Maison book girl×金澤ダイスケ│オタク女子たちが表現する“現代アート”

4人全員に共通するのは「推しがかわいくて今日も元気」

──Maison book girlの皆さんから金澤さんに何か聞きたいことはありますか?

矢川 サクライさんは詞の意味をあまり私たちに教えてくれなくて、聞いても「自分たちの考えでやってくれていい」って突き放されるんです。その真意を知りたくて。作る側の金澤さんだったら、わかりますか……? メンバーさんに詞の意味を聞かれます?

金澤 うちは聞かれるから答えることもあるね。意図を伝えないというのは、もしかすると自分なりの答えを見つけてほしいってことなのかもしれない。そうすると、作る側としては意図してない方向に進むんですよ。1人で曲を作っているとどうしても同じような方向性にしかならないけど、表現してくれる人が違う方向にも考えてくれることで曲がもっともっと広がる。たぶんサクライさんは4人のことを信頼して作っている気がします。信頼してなかったら「ここはこうだからこう歌え!」と言うと思う。

矢川葵

矢川 じゃあ根掘り葉掘り聞かないほうが。

金澤 いい場合もあると思います。

矢川 ありがとうございます!

──Maison book girlさんはメンバー同士で詞の意味について話しあうことはありますか?

井上 話し合いはないけど「ここでまた“首のない鳥”が出てきたね」とか。

和田 と思ったら「“首だけの鳥”出てきた!」とか盛り上がることはあります(笑)。

金澤 なるほど(笑)。ちなみに皆さん趣味はありますか?

コショージ みんなバラバラなんですけど、最近はオタク寄りに引っ張られてます。

矢川 主にこの人(和田)の引力が強すぎて……。

コショージ 好きなものがあるとがんばれるから、みんなそれぞれ推しを見つけちゃって……。

和田 推しているものは3次元だったり2次元だったりバラバラですけど「推しがかわいくて今日も元気」っていうのはわかり合えてます。

井上 和田が最近バーチャルYouTuberを始めて、機械やソフトの名前がずらっと並んだ難しい本を買ってたんです。それについて会話すると、単語の内容がマジで1ミリもわかんない(笑)。そこは引いて見ています。

和田 ふふ(笑)。メンバーに話してない趣味もあるかもしれないですね。

金澤 コショージさんはどうですか?

コショージ 最近はめっちゃ「ポケモンGO」してます。歩くのがすっごく嫌いなんですけど、「ポケモンGO」をしているとどこへでも行ける。

井上 この前は空港内を練り歩いてたもんね(笑)。

コショージ そうそう。練り歩いてたら出会ったよね。

矢川 私はそこまでゲーマーではないですが、最近「Cuphead」というゲームにハマってます。

金澤 「Cuphead」は歩かなくてもできる?

矢川 できます(笑)。ずっとお家でやってます。

──やっぱり皆さんオタク寄りの趣味なんですね。

コショージ やっぱりそうですよね? 結局みんなオタクなんですよね……。

──そういう普通の女の子としての生活やオタク寄りの趣味がありつつ、ステージではMaison book girlの世界観を表現されています。活動初期の頃は、ステージ上とステージを降りた際との切り替えやパフォーマンスに関しての迷いは感じていましたか?

和田輪

和田 昔はアイドルさんとの対バンが多くて、今のようなパフォーマンスをしてたわけじゃなかったんです。「盛り上げたほうがいいのかな」と思っていたから。そう思うと最初の頃はパフォーマンスに関して迷う気持ちはありましたね。

金澤 お客さんは実際どんな感じでステージを観てるんですか?

コショージ 最近のワンマンはホールでやらせてもらえることも多くて、その場合お客さんはずっと座って観ていて、映画館みたいになってます。

金澤 やっぱり映画みたいな感じなんだ! ペンライトを振ったりされることはないの?

コショージ ペンライトって推しカラーのものを持つことが普通だと思うんですが、私たちには担当色がないので……。

金澤 なるほど。じゃあグッズはどんな感じですか?

コショージ Tシャツ1枚とかです。

金澤 パンクバンドみたいだね(笑)。

コショージ 去年「yume」というアルバムを出したときは、アルバム名とかけて安眠グッズを作りました。そういうのはあるんですけど、メンバー個々のグッズはないですね。

金澤 「yume」もすごいよね。

ブクガ ありがとうございます。

金澤 インスト曲が定期的に組み込まれている、普通の女性グループだったら絶対ないような構成で。

コショージ インスト曲もライブでそのままやりましたね。

金澤 えーそうなんだ。そのときは皆さんは何してるの?

コショージ ベッドに寝たり、OHPを使って写真を投影したり。

金澤 ホント美術館であり、映画館だね。

武道館に立ちたい

──グループとしての目標が何かあれば教えてください。

コショージ 普通に電車で「Maison book girlのあの曲がさ」って話してる人がいるようになってほしい。でも目標って、いつもなんて言ったらいいのかわからないんです。「『ミュージックステーション』に出たい!」とか言ったほうがいいのかな。

金澤ダイスケ

金澤 それも1つの目標ですよね。よく言われるのは「日本武道館のステージに立ちたい」とか。目標を立てることは悪いことじゃないですしね。

矢川 今まではそういう目標を口に出すのすらおこがましいと思って言えなかったんですけど、そろそろ「武道館に立ちたい」と言っていいのかなと思い始めました。

──大きいステージに立ちたいという思いはありますか?

矢川 ワンマンライブをやるときに、やりたい演出が会場の都合でできなくて、「私たちにもっと集客力があれば、この演出ができたのに」と悔しい思いをしたことがあって。そういう意味でももっと大きいところでライブができるようになりたいと思います。

和田 あといつか生演奏でライブをやりたいです。バンドセットでライブをすることはありますが、それはバンドアレンジで演奏してもらっているので。ブクガの曲にはマリンバやストリングスが入っている曲もたくさんあるので、いつか原曲のまま演奏をしてくれる人たちと一緒にライブをやりたいな。

金澤 それはいいですね。僕もMaison book girlさんの曲を聴いていて、オーケストラ的なサウンドとすごく相性がいいと感じたので。ちなみにシングルの話も聞きたいんですが大丈夫ですか?

矢川 あっ。7月31日にニューシングルが……。

金澤 番宣みたいになってますね(笑)。

全員 (笑)。

矢川 タイトルは「umbla」です。よかったらぜひ聴いてください! 6曲入りで、歌モノ2曲と、3曲目はいつも入れているポエトリーリーディング、あとはインスト3曲が入っています。「闇色の朝」はテンポが速めで、レコーディングのときに「リズムを大事にしてね」と言われたくらい、面白いリズムの曲です。まだライブではまるまる1曲は披露していませんが、ライブでも楽しんでもらえる曲かと思います。

金澤 僕もラフミックスの「闇色の朝」を聴かせていただいて、今までで一番リズムが立っている曲だなと思いました。読者の方、ぜひ聴いてみてください!