、この曲のアイデンティティじゃん!」みたいなこだわりもあるしさ。そこを残しつつ、どう崩すかっていうところですよね。
Natty うんうん、そうですね。TOTALFATの「Good Fight & Promise You」のときは、初めて聴いたときの気持ちを覚えてたから、もうそのまま歌ったんです。だからストレートなカバーになってたかもしれない。でも難しいですね、本当に。
──僕は今回のアルバムで面白いなと思ったのは、Simple Planの「I’d Do Anything」でして。原曲はストレートな曲なのに、今回のカバーではちょっとシャッフル気味の跳ねたリズムに変化してるんですよね。
Bunta へえ、面白い。最近のSimple Planの曲、けっこう跳ねてるやつありますしね(笑)。
Natty ちょっとダンサブルな感じにしたいなと思っていたので、このアレンジになりました。歌ってみたらすごくしっくりきて、楽しかったですよ。
──ストレートなパンクナンバーが多い中、この曲調はすごくいいアクセントになってると思います。
Natty うれしいです。ありがとうございます!
歌にソウルが入ってるから聴いても不愉快にならない
Bunta 正直さ、この曲の並びを見て、人によっては「おいおい……」って首を傾げる人もいると思うんですよ。原曲を知らないそこらへんの女子が歌わされてるんだろ、みたいに。でもちゃんと聴くと、しっかり歌にソウルが入ってるんですよね。だから、たぶんみんな聴いても不愉快にならないと思うんすよ。例えば俺らの「Good Fight & Promise You」で言うと、転調のあとに歌がグワッと盛り上がっていく感じが、聴いていてすごく気持ちいいし。ちゃんと気持ちが入ってるのがわかるし、原曲を知っていて歌ってるんだろうなっていうことが伝わってくるんだよね。
Natty 本当ですか? うれしい……本当は考えないほうがいいんだろうけど……それぞれのバンドのファンの方々が「聴いてどう思うかな?」っていうのは、やっぱり考えるところがあったので。
Bunta 「おいおい、これはないだろ?」とか言われるんじゃないの?みたいな。
Natty マジ、そればっかり考えてましたね。絶対に言われるだろうなと思ってたので。でもBuntaさんからこうやってありがたいお言葉もいただけて、今日は本当にうれしかったです!
収録曲
- 風の日(ELLEGARDEN)
- Second Limit(MY FIRST STORY)
- Playmate Of The Year(Zebrahead)
- PMA(Positive Mental Attitude)(KEMURI)
- FEELING THIS(Blink-182)
- Sugar, We're Goin Down(Fall Out Boy)
- Out of Control(Nothing's Carved In Stone)
- I'd Do Anything(Simple Plan)
- STICK WITH YOURSELF(GOOD4NOTHING)
- OVERRIDE GENERATION(Sobut)
- Dance Like No Tomorrow(SECRET 7 LINE)
- STAY YOUTH FOREVER(Northern19)
(カッコ内はオリジナルアーティスト)
収録曲
- DA NA NA
- Good Fight & Promise You
- PARTY PARTY
- Show Me Your Courage
- Summer Frequence
- Place to Try
- World of Glory with JOE INOUE
- Dear My Empire
- Generations Ever Last
- The Naked Journey
- Room45
- Starting New Life
- X-stream
- Life Like Movies
- Nothing But
- Good bye, Good Luck
- Overdrive
- Highway The Legacy
- Stable Heart
- Teenage dream
道玄坂下り隊(どうげんざかくだりたい)
Natty、mi-ya*、LOVE、Katooからなる、「リアルとアンリアルの狭間、『2.5次元』に生まれた」という設定によるガールズエアカバープロジェクト。国内外のパンク / メロコアの名曲を本格的なサウンドでカバーしたアルバム「SK8ER GIRLS STYLE!!」が2013年5月に発売され、大きな反響を呼ぶ。同年12月には早くも2ndアルバム「STREET GIRLS STYLE!!」をリリースした。
TOTALFAT(とーたるふぁっと)
2000年、同じ高校のメンバーにより八王子で結成。海外のメロコアバンドを意識した英語詞、疾走感あふれるパンクサウンド、親しみやすいメロディを武器に着実に知名度を高めていく。2004年にShun(Vo, B)、Jose(Vo, G)、Bunta(Dr)、Kuboty(G)という現在の布陣が揃う。2008年以降は「PUNKSPRING」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「SUMMER SONIC」などの大型フェスに出演。またGood CharlotteやThe Offspringの来日公演ではオープニングアクトを務めた。 2010年6月にKi/oon Records(現Ki/oon Music)からメジャー1stアルバム「OVER DRIVE」を発表。翌2011年5月には井上ジョーをフィーチャーした日本語詞のシングル「World of Glory with JOE INOUE」を発売し、話題を集めた。2013年12月、インディーズ時代のセルフカバーを含む初のベストアルバム「THE BEST FAT COLLECTION」をリリース。