Mummy-DとRYUZOが書く“命の重み”

──VERBALさんが気になる曲は？

VERBAL　最近RINOさんの実家の焼鳥屋さんに行ったんで（笑）、やっぱりRINOさんは気になりますね。あとは、Arkitecとの曲が気になる。

──MIC BANDITZつながりもあるし。

VERBAL　うん。しばらく会ってないけど、彼は声もカッコいいし、初めて聴いたときに惚れ込んだ人なんで。元気かな？

Deckstream　元気だよ（笑）。

──その話の続きは楽屋でお願いします（笑）。

VERBAL　あと、最近、ANARCHY周りのイベントでRYUZOくんと会うことが多いんですけど、彼の「HATE MY LIFE」が好きで。RYUZOくんは画が浮かぶラップをするんで好きだし、あと声が好きなんですよね。それから漢さんと輪入道の曲も気になりますね……っていうか、Minami（CREAM）も参加してるし、全部気になるな（笑）。本当、聴き甲斐のあるアルバムだなと思います。

──「Stormy feat. RYUZO & Mummy-D」はどんなイメージで作ったんですか？

Deckstream　ある日、ニュース番組を観てるときに、最近、連鎖する事件が多いなと思って。例えば脱法ハーブ使用者の車が突っ込んでっていう事件が1件あると立て続けにそういう事件が起こりますよね。犯罪や事故をマネするってどうなの？って思ったんですよ。で、ちょうど音を作っていた日だったから、命の重みみたいなテーマで作って。それが仕上がったときにパッとDさんの声が浮かんだんです。それで、Dさんに速攻電話して、「Dさんの声じゃないとコレはハマらないから」って。その後3人で会う時間を1回作ってもらって、お互いにいろいろアイデアを出していくときに、Dさんから「俺とRYUZOで命の重みみたいなのを書いたら曲調も曲調だからすごく暗い曲になっちゃうんじゃないの？」という話になり、Dさんアイデアで雑草ソング的な曲はどうかな？と。

──果たして、世の中は厳しい、でも前に進むんだっていう這い上がり精神を歌った曲ですよね。

Deckstream　雑草ソングですよ、本当に。世の中そんな甘くはない、みんな大変なんだよって。でもがんばろうぜ！みたいな歌なんです。

名古屋のSEAMO×練馬のD.O

──あと、もう1つ飛び道具みたいな組み合わせがあります。SEAMOさんとD.Oさんっていうコラボはどこから着想したんですか？

Deckstream　なんとなく（笑）。この曲は、人と人の組み合わせというよりは、声質とフロウを考えて、このトラックにこの2人が混ざったら相性がよさそうだなっていうところから入ったんです。で、SEAMOくんに電話したら、D.Oくんとは昔ラジオ番組で一緒になったことがあるっていう話になって。SEAMOくんに「D.Oくんとやるんだったらどんなものがいいかな？」って聞いたら、自分はずっと名古屋、D.Oくんは練馬と地元愛を持って活動してるから、その土地を守る者っていうニュアンスで書いたら、ヒップホップっぽいフッド感が出た曲になるんじゃない？っていう提案があって。

──なるほど。

Deckstream　ただ、SEAMOくんは「何かを守る」っていうテーマで書き始めたら、男にとって大事なものはセルフリスペクトなんじゃないかっていうことにも気付いて、いろいろ書いていった結果、24小節になっちゃったと、お願いしてたよりロングヴァースのデモが届きました（笑）。

──この2人は意外な組み合わせに見えるかもしれないけど、「ヒップホップはオリジナティが大事」という原理を極端なスタイルで表現している者同士ということで、実はタイプが同じだと思うんです。

VERBAL　そもそもSEAMOくんもけっこうアングラですもんね。シーモネーターのときの、天狗のお面で股間を隠してるときのライブを観てますけど、けっこうハードですよね。

──そう。どちらもお調子者みたいに見えるけど、ストロングスタイルで、骨のある2人だから。

Deckstream　そうなんですよね。実はそうなんだよっていうのも伝えたかったんです。