馬場涼真、萩凌介、前田純基のボーカル3人と、濱中元嗣、山内大輝のパフォーマー2人からなるCool-Xがニューアルバム「I -one-」をリリースした。今作は2019年11月リリースのメジャーデビュー曲「この街でキミと ~NAGOYA LOVER~ / Hands Up」以降のシングル表題曲とカップリング曲で構成されており、まさに彼らのこの2年の歩みがわかる1枚となっている。音楽ナタリーでは、英語なのに日本語にも聞こえる“空耳ソング”「Each & Better」をはじめとする収録曲について話を聞いた。またアルバムタイトルにちなみ、メンバーの“ここがナンバーワン”と思うところについても語り合ってもらった。
取材・文 / 丸澤嘉明撮影 / 小原泰広
日本語と英語で二面性のある「Each & Better」
──Cool-Xがアルバムをリリースするのは2019年7月発表の「SEEK」以来、およそ2年ぶりとなりますね。
馬場涼真 今回のアルバムは僕らがメジャーデビューしてからこれまでの楽曲がほぼすべて詰まっているので、はじめましての方は「Cool-Xってこういうグルーブなんだ」とわかるだろうし、もともと知っている方でも軌跡をたどれる作品になっていると思います。
──シングルの表題曲はもちろん、カップリング曲もほぼ入ってますからね。中でも7月に先行配信された最新曲「Each & Better」がタイミング的にも今一番熱い曲だと思うので、まずはこの曲から伺えればと思います。この曲の聴きどころはなんといっても空耳的な歌詞ですよね。
萩凌介 パンチが効いてますよね(笑)。もともと夏っぽい楽しい曲を作りたいねという話はメンバー間でしていて、“空耳ソング”を作ろうということでまず「Each & Better」というタイトルが決まりました。「Each & Better」が“イチャベタ”に聞こえるというのがスタートで、そこから僕、涼真、純基くんのボーカル3人で空耳のギミックを使って歌詞を書き始めました。
馬場 SNSで観てくれた人にもインパクトが残るようなものを作りたくて。作詞はめちゃくちゃ大変でしたけど。
前田純基 英語の歌詞をこれほど入れるのが初めてだったし、日本語でも英語でも意味を通さなきゃいけないので難しかったですね。
──日本語だとおちゃらけた歌詞ですが、英語だとちょっとグッとくるようなエモさがありますよね。
前田 そうそう、英語の意味だと実はカッコいいんです。
萩 MVを観た人は字幕があるので日本語の意味にしか聞こえないと思うんですが、英語だといいことを言っているのもわかってもらえたらうれしいですね。
──日本語にも英語にも聞こえるように歌う難しさもあったと思うのですが。
馬場 ありましたね。日本語に寄せて歌うとダサくなっちゃうし、英語に寄せてもカッコよくなりすぎてしまうので、絶妙な塩梅になるよう練習しました。今までのCool-Xとは違う感じの曲調という難しさもあったのですが、マイケル・ジャクソンを意識して歌いました(笑)。
深夜テンションでいったれ!
──サビで繰り返される「CHINCHIKOCHIN(ちんちこちん)」のインパクトが強烈ですが、名古屋弁で「熱い」という意味なんですよね?
馬場 やっぱり違和感ありますか? ちんちこちん(笑)。
萩 ボーカル3人で作詞の会議しているときにパンチラインを入れようと話していて、「ちんちこちんは?」となって。「まあいいんじゃない? 行ったれ!」みたいな(笑)。聴いた人の頭に「なんだっけあの曲?」って残ってくれたらいいなって思って。
前田 深夜テンションでいきましたね(笑)。
──普段の会話で使うこともあるんですか?
前田 いや、あんまり。年上の方はあると思うんですけど、若い人は使わないと思います。
山内大輝 どっちかって言うと、同じ意味の“ちんちん”のほうが使われるかもしれないです。
萩 “ちんちん”案も一瞬あったんですけど、さすがにそれはまずいだろうって(笑)。
濱中元嗣 ひらがなだから余計にね(笑)。
──振り付けについても伺えますか?
濱中 TikTokなどのSNSで流行らせたいという思いがあったので、サビの踊りは真似しやすさを意識しました。「CHINCHIKOCHIN」のところは、口で説明するのが難しいんですが、胸元でガッツポーズする感じで。僕らパフォーマーも「入れたれ!」という意識で振り付けを考えました。
山内 仮歌から歌詞が変わって「CHINCHIKOCHIN」が1回なくなったんですよ。でも僕らもずっと「CHINCHIKOCHIN」が頭に残ってて「入れたれ!」って(笑)。
──一度NGになったんですね。
前田 プロデューサーに反対されてなしになったんですけど、「名古屋弁だし名古屋のアーティストだからこそ歌える歌なんです」って説得して。
馬場 ボーカルの練習をしていても「CHINCHIKOCHIN」って歌っちゃうんですよ。
山内 それで最終的に「これで行こう!」となりました。
素で楽しんだMV
──MVはLINEミュージックの「ミュージックビデオTop100」のリアルタイムランキングで5位に入るなど、早くも反響がありますよね。Spotifyの公式プレイリスト「Teen Culture」や「Dance Pop: Japan」にもピックアップされましたし。
一同 すごくうれしいです。
萩 正直、フレンド(Cool-Xファンの呼称)の皆さんにどう受け止められるのかちょっと怖かったんですよ。「CHINCHIKOCHIN」という言葉だったり振り付けだったり、けっこう勝負したので。でもいざ出してみたら反応がよくて安心しました。MVではT2 NAGOYAというクラブを使わせてもらって、僕らが普段ホームにしているライブハウスとは異なるロケーションで撮影したんですけど、それも曲の雰囲気にマッチしていてよかったと思います。
前田 みんなが楽しんで撮った感じが伝わる内容になったと思います。これまでのMVは監督からの具体的な指示があったんですけど、今回は「撮り始めるんで楽しんでください」とだけ言われて僕らにおまかせだったんですよ。それでみんな本当にテキーラを飲んだりとか。
馬場 撮影用にダミーを用意してあると思ったら、お酒も全部本物で。
前田 お酒に関して言えば、MVの冒頭に僕が涼真にお酒をかけるシーンがあって、一発でOKを出さないといけなかったのでプレッシャーでした。最後に撮影したんですけど、本当に濡らすからメイクも衣装もビシャビシャになっちゃうので。何回も空のコップとお盆を持ってシュミレーションして、「ここからいくね!」みたいな。
馬場 「手をもうちょい高く!」みたいな(笑)。でもいい感じにかかったのでよかったです。ちょろっとかかるくらいかなと思っていたんですけど顔面に全部来たので。
──濱中さんがビンタされるシーンも印象に残りました。
濱中 あれは衝撃でしたね。1回で決めてほしかったんですけど、20回くらいビンタされて(笑)。でもそれもいい思い出ですね。
萩 愛犬も出てるよね。
濱中 そうそう、僕の愛犬も出てるので、そこも見どころの1つですね。
萩 あと今回の衣装は今までで一番お気に入りと思うくらい好きなので、その衣装でMVも撮れたのもよかったです。先日外でのイベントがあって、30℃を超える中でパフォーマンスしたのでめちゃくちゃ暑かったんですけど。
濱中 でも意地でも上着は脱がない。窓に映った衣装姿を見るとだいぶアガりますね。
山内 先日イベントでこの衣装を着たまま事務所を出たらちょうど太陽の光が当たって、衣装のラメに乱反射してすごくキレイでした。きっとステージでもミラーボールみたいにキラキラ光って映えると思います。
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こんなときこそプラス思考で笑顔に