CUBERSが10月9日にメジャー2ndシングル「妄想ロマンス」をリリースした。
音楽ナタリーではシングルの発売を記念して、CUBERSと表題曲の作曲を手がけたひろせひろせ(フレンズ)、作詞を手がけたひなんちゅ(SILENT SIREN)との鼎談をセッティング。バンドで活躍する2人はボーイズユニット・CUBERSをどう解釈し、「妄想ロマンス」という曲を完成させたのか。制作背景やレコーディング時のエピソードを交えながら、新曲の聴きどころやCUBERSというグループの魅力について語ってもらった。
取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 曽我美芽
目を合わせられないくらい憧れの人
──今回のオファーが来たタイミングで、ひろせひろせさんとひなんちゅさんは、CUBERSというグループを知っていましたか?
ひろせひろせ(フレンズ) 僕は知っていました。
春斗 え、本当ですか?
ひろせ 映像監督の加藤マニさんが撮っているつながりかな、フレンズのMVもマニさんに撮ってもらってるから。
ひなんちゅ(SILENT SIREN) 私は「CUBERS」という名前は知っていたんですよ。でも具体的な曲名とかは出てこない感じで。ただオファーをいただいたとき、マネージャーが「CUBERSの作詞はすごいね」と言っていたので、けっこうみんなが知ってるグループなんだなと思っていました。
TAKA 僕らはもちろんフレンズさんのこともSILENT SIRENさんのことも知っていたんですけど、メンバーの中でも綾介が特に……。
綾介 えっと……その……。
ひろせ 綾介くんはMC担当だよね? どうしたの?
綾介 実はSILENT SIRENさんの大ファンなんですよ。
ひなんちゅ え、そうなの!? うれしい。
綾介 だから今日、すごく緊張してて。
ひろせ さっき楽屋で俺と話してるときは全然緊張してなかったでしょ!
一同 (笑)。
綾介 実は以前、サイサイさんとは学園祭でご一緒したことがあるんですよ。もう4年ぐらい前なんですけど。
ひなんちゅ え?
綾介 そのときも僕、すごくソワソワしていて、ステージ裏で思い切って「お写真いいですか?」と声をかけたんです。そうしたら、サイサイの皆さんが快く撮影に応じてくれて。
ひなんちゅ そうだったんだ! もっと早く言ってよー!
ひろせ だからさっきから俺のほうばかり見てるのね(笑)。
綾介 目を合わせられないんですよ。本当に憧れの方なので。
オーラがあって大きく見える
──実際に曲を作るにあたり、ひろせさんとひなんちゅさんはCUBERSをどういうグループだと解釈しましたか?
ひろせ CUBERSの5人ってみんなカッコいいんですよ。だから最初はカッコつけた人たちなのかなと思ったら、意外と泥臭い活動をしてる人たちなんですよね。「しっかり地に足を付けて活動している人たちだな」というのがグループの印象ですね。僕の勝手なイメージでもあるんですけど、アイドルって背伸びをするのが普通だと思ってたんです。でもCUBERSは自分たちのやれることを精一杯やるグループとわかって、そこに惹かれました。
ひなんちゅ 私は5人にすごくオーラを感じたんですよ。私は女の子のアイドルとかガールズバンドの方々と一緒にライブをする機会がよくあって、ステージで見るより実際に会うと実際はすごく小さく見えることが多いんです。でもCUBERSはその逆で、実際にお会いしてみるとみんなオーラがあってすごく大きく見えるんです。そこに驚きました。
優 オーラがあるなんて(笑)。ビックリですね。
ひろせ CUBERSには関わる人たちを本気にさせるパワーがあると思います。1stシングルを手がけたつんく♂さんもコメントで「これ手応え!」とコメントしていたし(参照:CUBERS「メジャーボーイ」MV公開、初の東名阪ツアー開催)。CUBERSの5人ががんばっているのはもちろん、スタッフさんや周りにいるチームがすごく愛情を持ってグループに接しているのが伝わってくるんですよね。だから僕らのように外から関わる人たちも刺激を受けていい仕事をしようとする。すごく恵まれたグループだと思います。
曲とメンバーがどれくらいリンクしてるか
TAKA 「妄想ロマンス」はどういうイメージから作り始めた曲なんですか?
ひろせ YouTubeに上がっている曲を聴かせてもらって、みんなの歌は言葉が伝わりやすい、言葉の伝達スピードが速いなと感じたんです。例えば「愛してる」とか「好きだよ」という言葉を発したとき、それがお客さんに届くスピードがほかのアイドルグループやバンドよりも速いんですよ。僕は“声の情報量”という言い方をいつもするんですけど、声の情報量がほどよくて伝わりやすいから、曲自体はわかりやすいほうがいいと思って「妄想ロマンス」という曲を作り始めました。「わかりやすさ」はかなり狙ったポイントで、例えばBメロらしいBメロを用意して曲の展開をわかりやすくしていたり、誰が歌っているかわかりやすい譜割りを意識したり。曲ができてからひなに歌詞を付けてもらったんですけど、僕が意識した部分をすごく読み取ってくれて、歌詞も僕が望んだ通りのものが上がっていました。
ひなんちゅ 前回私たちのアルバム(2019年3月発売の「31313」)で、なりちゃん(ひろせひろせの愛称)に曲を提供してもらったんですけど、そのときから譜割りとかに関してのこだわりがすごかったんですよ。今回一緒に曲作りをするにあたっては、私もわかりやすさはすごく意識しました。私はCUBERSの皆さんのことをあまり知らなかったので、YouTubeでMV以外の動画をいろいろ観させていただいて、1人ひとりの個性を調べていって……。あと皆さんのTwitterアカウントを見たり、皆さんのファンのつぶやきを見たり。
綾介 ファンのTwitterまで見てるんですか。
ひなんちゅ うん。皆さんがファンの子たちとどう接しているか、それとファンの方がどういうふうにCUBERSを見てるかを知りたくて。それで今回はストレートな恋愛の曲で、わかりやすい歌詞にしようと思ったんです。
ひろせ 極論を言えば、最近のアイドルグループの曲って全部いいんですよ。CUBERSはもちろん、ほかのグループの曲だってすごくいい。だからこそ、曲と本人たちがどれくらいリンクしてるかが重要だと思っているんです。CUBERSはただカッコいいだけじゃなくて、ちゃんと素の部分を見せながら上がっていっているアイドルなんですよね。例えばYouTubeで検索すれば、CUBERSのメジャーデビューまでの軌跡を追ったドキュメンタリー映像が公開されている。メンバーがちょっとビビりながら、夏まゆみ先生のレッスンを受ける姿とかが観られるわけですよね。こういうことがちゃんとできるアイドルグループってそんなに多くないと思うんです。
──確かにそうかもしれません。
ひろせ お客さんはグループのストーリーに魅了されるんですよ。だから僕はメジャーデビューを果たしたCUBERSの2枚目のシングルで、ただ手放しにハッピーな曲を書きたくなかった。メジャーデビューして数カ月経って、業界のいいところも悪いところも見えてきたみんなだからこそ、地に足を付けた等身大の自分たちを歌ってほしかったんだよね。ライブや動画を観させてもらって感じているのは、みんな着々とレベルが上がってるなってこと。僕が書いた曲は装備品みたいなものだから、強くなったみんながこの曲を装備して、ここから先を戦ってもらいたいんだよね。なぜかRPGに例えちゃったけど(笑)。
ひなんちゅ これは余談なんですけど、私はみんなのTwitterを見てるときに、9太郎くんの動画の面白さを発見して……。さかのぼって全部見るくらいハマっちゃいました。
末吉9太郎 すごくうれしいです。よくリツイートしてくださってますよね?
ひなんちゅ 自分のバンドの情報よりリツイートしているかもしれない(笑)。最近すごくバズってるよね。
9太郎 ありがたいことに、累計再生数が3000万回とかになってて……。
ひなんちゅ バズる前から見てましたから。だいたい全部のネタ言えますからね(笑)。
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SILENT SIRENが演奏してCUBERSが……