デジナタ連載 Technics×「レコードの日」特集|12名が語るアナログレコードの魅力

沙田瑞紀(ねごと)

沙田瑞紀(ねごと)

好きなアナログ盤3枚

Yes「Yessongs」
制作タームに入る前や刺激が欲しい時に聴きます。ライブアルバムならではの録音の歪さはあるものの、個々のプレイがせめぎ合うようで何度聴いても発見のある1枚です。データだと耳をギチギチにして聴いてしまいそうなので、ゴロンと寝転がりながらアナログで聴くのが好みです。
Wolfmother「Joker and the Thief」
彼らの曲の中でもかなりキャッチーなゴリゴリのロック曲なので、まさかリミックスを出しているとは知らず。レコード屋さんでたまたま見つけた時はかなりアガりました。リミックスはシンプルな四つ打ちであまり味付けもなく、それも含め彼ららしいシングルでとても気に入っています。
Massive Attack「Mezzanine」
このアルバムはアナログ、デジタル問わず普段から愛聴しているのですが以前ファンの方からレコードで頂き、さらに聴くようになったアルバムです。友達、ファン関係なく、レコードを通じて音楽の話ができて嬉しかった1枚です。

アナログレコードに関する思い出

コツコツ集めていたアナログレコード、飾っておくにはもったいないのでクリスマスの日に自分へのプレゼントとしてTechnicsのターンテーブルを買いました。ミキサーなどもその時に購入したのですぐに聴けると思って急いで帰りましたが接続上手くいかず……(苦笑)。周りにアナログを聴いている人がほとんどいなかったので誰にも聞けずすごくしっぽりと夜を過ごしましたが、それも含め今では幸せな思い出になってます。

Technics製品に対する印象

DJシーンの定番として世界中で使われているTechnicsのターンテーブル、憧れもあり買うならTechnics!と思っていました。耐久性はもちろん、操作性もシンプルで反応が早い! 愛されている秘密がたくさん詰まった名器だと思いました。5年以上前に中古で購入したSL-1200を使っていますが、未だ不都合は0です。

プロフィール
1991年生まれ、千葉県出身。ねごとのギタリストであり、コンポーザーとしてバンドのサウンドクリエイトを全面的に手がける。クラブミュージックに造詣が深いことから、DJとしてイベントにも多数出演。バンドは2010年9月に1stミニアルバム「Hello! "Z"」でメジャーデビュー。独自の世界観で注目を集め、大型フェスのほかカルチャー系イベントにも出演する。2016年以降、中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)をサウンドプロデューサーに迎えた「アシンメトリ e.p.」をはじめアルバム「ETERNALBEAT」、シングル「DANCER IN THE HANABIRA」などエレクトロロックな作品をリリース。2017年12月にアルバム「SOAK」をリリースし、翌2018年2月よりワンマンツアー「SOAK」を行った。

光村龍哉(NICO Touches the Walls)

光村龍哉(NICO Touches the Walls)

好きなアナログ盤3枚

The Monochrome Set「Strange Boutique」
そもそも我が家のレコードプレーヤーは、僕がオーディオを諸々揃えていた際にグラフィックデザイナーの方からいただいたもので、その時プレーヤーと共にアナログも数枚一緒にいただいたのですが、その中の1枚がこれでした。諸々配線が済んで、ゼロバランスの取り方に苦戦しつつ、ようやく針を落として再生した瞬間の喜びはひとしおでした。「The Monochrome Set(I presume)」は何度聴いてもアガります。
Soul Coughing「Ruby Vroom」
3、4年前に重量盤でリイシューされた1枚。リリース20周年を記念してでしょうか。元々お気に入りのアルバムでしたが、アナログはより生々しくて、僕が一番大好きなエンジニア、チャド・ブレイクの仕事が光っています。
Jim Jiminee「Welcome to Hawaii」
アナログを聴くのは主に休日ですが、休日のスタートダッシュはこの1枚と決めています。駆けつけ一杯!のイメージ。「Town & Country Blues」がやはり一番アガりますが、アルバム1枚通して何回も聴ける名作。

アナログレコードに関する思い出

プロデューサーの方に「アナログレコードは、針で情報を読み取る構造的にノイズの入り方や音が一定ではない。だから、針を落とすたびに一期一会の音に出会える」という話をしてもらったことがあって、あ~アナログってなんてロマンチックなんだろう、と。それ以来アナログの魅力にさらに取り憑かれている気がします。

Technics製品に対する印象

やはりSL-1200。高校のクラスメイトがHIPHOPのDJをやっていて「ついに『SL-1200』を買った」と聞いたときは、そいつの家に行って朝までレコードを聴きました。スクラッチしても回転数がブレないトルクの強さが何よりの魅力ではないでしょうか。

プロフィール
1985年生まれ、千葉県出身。NICO Touches the Wallsのフロントマンとして、2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューした。以降もギターロックを基調にR&B、ソウル、ファンクなどを取り入れたさまざまな作品をリリースし、2014年2月に初のベストアルバム「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト」を発表。2017年11月に千葉・幕張メッセ国際展示場でバンド主催企画「1125/2017 -ニコフェスト!-」を開催した。2018年6月よりワンマンツアー「NICO Touches the Walls "N X A" TOUR」を行い、11月に千葉・幕張イベントホールでファイナルを迎える。

本秀康

本秀康

好きなアナログ盤3枚

ジョージ・ハリスン「All Things Must Pass」
アナログ盤といいますか、すべての物質のなかで、と枠を広げても最も美しいと言い切れます。
園まり「逢いたくて 逢いたくて」
この時期のポリドール/日本グラモフォンのレコードは、写真~デザイン~ジャケの紙質選択が完璧。とくに園まり、西田佐知子のレコードは全部揃えたくなる美しさです。
カネコアヤノ「群れたち」
3枚目は近年盤から。ここ10年くらいでは、間違いなくこれです。

アナログレコードに関する思い出

1日に100回以上再生するようなヘヴィーな聴きかたを何十年も続けているのに、よくいわれる“擦り切れるまで”という状態には至ったことがありません。ですが、たまに中古レコード屋で、明らかに聴き過ぎで音が擦り切れた盤に出会うことがあります。いったいどれだけ聴けばレコードは音がなくなるのでしょうか。謎です。

Technics製品に対する印象

25歳くらいからTechnicsの「SL-1200」シリーズを愛用しています。頑丈で調子がわるくなることがないので、24年この1台を使い続けています。

プロフィール
1969年生まれ、京都府出身。イラストレーターとしてキャリアをスタートさせ、1994年に「イラストレーション」の誌上コンペ、ザ・チョイスに入選。翌年、「ガロ」に持ち込みした「パーティー大好き」が掲載されデビュー。レコードコレクターとしても知られ、自身の経験を元に1997年「ミュージック・マガジン」にコミックシリーズ「レコスケ」を連載。またスピッツや奥田民生のCDジャケットや、「ロック画報」、「ミュージック・マガジン」など雑誌の表紙イラストも多く手がけている。2014年に7inch専門レーベル「雷音レコード」を立ち上げた。

横山剣(クレイジーケンバンド)

横山剣(クレイジーケンバンド)

好きなアナログ盤3枚

前田憲男とプレイボーイズ「円楽のプレイボーイ講座12章」
先代の三遊亭円楽さんによるプレイボーイ入門のアドバイス12文章と、その合間、合間を前田憲男とプレイボーイズによるクールなラウンジサウンドが織りなすヨコワケハンサムな世界に9歳の僕はシビれまくりました。
ジェームス・ブラウン「Sex Machine」
中学時代、別れた父親と再婚した若くて綺麗な奥さんがくれたショッキングなタイトルのアルバム。聴いたらやみつき。コード進行でもなく、メロディーでもなく、このアルバムから初めて反復する「GROOVE」という概念を感じ取りました。
グレッグ・ペリー「One for the Road」
作曲家になりたくて、中3の頃から通いつめていたビクターレコードの人に17歳の時「こういうの聴いて勉強しなさい」ってもらったアルバムがこれ。今でもアレンジの面で迷った時はコレか「円楽のプレイボーイ講座12章」が僕のガイドラインになっている。

アナログレコードに関する思い出

「円楽のプレイボーイ講座12章」の第6章のテーマはSEX。先代の円楽師匠のMCで「第6章SEX」という一言で始まる第6章。音楽は「MORE」。で、「SEX」という響きに興奮した9歳の僕はそこばかり繰り返し聴くものだから針飛びして「SEX、SEX、SEX……」を延々とループしてしまうという事態に(汗)。

Technics製品に対する印象

魅力はズバリ「質感」です。音は勿論、デザインも、「Technics」という言霊も文字霊もすべてがミラクルでパーフェクト! 古くからの家具調ステレオやコンポーネント・ステレオは別として、ターンテーブル単体では他の機種を試したことがないので、比較のしようがないけれど、比較する気すら起きないぐらいTechnicsは絶対的な存在!

プロフィール
1960年生まれ、神奈川県出身。1997年に自身がボーカルを務めるクレイジーケンバンドを結成し、翌1998年にアルバム「PUNCH! PUNCH! PUNCH!」でデビューを果たした。2002年発表のシングル「GT」で大きな注目を集め、ロック、ポップス、ファンク、ブルースといったさまざまなジャンルを取り入れた音楽で多くのリスナーに愛される。2018年にデビュー20周年を迎え、オリジナルアルバム「GOING TO A GO-GO」をリリース。9月に神奈川・横浜アリーナで「デビュー20周年記念スペシャルライヴ CRAZY KEN BAND TOUR 2018 GOING TO A GO-GO Presented by NISHIHARA SHOKAI」を開催した。

Licaxxx

Licaxxx

好きなアナログ盤3枚

ジョイ・オービソン「Selectors 004」
自分的にかなりバランスのよいコンピで、DJでありセレクターとしての力量を感じる1枚。インダストリアルの文脈からとれるノンビート、トライバル感あるレイヴィーな曲、不穏でアタックの強い若いテクノなど、DJで使う曲も多い。
Pierre Moritz「Dédé Is Back EP」
生音のフレーズのサンプリングが効いている、今っぽい心地よいハウス。お家でもあっさり聞ける。秋晴れにぴったり。
Nehuen「Intenso EP」
最近RUSH HOURで買いました。モダンテクノっぽいけど程よい雄感とヤンチャ感がお気に入りのフロアユースな1枚。多分今後ヘビロテになりそう。

アナログレコードに関する思い出

最近、海外でDJすることが増えてきて東京でのギグのようにタクシーで行けるわけではないし、レコード持ちももちろんいないので、レコードを厳選して持って行かなければなりません(持ったことがない方もいると思いますが、50枚でもレコードはものすごい重量になります)。なので持っていくレコード以外のものを録音しデータ化してHDDで持っていくのですが、それがとにかく枚数が多く大変。録音し、マスタリングでちょっと直す作業は膨大な時間がかかり、なんといっても曲名やアーティスト名の手打ちに一番時間がかかります。今は、300くらいまで通し番号になっています……(笑)。

Technics製品に対する印象

ターンテーブルのスタンダードとして使ってきて、針の重さ、傾きなどセッティングももちろんTechnicsで学びました。今も家にあるターンテーブルはTechnicsです。あと見た目がシンプルで洗練されているのもポイントだと思います。インテリアの一部になるものなので、性能はもちろんのこと、わかりやすいデザインなのも重要です。

プロフィール
1991年生まれ、東京都出身。DJを軸に、ビートメーカー、エディター、ライター、ラジオパーソナリティなど音楽にまつわるさまざまな活動を行う。2015年にMicrosoft「Surface Pro 4」のCMに出演。2016年にはWebメディア「シグマファット」を立ち上げる。また同年よりJ-WAVE番組「SONAR MUSIC」にミュージックレシーバーとしてレギュラー出演している。

ROY(THE BAWDIES)

ROY(THE BAWDIES)

好きなアナログ盤3枚

The Sonics「Boom」
この1枚と出会い、私はアナログ盤やルーツミュージックの世界へと、のめり込んでいきました。
バンドを結成するキッカケにもなりました。この作品はまさに私の人生をかえてくれたのです。
だからこそ、当時60年代のThe Sonics達自身が、実際に耳にしていたであろう本物の音を味わいたくて、オリジナル盤のmonoとstereo盤のどちらも大切に所有しています。
Randy & The Soul Citizens「Meet Me At The Pool」
基本的に私はアナログ盤の中でも、シングル盤のコレクターです。
特に60年代後半のサザン / ディープソウルを中心に収集しています。
当時60年代でいうとLPを出せたシンガーは一握りのスターだけでした。
つまりシングル盤のみで消えてしまったシンガーの方が多かったのです。
ということは、シングル盤を聴かなければ、ほとんどのシンガー達を知らずに終わってしまうと感じ、シングル盤を集め始めたのです。
すると再発やCDなどでも未だ世に出ていない、その1枚でしか出会えないようなシンガー達が沢山埋もれていることに気付かされました。
そのことを教えてくれたキッカケの1枚がコレです。
サム・クック「Live At The Harlem Square Club, 1963」
まさに「無人島に持っていくなら?」の質問に必ず答えるのがこの1枚です!
この1枚に出会って私は、サム・クックのイメージが180度変わりました。
そして様々なレジェンド級シンガー達が、彼を尊敬するシンガーにあげる理由がしっかりと理解出来ました!
歌っているのは彼のヒット曲であるソウルミュージックですが、彼の本質であるゴスペルを垣間見ることが出来ますし、何よりレコードに針を落とした瞬間、会場の一体感に包み込まれる作品です。
是非、全国の一家に1枚! オススメしたいです! 生きる喜びを与えてくれます!

アナログレコードに関する思い出

私は特に思い入れのある楽曲であればあるほど、当時そのアーティストやシンガー達自身が、実際に聴いていた音を知りたいと感じるので、その一枚を手にするまでに何年もかかったりすることが多々あります。
しかし実際にその実物を手にした時や、盤に針を落とした瞬間の喜びは凄まじいものがあります。
私が10年ほど探し続けたマイク・ペディシン「Burnt Toast And Black Coffee」を手に入れた時のことです。
「現代ではクリック1つで音楽がダウンロード出来る便利な時代だけど、だからこそクリック1つで削除することも簡単。しかし、こうやってようやく見付けて、実際に手にした喜びを感じた1枚をゴミ箱にすてることなんて絶対に出来ない! 手に入れ方1つで、音楽への愛し方もかわるんだなぁ」と、その瞬間、私はそのように感じたのです。
個人的な思い出ですが、その思い出が現在の私のアナログへの愛情を深く育ててくれています。

Technics製品に対する印象

私は仕事がら、これからアナログに触れてみたいという10代~20代の方々とお話しすることが多いのですが、その際に「レコードを聴いてみたいのですが、レコードプレーヤーは何を選べばよいですか?」と質問されることが多く、そんな時に私が最初にオススメしているのがTechnics製品です。
実際に私自身がSL-1200シリーズを使っているという理由もありますが、そもそもTechnics製品はDJをされる方、またはオーディオにこだわる方など、それぞれに合った製品がしっかりとあります。
だからこそ、沢山の方々に使用されていますし、私が通うレコード店のほとんどが、Technics SL-1200シリーズを設置しています。
だから試聴する際も、普段家で聴いている環境に比較的近いので、音を比べやすかったり、作品を選ぶ際にもとても便利です。
だからこそ若い方々には入り口として、スタンダードなものとしてオススメしていますし、さらにのめり込めば、好みに沿った上位機種もしっかり用意されているのが、やはりTechnicsの大きな魅力だと感じています。

プロフィール
1983年生まれ、東京都出身。2004年にボーカルとベースを担当するTHE BAWDIESを結成。リズム&ブルースやロックンロールをルーツにした楽曲と熱いライブパフォーマンスで人気を集める。2018年4月にバンドは結成15年目およびデビュー10年目を記念して、初のベストアルバム「THIS IS THE BEST」をリリース。同年4月より47都道府県ツアー「Thank you for our Rock and Roll Tour 2004-2019」を開催し、そのファイナルとして2019年1月に3度目の東京・日本武道館公演を行う。

※特集公開時、アーティストのコメントに誤りがありました。訂正してお詫びします。

SL-1200GR

SL-1200GR

アナログレコード再生の楽しみを音楽ファンに届けることをコンセプトにした、Technicsのダイレクトドライブターンテーブルシステム。世界中のユーザーに愛用されたSL-1200シリーズの新たなスタンダードモデルで、SL-1200Gのよさを継承しつつ、新たに開発された専用のコアレスダイレクトドライブモータを搭載している。

レコードの日

「レコードの日」ロゴ

毎年11月3日に開催されるアナログレコードの祭典。アナログレコードの魅力を伝えることを目的として、アナログレコードプレスメーカーの東洋化成が主催、Technicsが協賛している。イベント当日は全国各地のレコード店でさまざまなイベントが行われるほか、この日のために用意された豊富なラインナップのアナログ作品が販売される。


2018年11月7日更新