無理して戦うのはしんどい

──また前回のインタビューの話になるけど、あのときはもっとサイケな感じの曲を作りたいって言ってたじゃないですか。そこは自分の中で決着がついたんですか？

そうですね。そういう曲はこのバンドとは別のところで作ればいいと思ったんですよ。

──たとえばソロプロジェクトとか？

そうそう。誰かとのユニットとか。このバンドであれもやりたい、これもやりたいって言っても、中途半端な感じになっちゃうなと思って。バンドとは別の場所にアウトプットして、健全な感じでやれたらなって。

──チェコにおいては、ハッピーな音楽性を追求すべきだと。

リスナーから求められてるポイントもそこですしね。そういうイメージを持たれてるんだったら、そのイメージ通りにやるのが一番負荷がかからないと思うし。そこで無理して「俺らはポップでキラキラしてるだけじゃないんです」って戦うのはしんどいなって。無駄な労力を使うだけだと思う。もちろん、だからといって曲を安売りするわけでは全然なくて。どんどんクオリティを上げていきたいと思っているんですけど。

──武井くん、言うことがだいぶ変わりましたね。

うん、だいぶ変わりました。

──そのあたりはほかのメンバーはどう思ってるんですか？

みんなにも今みたいな話をしたんですよ。でも、みんなは俺よりも前にずっとそういうことを思ってたみたいです。俺が1人でいろいろ迷っていただけで。

「まだ終わりたくない」

──「Forever Dreaming」も、チェコのハッピーな音楽性のど真ん中を行くような曲ですよね。そういう意味では、改めてこのバンドのポップミュージック像の核を提示するような曲でもあると思う。第2のサビのように機能するコーラスや、トライバルな趣のリズムならではの高揚感があるサウンドを、チェコらしい方法論で昇華していて。

以前「ドラゴンボール改」のエンディングテーマとして「Oh Yeah!!!!!!!」を作ったときもそうでしたけど、強力な曲を作らなきゃと思って。この曲は何日か悩んだ末にパッとできたんですよ、イントロからリフからコーラスから。シンガロングできるコーラスは俺らがずっとやってきたことでもあるし、そういうバンドの特徴的なアプローチを「ドラゴンボール」のエンディングテーマでできるのはうれしいなと思います。ライブでもすごくいい空気になると思う。

──今回「Forever Dreaming」の英語バージョンをCDに収録したのは、海外を意識して？

1つはシングルとして完結したパッケージにしたかったからですね。「ロマンティックあげるよ」のカバーを入れたのもそういう意識があってのことで。あとはやっぱり「ドラゴンボール」は海外でも人気のあるコンテンツなので。「ドラゴンボール」の曲を担当すると、海外からのリアクションが全然違うんですよ。勝手にカバーしてYouTubeに動画を上げてくれたり。それくらい「ドラゴンボール」って唯一無二なんだなって思うんですけど。

──それと「Forever Dreaming」の歌詞はかなりシンプルな筆致ですよね。シンプルに言えば「終わりなき夢を追い続ける」ということを書いていて。

制作期間がタイトだったので、時間に追われながら自分の心の声を聞いて、それがそのまま歌詞になった、という感じです。スティーブ・ジョブズが歩きながら会議してたという話を聞いて、俺も歩きながら歌詞を考えてみようと思って（笑）。真冬だったから寒かったんですけど、街を歩きまくって歌詞を考えてたら、「まだ終わりたくない」みたいな心の声が聞こえたんです（笑）。いつもだったらもっとオブラートに包むんですけど、「ドラゴンボール」のエンディングテーマだし、わかりやすいほうがいいなと思ってストレートに書きました。

──ここからのバンドの動きに関して、今の段階で言えることはありますか？

「チェコを使って遊んでください！」って感じですかね。楽しく遊べるCzecho No Republicなりの“アトラクション”をいっぱい準備してるので、きっと面白いと思いますよ。