ナタリー PowerPush - DIAURA

思いの詰まった新作「FOCUS」で“THEヴィジュアル系”バンドの進化を提示

絶望があるから希望がある

──「FOCUS」の聴きどころとしてもう1つ、耳に残るメロディを持った曲が多いということが挙げられます。バラードから激しいアップチューンまで、曲調に関係なくどれもメロディアスなんですよね。

yo-ka それはうれしいですね。俺も小さい頃から聴いてきた音楽っていうのは、自然とメロディが耳に残って自然と口ずさめてしまうものばかりだったので。だからポップでメロディアスというのは、自分の中で絶対条件としてあるんですよ。ヴィジュアル系だから激しいものとかちょっとわかりにくいものをやってもいいとは思わないし。俺はどれだけポップであるかがすごく大事なことだと思うんですよね。だからDIAURAを結成したときから、どれだけ激しかろうがどれだけ暗かろうが、ポップさだけは絶対になくさないようにと考えてました。それはこれからもさらに追求していかなきゃいけない部分だと思ってます。

──さっき佳衣さんが「ヴィジュアル系を好きじゃない人が耳にしたときに、1曲でも引っかかりがあるアルバムを作りたい」と言ってましたが、過去にブレイクしたヴィジュアル系バンドのキーポイントとなった作品って、まさにそういうものだったと思うんです。今回の「FOCUS」はそういった意味でも1つ突き抜けた作品集になったと思いますよ。

yo-ka 「FOCUS」っていう作品のコンセプトは、物事は1つじゃなくていろんな見方ができるということ。それは音楽も一緒だと思っていて、そういう思いを込めたかったからこういう曲が揃ってバラエティに富んだ作品になったんだと思いますけど。ヴィジュアル系バンドってとかく絶望を歌いがちなんですけど、絶望があるから希望があるわけで。そして希望があるから絶望がある。その両方があるから成立するんだと思うんです。聴く人にも1人ひとり違う生活や人生があるわけで、そんな人たちにどれか1曲でも心に残るものがあれば、俺は「FOCUS」という作品は成功だったと思ってます。

不可能だと思われてることともっと戦いたい

──アルバムリリース前の11月24日からは全国ツアー「DIAURA 七大都市単独公演2013『Countdown to disintegration』」が始まり、年末の12月29日には東京・渋谷公会堂で過去最大規模のワンマンライブ「Ains PRESENTS DIAURA ONEMAN LIVE『完全独裁領域渋谷公会堂』」も実施されます。渋公でのワンマンライブを1つの大きな目標として掲げるアーティストも多いですが、その場所でのライブを前にした現在の心境を聞かせてもらえますか?

佳衣 もちろんすごいことだとは思います。個人的には、今ってどのライブハウスだろうがホールだろうが、わりとどの会場でライブをするのも以前ほど難しくないように感じるんですね。でも自分はそういうのがイヤで。渋谷公会堂っていう会場は上京した頃からすごい憧れを抱いていた場所なので、ずっと敷居の高い会場であってほしいなという思いがあるんです。そういうステージに立つからには、その場所にふさわしいバンドとして立ちたいなっていう気持ちでいます。

達也(Dr)

──なるほど。達也さんどうですか?

達也 渋谷公会堂でワンマンをやるって決まったときは、驚きとともに正直イメージがあまり湧かなかったんですよね。でも「FOCUS」の収録曲がどんどん仕上がって、ミックスも終わってマスタリングも終わって、全部並べて聴いたときに、自然とライブに対する自信が湧いてきて。このアルバムが作れたなら、今のDIAURAなら渋谷公会堂という場所でライブをしても、しっかりとしたバンドの姿をみんなに見せることができるんじゃないかなと思えたんです。今の俺たちなら、見せたいものがちゃんと見せられるだろうって。間違いなくいいライブができると思ってます。

──翔也さんは?

翔也 本当にすごい場所なんですけど、今のDIAURAは渋谷公会堂にしっかり立てるバンドになっているという確信が自分の中にあって。渋谷公会堂ワンマンは今年の5月18日に赤坂BLITZでのワンマンライブで発表したんですけど、正直あの時点ではまだ渋谷公会堂に似合わないバンドだったと思うんですね。でも今はそうじゃない。「FOCUS」を完成させたことによって、不安もあんまりないですし。このアルバムを作って本当に変わった部分がたくさんあるんですけど、もちろん昔から変わらないものもちゃんと残っている。変わっていくものと変わらないものをしっかり渋谷公会堂で提示できたらいいなと思いますね。

──では最後にyo-kaさん。

yo-ka 渋谷公会堂でワンマンライブをやるって決めたときから気持ちは変わってないんですよ。最初に発表したときから「いや、DIAURAには無理だよ」「何言ってんの、DIAURA。何やっちゃってんの?」っていう声ばかり聞こえたんですね。正直俺、「みんなビビり過ぎなんだよ」と思って。なんで不可能って決めつけるのかなって。不可能って言ったら、もうその時点で不可能なんですよ。

──確かにそうですよね。

yo-ka いろんなヴィジュアル系バンドを見てると、着実にステップアップしてるバンドが多くて、それっていいことだと思うんです。ただ、DIAURAみたいに訳のわからない進み方をするバンドもいたっていいと思うんですよ。同じ時代を生きているけど、みんなと同じ生き方なんてする必要ないじゃんって。自分はDIAURAっていうバンドで、いろんな無謀なことにどんどん挑んでいきたいんですよね。例えそこで痛手を負ったとしても、その傷を埋めてまた進めばいいだけの話だと思うし。不可能だと思われてることともっと戦いたいんです。その思いの象徴が渋谷公会堂なんですよ。なのでその思いをしっかりと胸に持って、俺はステージ立ちたいなと思います。

ニューアルバム「FOCUS」 2013年12月4日発売 / ブロウグロウ
初回限定盤 [CD+DVD] 3990円 / IKCB-9532~3
通常盤 [CD] 3360円 / IKCB-9536
CD収録曲
  1. Code:0
  2. 砂上の夢
  3. TABOO
  4. SIRIUS (FOCUS MIX)
  5. 赤い虚像
  6. Sleeping beauty
  7. Invisible
  8. Lost rain~失いの雨、その記憶との共生~
  9. The Redemption
  10. イノセント
  11. TRIGGER
初回限定盤DVD収録内容
  • 「TRIGGER」MV
DIAURA(でぃおーら)
DIAURA

2010年12月、yo-ka(Vo)と佳衣(G)の2人で結成されたヴィジュアル系バンド。現在は翔也(B)、達也(Dr)の4人体制で活動している。「Dictatorial Aura(独裁的なオーラを放つ)」をコンセプトに、ライブ活動や作品のリリースを展開。2013年5月には初の赤坂BLITZワンマンライブを成功させ、夏には全国11カ所を回る単独ツアー「日本独裁計画2013」を敢行した。同年12月4日に通算2枚目のフルアルバム「FOCUS」をリリース。本作を引っさげて、12月29日には初の渋谷公会堂ワンマンライブも行う。