神奈川のバンドが目標にしてくれたら(MAH)
──MAHさんは野外で2年間やってみて、いかがですか?
MAH やっぱ主催は大変だなってすごい思いましたね。俺ら出てない年も「京都大作戦」は毎年遊びに行って勉強させてもらってて「すげーな」とは思ってたんですけど「がんばればできるっしょ」って思ってたんですよね。でも実際は体力も精神力も尋常じゃねえなと。1年目は「とにかくライブハウスでやってきたものを野外に持っていく」ってことでチームが一丸になるから、わりと楽なんですよ。むしろ2年目のほうが大変で。一度作り上げたものを継続する大変さがあるんですよね。「なんとなくできるっしょ」みたいな緩みもあるし。しかも当日は雨も降っちゃったし。3年目の今年がいろんな意味で解放されて楽しく過ごせそうだなと今のところ期待してるんですけど……でも実際は当日になったら走り回らなきゃいけないし、大変なんだろうな。
──先ほど山中さんが「ストーリーを作ってくれる」というお話をされていましたが、「DEAD POP FESTiVAL」はオープニングアクトのオーディションを開催しているというのも特徴の1つだと思います。
MAH 俺が若かった頃もそうだったんですけど、ライブハウスでやってるバンドで「フェスに出たいけど出方がわからない」っていうバンドってたくさんいると思うんですよね。ライブハウスと野外フェスってものすごく開きがあって、その開きが埋まらないうちにバンドを辞めていっちゃう人がものすごく多い。しかも俺らの若かった頃はCDを出すことが1つの目標だったけど、今はCDを出すよりもフェスに出ることを目標にしてるバンドが多い気がしていて。で、SiMメンバーがいいなと思えば何もかもを飛び越えてSiMがやってるフェスに出れる、というやり方は、自分たちが先輩たちからもらったものを還元できるような感じがするんです。本当だったら自分でライブハウスに出入りして若いバンドを見つけられるといいんですけど。そういうまだ見ぬバンドが増えてほしいし、もっともっとバンドの絶対数が増えてほしくて。まずは神奈川のバンドが「DEAD POP FESTiVAL」をとりあえずの目標にして、神奈川のバンドシーンが盛り上がってくれればと。そこから全国に飛び火したら素晴らしいですよね。
じゃあ俺らの世代は何をするか(山中)
──お二方は「京都大作戦」から影響を受けた「DEAD POP FESTiVAL」に出演することで、さらに何かにつなげていく役目もあると思うんですけど、例えば主催フェスには興味はあります?
山中 僕らが下の世代を作っていくという意味で言うと、たぶんつないでいくだけじゃ全然ダメで。上の世代の人たちがフェスを作るなら「じゃあ俺らの世代は何をするの?」っていう話だと思うんですよ。もちろんフェスを作るのはすごいしカッコいいなと思うし、やってみたいという気持ちはあるけど、それじゃあロックシーンはたぶん変わっていかないから、僕たちが何をしていくべきかを今ずっと探してます。先輩の背中を見ながら、先輩の作ったフェスに出させてもらうことで答えが見つかると思うんですよね。
LiSA 私はやりたいです。それこそ最初にMAHさんがライブ来てくれたときに驚いたみたいに、お客さんの層が全然違うと思っていて。バンドやってた頃のライブハウスのお客さんって、お目当てのバンド以外のライブは後ろで腕組みしながら観てるっていうイメージだったんですね。それに対して、私がアニメのお仕事をやらせてもらうようになって初めてのライブは挿入歌を担当していたアニメのイベントだったんですけど、みんな私の顔を知らないはずなのにそのアニメが好きで盛り上げる気持ちで来てくれてるから、一緒に歌ったり名前を呼んでくれたりしてくれて。そういう温かいファンの方に、SiMやオーラルを観てもらって「楽しいこといっぱいあるよ」って教えてあげたい。私の好きなものを全部混ぜた何かができればなと思ってるんです。それはフェスじゃなくてもいいのかもしれないけど。フェスやるのは大変そうなので(笑)。
ストーリーも楽しんでもらえたら(MAH)
──本当にバラエティ豊かなラインナップなので、初競演の方もいらっしゃると思います。LiSAさん、山中さんは2日間の出演者の中で気になるアーティストはいますか?
山中 僕、bachoさんっすね。出演日は違うけど。僕が昔働いてた奈良のライブハウスによく出てくれていたんですけど、めちゃめちゃカッコよくて。
MAH bachoはドラムのGODRi(SiM)の地元の先輩で。昔SiMのツアーに出てもらったこともあります。知らない人も絶対引き込まれるので観てほしいですね。
LiSA 私は岐阜の先輩、DUB 4 REASONですね。こないだお会いしたんですけど「MAHがLiSAちゃんと同じ日にしてくれた」って喜んでました。
MAH 俺ら、自分らの音楽のこと、レゲエとパンクを混ぜて“レゲエパンク”って言ってるんですけど、DUB 4 REASONがもともとやっているSTAB 4 REASONっていうバンドが、日本のそのジャンルの草わけ的な人たちで。歳もすごく離れてるんですけど、10年前ぐらいに出たハードコアのフェスでたまたま一緒になって、そこからずっと付き合いがあります。せっかくLiSAちゃんも決まったから絶対同じ日がいいと思って。
LiSA ギターのMASTER Kさんがいなかったら岐阜のバンドは何もできてないっていうくらい、重鎮……主みたいな人なんですよ。
山中 マジ? 観てみよう。
MAH ほかにもそういうつながりが実はいろいろあって。そういうストーリーがあると、出演者もライブに挑む気持ち変わると思う。お客さんも、知らないバンドがいても何かしらのつながりがあるからいろいろ勘ぐりながら見てくれたらより楽しめるんじゃないかなと思います。
だって私の前でもアレ見れるんでしょ?(LiSA)
──では最後に、当日の意気込みを聞かせてください。
LiSA めちゃくちゃ楽しみです。だって私の前でもアレ見れるんでしょ? あのグチャグチャ!
MAH そうですね。
LiSA すごい! あんなにグチャグチャになってるフェスに出させてもらうのは初めてなんで、どんなことになるんだろうってすごいワクワクしてます。私のときも「ワー!」ってなってほしいです。
MAH 曲にそういう要素はいっぱいあるからね。
LiSA そうですね。だから自分が見たことない景色を「DEAD POP FESTiVAL」に来るお客さんと一緒に作れたらいいなって思います。新しい遊び方をみんなと一緒に作りたい。そのために作戦を練り練りしているので、期待しかしないでください。
山中 去年の悔しい思いも全部今年のステージにぶちまけたいなと思います。あとまだまだ僕らはアウェーだと思うんですけど、僕らそういうときのほうが燃えるんで、観てほしいなと思います。がんばります。
MAH さっきも言ったんですけど、1年目は開催することにすべてを注いでて、2年目は続けていくモチベーションの難しさを痛感して、今年はやっと自分らが楽しめるのかなと思うので。主催者なんですけど、フェスに遊びに行ってる感覚で2日間過ごせたらいいなと思ってます。あとは今日話したみたいないろんな出演者同士のつながりをニヤニヤして見て(笑)、ときにはホロリみたいなのがあったらいいな。出演者が楽しんでくれるのが一番かな、そういう場所を作れるようにがんばります。よろしくお願いします。
LiSA・山中 よろしくお願いします。
- DEAD POP FESTiVAL 2017
-
- 2017年7月1日(土)
神奈川県 東扇島東公園 特設会場 -
<出演者>
- CAVE STAGE
- HEY-SMITH / coldrain / SHANK / PUFFY / 氣志團 / ROTTENGRAFFTY / SiM
- CHAOS STAGE
- 岡崎体育 / 四星球 / SUPER BEAVER / NAMBA69 / bacho / 山嵐
- 2017年7月2日(日)
神奈川県 東扇島東公園 特設会場 -
<出演者>
- CAVE STAGE
- The BONEZ / THE ORAL CIGARETTES / キュウソネコカミ / LiSA / Crossfaith / マキシマム ザ ホルモン / SiM
- CHAOS STAGE
- 夜の本気ダンス / GOOD4NOTHING / STOMPIN' BIRD / MUCC / DUB 4 REASON / My Hair is Bad
- 2017年7月1日(土)
- SiM(シム)
- MAH(Vo)、SHOW-HATE(G)、SIN(B)、GODRi(Dr)の4人からなる湘南で結成されたレゲエ•パンクバンド。2004年11月に結成され、数度のメンバーチェンジを経て2009年に現編成となる。パンク、ハードコア、スクリーモをベースとする轟音サウンドにスカやレゲエのエッセンスを取り込んだ“レゲエパンク”サウンドで頭角を現す。ライブハウスシーンを中心に活動し、2011年「KiLLiNG ME」のMUSIC VIDEOの視聴回数がインディーズバンドとしては異例の再生回数を記録(現在1600万回以上再生)。同曲を収録したアルバム「SEEDS OF HOPE」もスマッシュヒットを記録した。メジャー10社以上が獲得に乗り出す中、ユニバーサル・ミュージックをパートナーに選び、2013年4月に4thシングル「EViLS」、10月に3rdフルアルバム「PANDORA」を発売。その後も着実にリリースを重ね、2015年11月には日本武道館公演も完売させた。2016年4月には4thフルアルバム「THE BEAUTiFUL PEOPLE」を発売。同アルバムのリリースツアーでは全国26公演すべてがソールドアウトとなる。野外開催2年目となる自身主催イベント「DEAD POP FESTiVAL」を大成功に収め、10月にツアーのグランドファイナルとして行った神奈川・横浜アリーナでのワンマンライブも即日の完売となった。2017年3月から4月にかけて実施したワンマンツアー「THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR -season II- "ONEMAN SHOWS 2017”」では全国10カ所で28000人以上を動員した。7月に「DEAD POP FESTiVAL 2017」を主催する。
- LiSA(リサ)
- 6月24日、岐阜県生まれのボーカリスト。2010年春、テレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビュー後はアニメ「Fate/Zero」1stシーズンのオープニングテーマ「oath sign」、「ソードアート・オンライン《アインクラッド》編」のオープニングテーマ「crossing field」などスマッシュヒットを連発。2013年にはシングル「best day, best way」がノンタイアップながらオリコン週間シングルランキング6位を記録し、また10月に発表したアルバム「LANDSPACE」がオリコン週間アルバムランキング2位をマークし、アニソンシーン内外で高い人気を誇る存在となる。2014年1月に初の東京・日本武道館ワンマン「LiVE is Smile Always ~今日もいい日だっ~」を行い、翌2015年1月には日本武道館2DAYS「LiVE is Smile Always~PiNK&BLACK~」を成功させた。また「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「Animelo Summer Live」「氣志團万博」などさまざまな大型音楽イベントに出演し個性を発揮している。2017年春にはオリジナルブランド「YAEVA MUSiC」を設立。5月に通算4枚目となるフルアルバム「LiTTLE DEViL PARADE」をリリースした。9~11月にはアルバムを携えてのライブツアー「LiVE is Smile Always~LiTTLE DEViL PARADE~『そしてパレードは続く』」を行う。
- THE ORAL CIGARETTES(オーラルシガレッツ)
- 2010年に奈良で結成された4人組ロックバンド。メンバーは山中拓也(Vo, G)、鈴木重伸(G)、あきらかにあきら(B, Cho)、中西雅哉(Dr)。アグレッシブかつ緻密に構築されたサウンドでファンを増やしていき、2012年にオーディション「MASH FIGHT!」にて初代グランプリを獲得する。2013年8月に1stミニアルバム「オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証」をリリース。その後、2014年7月にメジャー1stシングル「起死回生STORY」、同年11月にアルバム「The BKW Show!!」を発表。2015年9月下旬から山中の声帯ポリープ摘出手術のため、約2カ月間ライブ活動を一時休止するも、11月にアニメ「ノラガミ ARAGOTO」のオープニングテーマ「狂乱 Hey Kids!!」をシングルリリースした。2016年4月30日には地元・奈良のなら100年会館で初のホールワンマンライブ「THE ORAL CIGARETTES 唇ワンマンライブ~故郷に錦を飾りまSHOW!!~」を開催。2017年2月には3rdアルバム「UNOFFICIAL」を発表、6月には初の東京・日本武道館でのワンマンライブを実施した。