共通項はゲームと宇宙

──2人の共通項というと、やっぱりゲームなんですね。

DECO*27　ゲームですね。

中川　ゲームが自分の人生の中で重要な位置にあるというのは、だいぶシンクロしてるところだと思います。私のアルバムに提供してくださった「GAME」という曲のときは「これ、FF7のイメージなんです」って言われてパッと「そっか、じゃあこう歌えばいいんだ」ってすぐにわかった。

──では「GAME」についてもお訊きしていいでしょうか。この曲は中川さんの最新ミニアルバム「nsum～中川翔子がうたってみた！～」に収録されて8月15日にリリースされますけど、発売日も近いし、比べて聴いてみると面白いですね。「甘宿り」のほうはDECO*27さんの世界に中川さんが飛び込んだみたいな印象ですが、「GAME」は中川さんのキャラクターを意識して書かれているような。

DECO*27　はい。それぞれのバランスは考えましたね。「甘宿り」がすごくかわいい曲だったので、「GAME」は激しい曲にして。

中川　「甘宿り」のようなスイートキュンキュンワールドが来るかなあと思ったら、ガツンと激しい曲で。びっくりしました。

DECO*27　「甘宿り」のレコーディングのときにしたゲームの話をヒントに。

中川　曲を作ってくださる皆さん、私の中にあるものを引き出してくれるのがすごいなって思っちゃって。今回、ヒャダインさんにも曲を書いてもらったんですけど、こっちはだいぶ狂ってる感じで（笑）。「木星と結婚したかったんですよ」みたいな話をしたら、本当にそういう曲を作ってくれたんですよ。「宇宙にプロポーズ」という曲で。宇宙と1980年代の音楽が好きって話をしてたら、モロにそんな感じで。私、宇宙が大好きで、初恋が木星だったんですよ。

DECO*27　僕も宇宙大好きッス。木星いいですよね！

中川　こんなふうに変なことがシンクロしますよね。急にね（笑）。惑星の中で誰が1番好きですか？

DECO*27　誰？

中川　擬人化して言っちゃった（笑）。太陽系の中で。

DECO*27　うーん、火星かなあ。あとは水星もいいですね。名前と星自体の性質のギャップとか。太陽に近すぎて、すごく温度が高い。

──中川さんの木星好きはもう絶対譲れないわけですか？

中川　木星推しは変わらないですね。

DECO*27　木星カッコいいですよ。サイズ別で見たとき、木星が出た瞬間のあのたぎる感じ……。

中川　そうそう。1人だけ大きくて。何がいいって、いろんな隕石とか彗星を、地球のほうに飛んでくるのを全部吸い込んでくれてて。お腹に風穴、地球3個分くらいの穴が開いてても平然と回ってるところがっこいいなって。

DECO*27　「ここは俺にまかせろ！」みたいな。

中川　傷口萌えとしてはたまんないです！

DECO*27　あははは（笑）。

中川　……で、なんでしたっけ（笑）。「GAME」はかなりハードな曲で、「君がすべて選んだっていいし」とか突き放してる感じ。すごいなーと思ってたら「これはFF7やってるときの感覚で書きました」って。私、木星と同時に初恋がFF7のキャラのセフィロスだったんですよ。セフィロスが敵を倒すと一瞬ムービーになって、頭から血だらけになったセフィロスが「はあー」っという顔になるんですけど、そこを録画して何度も観てました。一瞬だけセフィロス動かせるシーンがあるんですけど、そこのセーブデータを何個も作りました。

DECO*27　あー、わかるわかる。僕もエアリスが死ぬ前のデータを。

中川　……歌う前の会話がこういう会話だったんです（笑）。

──FFの中でも7というのが重要なところなんですか？

DECO*27　7重要です。

中川　時代が変わった作品ですね、7は。プラットホームがPlay Stationになって、CGとキャラクターデザインも、その後はもっとリアルになってきちゃいましたけど、7は絶妙な2次元と3次元の間を行っていて。ストーリーもいい感じに難解なんです。

DECO*27　「GAME」も「甘宿り」も根本にあるものは一緒で、「甘宿り」は相手のことが好きっていう歌ですけど、「GAME」はゲームが好きすぎてその中でしか生きれない、みたいな。中毒者みたいなイメージで。

ラスボス直前でやめる癖

──しかしお2人とも、おそらくゲームをやってる暇がないくらいお忙しいと思うのですが。

中川　暇は作るんですよ！

DECO*27　作るんですよね！

中川　いろんな時間を削って。寝ないとか。作業しながら合間で戦うとか。

DECO*27　似てる！ おんなじ！「テリーのワンダーランド」を開いておいて、カチャカチャやりながら「戦う」だけずっと押して（笑）。

──ゲームの誘惑に負けてしまって、仕事がおろそかになるぐらいのこともあります？

中川　……あります。

DECO*27　……あります。

──重症ですね（笑）。

中川　でも、やったほうがむしろ作業効率上がることもあるんですよ。

DECO*27　ひとつご褒美があると思うとやる気も出てくるし。ゲームやるためにがんばります、っていう。

中川　私、ゲームでイヤな癖があるんですよ。どのゲームもすっごくやりこむんですけど、レベルをめっちゃ上げて、なぜかラスボス直前でやめるっていう。

DECO*27　ああ、一緒です！

中川　なんか「もったいない」とか思っちゃって、それでやらなくなっちゃうっていう。なんのためにやり込んだんだって思うんですけど。

──僕はレベル上げの快楽がわからないんですよ。けっこうムチャしてでもどんどん進んじゃうタイプで。

中川　それも気持ちいいですけどね。ギリギリで戦うの。

DECO*27　めちゃめちゃレベル上げて、ザコを一発で倒せるくらいにするのも楽しい。レベル限界まで上げて、町という町、ひとつイベントが起こるたびに前の町に戻って全員に話しかけてとかそういう。

中川　そこまでするんだ。

──ラスボス前でやめちゃうのがわかる、っていうのはどういう感覚なんですか？

DECO*27　それまで「先が気になる」とか「もっとキャラを強くしたい」ってずっと進んでくんですけど、もうこれで最後というところまでくると、なんか寂しくなっちゃって。これクリアしたらこのゲームへの情熱も薄れちゃうんじゃないかと。それ、曲を作ってるときもあるんですよ。「ラブカレンダー」もそうだったんですけど、マスタリングが終わりに近付いて「もう今日でアルバム制作はおしまいです！」ってなると、すごく寂しくて。

──できることならずーっとこの世界を作り込み続けていたいみたいな。

DECO*27　そうですね、ずっと。

中川　そうやってやり込むときの感覚が、音楽にも重なるっていうのは素晴らしいですね。それくらい愛情を注いでるわけですもんね。