ナタリー PowerPush - ダウト

全身全霊でV系シーンに斬り込む5人衆

今年メジャーデビューを果たしたヴィジュアル系ロックバンド、ダウトがメジャー2ndシングルとなる「全身全霊LIVES」をリリースする。このシングルに収められたバラエティ豊かな3曲を聴いてもらえればわかるが、彼らの一番の魅力は何にも捉われることのない奔放なスタイルだ。ヴィジュアル系とはいえ、そのキャラクターにはさほど着飾った印象がないし、耽美的な要素に頼り切ってもいない。むしろ、リスナー側がついつい抱きがちなそういう先入観を逆手に取っている感覚すらある。

ナタリー初登場となる今回は、シングルの話はもちろんのことダウトの実像についてもいろいろと訊いてみた。メジャーデビュー後の心境の変化、そしてボーカル幸樹の入院の顛末も。

取材・文／田山雄士

V系をやろうとして集まったけど、最初は誰もそう見えなかった

──ダウトの音楽性ってすごく自由度が高くて、個々のキャラクターもとても親しみやすいんですけど、そういうスタイルでありながらメイクをするのはどうしてですか？

威吹（G）　僕はヴィジュアル系のバンドがもともと好きで音楽を始めたから、これが自然体なんですよね。

幸樹（Vo）　5年前くらいに出会ったとき、この中で一番ヴィジュアル系っぽい雰囲気をまとっていたのは威吹ですね。こっちが何か面白いことを言っても冷静で、「そういうのはちょっと……」みたいな感じで全然食い付いてくれなかった（笑）。

威吹　要は「ヴィジュアル系のバンドをやろう！」っていうことで僕らは集まったので、メイクをしてるわけです。でも、最初にメンバーと会ったときは全員が全くそう見えなくて（笑）。普通にどこにでもいる兄ちゃんたちでした。

幸樹　これまでのヴィジュアル系の歴史では、そんなにしゃべらなくて、プライベートはもう謎みたいな人たちが多かった。威吹はまさにそんなふうだったから。

──音楽性は最初から今の感じだったんですか？

幸樹　そうですね。歌を重視して、メロディが立った楽曲にしようってだけで、それ以上には固めすぎなかったですね。「和」の雰囲気やお祭りのテイストは大事にしてました。

玲夏（B）　サウンドの幅はだんだんと広がってきてますね。結成当初はバンドのイメージを強くしたくて、例えばさっきの和のコンセプトとかを全面に出してましたけど。

威吹　自分たちの中で軸ができてからはいろんなものが発信できるようになったかな。

──軸ができたのはいつ頃？

幸樹　2009年にカバーアルバムの「登龍門」を出したんですけど、それくらいの時期だと思います。あのアルバムでほかの方の曲を自分たちのフィルターにしっかりと通すことができて、自信になったんですよね。

玲夏　2008年にリリースした1stフルアルバムの「ZIPANG」でも、JITTERIN'JINNの「夏祭り」をカバーしましたけど、そのときはまだ初期のテイストが強かったですね。

お店のPOPに騙されながら

──プロフィールを拝見すると、日本のロック＆ポップスを皆さんフェイバリットに挙げてらっしゃいますね。

幸樹　でも、聴く感性はみんなバラバラですね。俺、自分がいいって思ったものをよくメンバーに薦めるんですよ。だけど、ピンと来てもらえないことが多い（笑）。今日も「いっしょにライブ行こうな！」って言ったのに誰も賛成してくれなくて……。自分はアーティストである以前に音楽好きでありたいんです。ヴィジュアル系じゃないアーティストでも、ライブを観に行ったりしますしね。

──ちなみに、今日は何のライブの話を？

幸樹　女王蜂の話をしてました。本当に俺らはわりと分け隔てなく聴くんですよ。今日、玲夏がRADWIMPS聴いてたのはびっくりしたけど（笑）。

ひヵる（G）　あ、RADは僕もプロフィールで好きなアーティストに挙げてますね。

玲夏　3カ月に1回くらいの頻度で、たくさんCD借りて聴く時期を作るんですよ。例えば、自分が昔グラムロックをやってたこともあって、毛皮のマリーズはイメージでなんとなく避けてしまってたんですが、この前の「THE END」を聴いたらめちゃくちゃよかったです。あとは知らないアーティストもとにかくいろいろ聴いて、吸収できるものはしたいんですよね。RADWIMPSもそんなふうに知ったんです。

──そういう貪欲さ、柔軟さは全員に共通してるのかもしれませんね。

幸樹　うん、そうですね。でも、失敗するときもありますよ。俺もレンタルでたくさん借りますけど、「ちょっと気になるから冒険してみよう」って思ったのが全然ダメだったとか。

玲夏　100枚借りて、自分にフィットするのって2、3枚だったりしますから。

──でも、そこで「もう、借りなくていいや」とはならないわけですよね？

玲夏　ならないですね。

幸樹　お店のPOPに騙されることもあるけどね。「チャットモンチー好きな方はぜひ！」って書いてあるのに、聴いてみたら「えー！どこがリンクしてんの？」みたいな（笑）。

収録曲

全身全霊LIVES
Rain man

初回限定盤A DVD収録内容

全身全霊LIVES Music Clip
バラエティーメイキング

初回限定盤B[CD+DVD] / 1890円（税込） / TKCA-73708 / Amazon.co.jpへ

収録曲

全身全霊LIVES
Rain man

初回限定盤B DVD収録内容

スペシャルバラエティ特番「ダ！ダ！ダ！ダウト☆」

通常盤[CD] / 1575円（税込） / TKCA-73712 / Amazon.co.jpへ

収録曲

全身全霊LIVES
Rain man
富と名声

ダウト（だうと）

幸樹（Vo）、威吹（G）、ひヵる（G）、玲夏（B）、ミナセ（Dr）からなる5人組ヴィジュアル系バンド。2006年から活動を開始し、オリコンウィークリーインディーズチャートでシングルが2作連続1位を記録。2011年7月に徳間ジャパンコミュニケーションズからメジャーデビューを果たした。バラエティに富んだ多彩な音楽性や、親しみやすいキャラクターで人気を拡大している。

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