友達を地元に連れて帰ってくる感じで

綾小路　僕らも実は「京都大作戦」からすごく影響を受けてて。今やいろんなフェスが全国にあって、もちろんどこもそれぞれ特徴のあるフェスなんですけど、ある程度やってきたら出演する側がみんなルーティーンになってきて。言ってしまえば夏の営業みたいな感じなんですよね。自分たちの出番の前に行って、ちょっと見たら帰るからそんなにアーティスト同士の交流がなかったりして。昔はあったんですけどね。そんなときに「京都大作戦」に呼んでいただいて。やっぱり彼らがやってるだけあって、他所とはちょっと違うんですよ。何もかもに温度がある。ハートフルというか……。出る側にも営業感がなくて、「この感じいいなあ」と。湘南乃風とMINMIちゃんがやってる「FREEDOM aozora」もそんな感じなんですよ。ジャンルが違うから緊張感もあるけど（笑）。でも「いいなあ。こういうのやりたいなあ」って思ったんですよね。

──それが「氣志團万博」のきっかけになったと。

綾小路　はい。で、自分たちの地元（千葉県木更津市）って中途半端なところにあるんですよね。東京から遠くもないので、逆に誰も来てくれないんですよ（笑）。田舎っぺだからこっちから東京に行くこともないっていうすごくダメな場所。でも、この辺境の地でもしかしたら1人くらい俺みたいなバカが生まれるかもしれないので、ちょっと種だけ植えてみようかなと思いまして。本宮ひろ志感とでもいいましょうかね。1人でずた袋担いで全国行脚してきて、最後自分の地元に全国の猛者を連れて帰ってくるみたいな、あの感じで「こんなお友達できたよ」って地元に連れていくのがテーマになっていったんです。要するに人のふんどしで相撲を取るフェスなんですけど（笑）。

──“お友達”も豪華ですからね。

綾小路　基本的にダメもとからスタートしているんです。周囲から「ありえない」と言われてもあきらめない。最初は皆様無反応でしたが、ようやく最近は話だけでも聞いていただけるようになってきました。これは大いなる進歩です。なんにも知らなかったですからね。バカだから大手事務所に「ピンポーン」って直接行ってみたり、いきなり電話かけたり。切られても「なんか切れちゃったみたいなんですけど……」ってかけ直したりしまして（笑）。もうやるしかなかった。嫌われたり、ウザがられたりはするかもしれないけど、殺されはしないだろうって思って。夢はやっぱり言葉にしないと叶わないから。

──それが実って、この豪華なラインナップになったんですね。一方「DEAD POP FESTiVAL」はSiMが対バンなどをしてきている、親交のある人たちです。

MAH　そうですね。お互いのツアーに出たことあるとかそういう人たちだけですね。氣志團とモンパチ以外は。翔さんもおっしゃってたんですけど、企業とかにはできない“血の通った”感というか。イベントに呼ばれて出ても呼んでくれた人の顔が見えないと、誰のためにライブやったらいいのかってことになるんですよ。目の前のお客さんはもちろんなんですけど“誰に呼ばれてここにいるか”っていうのは大事な気がしていて。「氣志團万博」だったら氣志團に呼ばれたってわかるし「DEAD POP FESTiVAL」だったら僕らってわかる。そういうのが一番でかいと思うんですよ。気持ちっていうのは絶対お客さんにも見えるから。そういうフェスやイベントがこれから増えていくかはわからないですけど、残るんじゃないかなとは思います。

バラエティに富んだ「DEAD POP FESTiVAL 2015」

──「DEAD POP FESTiVAL 2015」は初日と2日目、それぞれ出演者の毛色がハッキリしています。それぞれどういう日に？

MAH　初日はjealkbとかギルガメッシュとか、ビジュアル系なんだけどロックバンドとして殻を破ってきてる人たちとか、キュウソネコカミとかクリープハイプとか僕らとは違うロックの人たち、僕らよりももっとオーバーグラウンドなところでやってるモンパチや氣志團。そういういろんな人たちをひっくるめた1日にしたくて。2日目はどっちかといえば、小汚いライブハウスでずっと俺らと一緒にやってきた人たちをでっかいステージで見せたいっていう感じです。

──綾小路さんは、1日目の出演者の中で初めて会う方っていらっしゃいますか？

綾小路　CAVE STAGEだとMIGHTY CROWNが初めてだと思います。一方的に観に行ったことはあるんですけど。ちょっと緊張しますね、シメられたりしないかなって（笑）。ほかは会ったことあるかな。キュウソはこないだ一緒にやりましたし（参照：「氣志團が素顔解禁！ジャージ姿のキュウソと「ヤンキーこわい」合唱）、クリープハイプはこないだ尾崎（世界観 / Vo, G）くんと飲んだんですよ。マキタスポーツさんとGLAYのTAKURO（G）くんと尾崎くんと僕の4人で中華を食べるっていうなんか不思議な会で（笑）。でもライブは観たことないので楽しみですね。CHAOS STAGEではMINOR LEAGUEが一方的に観に行ったことあるけど、ちゃんと会ったことはないかなあ。楽しみですね、すごく。みんなライブ観たいですね。

MAH　ぜひ観てください。

──2日目には、先ほど「DEAD POP FESTiVAL」の始まりから仲がよかったとおっしゃっていたHEY-SMITHとcoldrainが出演します。この3組が「DEAD POP FESTiVAL」でそろうのはひさしぶりですね。

MAH　はい、その2組には1回目からずっと出てもらってたんですけど「ちょっと一緒にやりすぎだね、1回離れようか」っていう時期があったので。

綾小路　なんかね、この感じ、うらやましいんですよ。小僧の頃からしのぎ削りあって、みんなビッグになるみたいな。僕らもすごく仲のいいバンド達がいたんです。だけど結局僕らが最初にデビューして、お互い刺激し合ってがんばっていたのだけどだんだんうまくいかなくなって……みんないなくなっちゃったんですよね。一緒に持ち上がりたかったなあ。だからSiMとHEY-SMITHとcoldrainのその感じは自分たちを重ね合わせるとすごいことだなあって憧れますね。氣志團は、結局デビューしてからは急にワンマンばっかりで、気が付いたら1人ぼっちだったみたいなバンドで。みんなと仲よくなりたくてやってきたのに。バンドの世界に行ったら「こっちじゃなくない？」って言われて、ちょっと芸能のほうに行ったら「こっちじゃないよね」って言われて。どこにも居場所がなくなった蝙蝠みたいなバンドなので、こうして呼ばれることが本当にうれしいですね。

MAH　そうなんですね。じゃこれからもいろいろ呼びます。

綾小路　ぜひぜひ。チケットのもぎりだけでも行きますから！（笑）