MVには見上愛が出演「こんなに素敵な形で叶えられるなんて」
──なぜ移籍後初の作品を、トリプルA面シングルにしようと思ったんでしょうか?
AOi 今のCLAN QUEENは一面じゃ表現しきれないなと思って。情けないけど、これがメジャー初作品だと考えたら、僕は1曲じゃ責任が持てない。あと、3の倍数が好きなので(笑)。9曲入りのアルバムや6曲入りのEPは前に作ったから、いつか3曲入りの作品を出したいなと思っていたんです。
──3曲のバランスもいいですよね。
AOi 1曲目の「無花果」はJ-POPっぽさがあって、“ザ・メジャーシングル”という感じで。2曲目の「Eden」は、今までのCLAN QUEENらしいダークな世界観の曲。3曲目の「Dirty Little Secrets」は、そのどちらでもない、落ち着いた曲調にしたいなというイメージがありました。そのうえで「無花果」はyowaが歌う曲、「Eden」は僕が初めて1曲通して歌う曲だから、「Dirty Little Secrets」で表現するべきは2人への思い、バンドとしての実像だろうと。今ここで本当のことを書いておけば、この曲自体がセーブポイントになってくれる。このあと何が起きても、どこまで行っても、僕らは大丈夫なはず。このタイミングだからこそ、自分の素直な気持ちを書きたいと思えたんですよね。
──「無花果」は、確かに“ザ・メジャーシングル”という印象がありました。キャッチーで、疾走感があって、ストリングスを生でレコーディングするという初の試みもあって。
AOi 僕は今までもポップスを書いてきたつもりだけど、「癖が強いよね」と言われることが多くて。「そうなのか」と思いつつ、自分を見つめ直しながら、誰がいつ聴いてもいいと思えるような、キャッチーな曲を作ろうとがんばりました。
yowa サウンドも歌詞も、幻想的でちょっと儚いですよね。私はこの曲を聴いて、主人公が手を伸ばし続けているイメージが浮かびました。なので、ブロックごとに歌い方をけっこう変えていて。サビは音域が高いんですけど、自分の出しやすい声色で歌える範囲内なので、レコーディングも楽しかったです。
──あの高さを出しやすいと感じるのは、yowaさんくらいなんじゃないかと(笑)。
yowa ふふ、ありがとうございます(笑)。
──ミュージックビデオには俳優の見上愛さんが出演されています。マイさんの大学時代からの親友で、「メジャーに行く際にはMVに出てね」と約束を交わしていたそうですね。
マイ 私は5年前にAOiとバンドを始めて、MV制作を始めました。MVっていろいろな人の力を借りなきゃ作れないから、当時は友達の力を分けてもらっていたんですよ。その中の1人が、女優として活動し始めた見上でした。その頃から「メジャーに行ったら、この人たちの善意の力を集結させた作品を作りたい」とずっと思っていて。それに向けて信頼関係を構築したり、見上や同期のカメラマンやスタイリストと「そのときは一緒に作ろうね」と話していたんです。
AOi それが口癖みたいになってたよね。
マイ 言霊を信じているタイプなので。「メジャーに行ったら一緒にやろうね」とみんなで言い続けながら、自分たちのことを鼓舞していました。それがまさか叶うとは……いや、きっと叶えられると思っていたけど、こんなに素敵な形で叶えることができるなんて。胸がいっぱいです。見上に「メジャーに移籍することになって。だからMVに出てほしくて」と伝えたら、「えっ、やったね! 任せてください!」と言ってくれて。
──素敵ですね。
マイ そんな私たちのストーリーもありつつ、AOiが話していたように、この曲にも余白があると思うので。強いつながりを持った2人の曲だけど、4月は出会いと別れの時期だし、受け取った人が、自分と誰かに置き換えて聴けるんじゃないかと思っています。いろいろな人の思いが乗って、いろいろな人にとっての大切な曲になっていったらうれしいです。
俺が歌う曲だから、好きな曲を好き勝手に
──2曲目の「Eden」に関しては、先ほど「ダーク」という言葉が出てきました。
yowa この曲は、怒ってますよね?
AOi 激おこですね。俺が歌う曲だから、好きな曲を好き勝手書いたって感じ(笑)。そもそも今回の3曲は「原点に立ち戻る」というテーマで作ったんですけど、「Eden」では怒りの感情をあまり濾過せずに書いてみました。「メジャーに行って変わったな」と言われたくないから、こういう曲も入れておきたいなと。今の自分は心がツルツルだけど、こういう自分もまだどこかにいるんですよね。
──「すべて、冗談さ ほら笑ってよ」というラストの歌詞が印象的でした。
AOi 「冗談さ」と言うことは、自分を守るための鎧にもなるというか。「すべて冗談だ」と思わないと壊れちゃうくらい、精神的に病んでいる状態というイメージですかね。結局死んだらなくなるし、全部シミュレーション仮説でしょ、みたいな。僕自身つらくなったらそういう逃げ方をしています。
マイ MVは、その「すべて、冗談さ ほら笑ってよ」という歌詞から着想を得ていて。冗談で身を守っている感じを表現するために、笑顔のカットを意図的に入れたり、右下にテキストで「そんなに考えなくてもいいよ」みたいな軽い言葉を添えたりしています。主人公が冗談で身を守っているのに、それが周りに伝わっていないという部分を映像で表現したくて。主人公=表現者がテレビの中にいて、どんなに激しく感情を吐露しても、見ている側はポテチを食べながらただ流しているだけ、という構成にしました。こんなにやっても届かない、というレイヤーを出したかったんです。
──かなりシニカルですよね。リスナーに音楽を届ける立場である皆さんは、テレビの中にいる側なわけで。
マイ 攻めたなと自分でも思います。前作の「NEBULA」は自分を掘り下げるアルバムだったから、私も自分の解釈を提示するようにMVを作っていたんですよ。だけど「NEBULA」期を経て、今はいろいろな曲が生まれてきているから、MVでもいろいろな表現ができるようになりたいなと思って。その新たなバリエーションの1つが、今回のMVです。
この曲があればがんばれる気がするな
──yowaさんとマイさんは、3曲目の「Dirty Little Secrets」がお二人への思いを歌った曲であるとどのタイミングで知ったんですか?
yowa 歌詞が完成したのが、歌録りの当日だったんですよ。マイと一緒に歌詞を見ていたら、AOiが急に「これは2人の曲だよ」みたいな……。
AOi そんなカッコつけてないし、記事になるんだから正確に言ってほしい(笑)。「2人に向けてのラブレターですよ」って言ったよね?
マイ そう。ラブレターって言ってた!
yowa ごめんね(笑)。恥ずかしいかなと思って、伏せたんだけど。
AOi 伏せられるほうが恥ずかしいよ(笑)。
yowa ラブレターって言われて、まず、2人で大はしゃぎしたんですよ。
マイ 「キャー! ラブレターだって!」みたいな。そのあとAOiが歌録りでブースに入ったときに、2人でスンとしながら……。
yowa 静かに泣いたよね。
マイ 私はAOiほど素直じゃないから、彼の前ではちょっと泣けなかったですね。
yowa 私は帰り道で普通に「泣いたー!」ってLINEした(笑)。
マイ 普段大変なこともいろいろあるけど、「この曲があればがんばれる気がするな」と温かい気持ちになりました。
yowa レコーディングのときは、2人が隣にいるような気持ちで歌いました。バンドとはいえ、3人でまったく同じ感覚を共有できるわけではないし、変わり続けるものもあるけど、根本にあるものは変わらないんだろうなって。「この3人でずっとがんばっていきたいな」と改めて思いましたね。
──歌詞の中で、「Apophenia」(「NEBULA」収録曲)の一節を引用していますよね。「痛みと傷 全て受け入れていく」と。
AOi 「NEBULA」には「自分らしさとは何か」という問いがあって。そこに対する僕なりの答えが、「Apophenia」のその歌詞だったんです。当時はそう書いたものの、自分の中ではまだ消化しきれていなくて。でもあれから時間が経って、痛みや傷も自分らしさとして愛せると、本気で思えるようになった。「今ならちゃんと歌えるな」という感覚があったので、今回引用しました。
──最後に、ライブ活動について聞かせてください。12月18日には、東京ガーデンシアターでのワンマンライブ「CLAN QUEEN ONEMAN LIVE 2026『Secret Empire』」が開催されますね。
yowa もう、ぶちかましたい! みんなが「えっ!」って驚くようなライブをしたいです。
AOi シングルと同じく「Secret Empire」というタイトルなんですけど、帝国の集会を開きたいなと思っていて。“圧倒的バキバキ感”みたいなイメージが俺の中にありますね。
マイ ツアーではなく1日しかないので、鮮烈な日にしたいです。東京ガーデンシアターは天井が高くてステージ幅も広いけど、私たちには当初から「大きな会場で、演出にもこだわり抜いたライブをやれるバンドになりたい」というビジョンがあったから、「やっとここまで来られた」といううれしさがあります。やりたいと思っていたことを、これからどんどん実現していけると思うと、今後の活動もすごく楽しみですね。
公演情報
CLAN QUEEN "Grand Hotel MONOPOLY Tour" 2026
- 2026年4月11日(土)北海道 PENNY LANE 24
- 2026年4月19日(日)福岡県 BEAT STATION
- 2026年5月8日(金)愛知県 Zepp Nagoya
- 2026年5月10日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2026年5月15日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
CLAN QUEEN ONEMAN LIVE 2026「Secret Empire」
2026年12月18日(金)東京都 東京ガーデンシアター
プロフィール
CLAN QUEEN(クランクイーン)
yowa(Vo)、AOi(G)、マイ(B)による3人組ユニット。音楽やビジュアルなど、クリエイティブのすべてがコンセプチュアルである事=“アートロック”を標榜して活動している。2022年11月に初のシングル「ヘルファイアクラブ」を配信リリースし、以降コンスタントにライブや音源リリースを展開。タワーレコードのバイヤーによるネクストブレイクアーティストのレコメン企画「タワレコメンアワード2025」で「タワレコメン・アーティスト・オブ・ザ・イヤー」に、日本テレビ系音楽番組「バズリズム02」の恒例企画「今年コレがバズるぞ!2025」で第2位に選出された。2026年3月に東京・東急歌舞伎町タワー前シネシティ広場にて開催したフリーライブ「99」にてソニー・ミュージックレーベルズへの移籍を発表。4月にメジャー第1弾作品となるトリプルA面シングル「Secret Empire」を配信リリースした。




