ナタリー PowerPush - チャットモンチー

しなやかな「変身」の道のりを振り返る

歌詞を書くぞ、って思って暮らさないと書けない

──今作では橋本さんの作詞の分量が格段に増えましたよね。

福岡 そう、私の作詞のペースは変わってないんですけど、よくよく考えたら歌詞を書くメンバーが1人減ったので(笑)、今回はその分、絵莉子ががんばってくれて。前作(「YOU MORE」)の3倍くらい歌詞を書いてるよね?

「NANO-MUGEN FES.2012」出演時のチャットモンチー(PHOTO BY KAZUMICHI KOKEI)。

橋本 うん。めっちゃ書いた。

──前作は3曲で、今作は9曲。確かに3倍ですね。

福岡 それまでは歌詞を書くのを停止しかけてたもんね(笑)。

──今、自分が歌詞を書かなくてどうするという思いがあった?

橋本 そうですね。最初は焦りもあったし。でも、だんだん歌詞を書くのってこんなに面白いんだって思い出して。うん、思い出したって感じですね。

──その感覚についてもう少し詳しく訊かせてください。

橋本 歌詞を書くぞ、って思って日々を暮らすということ。

──なるほど(笑)。

橋本 だから、前作までは何も考えずに暮らしていたってことですね(笑)。

一同 (笑)。

橋本 曲は歌詞があればできるから。でも、歌詞は何もないところから書かなきゃいけないんですよね。書くぞって思って暮らさないと書けないんですよ。

──初期は歌詞を書くぞって思って暮らしていたんだけど、だんだんその感覚がなくなっていったんですか?

橋本 そうですね。最初は歌詞を書くことが普通だったんですけど、だんだん自分は曲を作るからいいかなっていう甘えが出てきてしまって。歌詞はちょっと書いて、それが歌えたらいいやという満足感もあったし。だから今回、歌詞を書く感覚を思い出せて良かったです。

作詞の核になったのは「やればできる」

──橋本さんからどんどん歌詞が上がってくる状況を福岡さんはどう見ていたんですか?

福岡 良かったなって。ホッとしましたよ(笑)。過去のアルバムのクレジットを見たら、絵莉子の作詞率がどんどん減っていくのがわかるので。しかも、だんだん人生の底を書く担当みたいになっていたから。

──底?

福岡 感情の底だまりみたいな。3人の中でそういう歌詞を書けるのは絵莉子だけだったし、 それもバランスかなと思っていたんですけどね。でも、最近の曲の歌詞を見ると「ああ、そうだ、こういう歌詞も書ける人やったな」と思って。

──福岡さんが作詞したものも含めて、今作の歌詞は人間の根源的な力や輝きを描いているものが多いなと思います。そこには、今のチャットの状態や姿が映し出されているとも思うんですけど。

橋本 そういう感じがあると思います。

──「ふたり、人生、自由ヶ丘」はラブソングだけど、橋本さんと福岡さんの関係が描かれているとも思う。

橋本 そう、「ふたり、人生、自由ヶ丘」はラブソングなんだけど、そういうふうにも聴こえたらいいなと思って歌詞を書きました。

──作詞する上でどんな思いを核にしていたんですか?

橋本 そうやなあ……「やればできる」ってことかな。私たちもやったらできたし。2人になってもバンドを続けようとして、今こうして続けられていて。あと2人になってから、周りの人に対しても今までにない感情を覚えたんです。「この人のこういうところが好きやな」とか「この人ってこういう感じの人なんや」って改めて思うことが多くて。周りにいる人のことをよく考えて歌詞を書いてました。

──自分自身のことも考えたでしょう? 「少女E」なんかは橋本さん自身のことを歌っていると思うし。

橋本 うん、そうですね。でも、やっぱり自分のことはよくわからないというか。難しいですね(笑)。

──それこそ、「ハテナ」みたいな?

橋本 そうそう、「ハテナ」なんですよ。人のことはよく見られるんだけど、自分のことを書くのは難しいんですよね。でも、そうやって自分を知るのは難しいということも歌詞に書けて良かったなと思います。

ニューアルバム「変身」 / 2012年10月10日発売 / Ki/oon Music
ニューアルバム「変身」
ニューアルバム「変身」初回限定盤 [CD+DVD] 3500円 / KSCL-2150~2151
ニューアルバム「変身」通常盤 [CD] 3059円 / KSCL-2152
CD収録曲
  1. 変身
  2. ハテナ
  3. テルマエ・ロマン
  4. 少女E
  5. コンビニエンスハネムーン
  6. Yes or No or Love
  7. 初日の出
  8. 歩くオブジェ
  9. きらきらひかれ
  10. ふたり、人生、自由ヶ丘
  11. ウタタネ
  12. 満月に吠えろ
DVD収録内容
  1. きらきらひかれ [Studio Live]
  2. 初日の出 [Studio Live]
  3. コンビニエンスハネムーン [Studio Live]
  4. Yes or No or Love [Studio Live]
  5. ウタタネ [Studio Live]
チャットモンチー

チャットモンチー

2000年4月、橋本絵莉子を中心に徳島で結成。2002年3月、橋本の高校の同級生だった福岡晃子が、翌2004年4月に福岡の大学でサークルの先輩だった高橋久美子が加入し、以降はこの3人体制で地元徳島を中心に活動を展開する。2005年11月、ミニアルバム「chatmonchy has come」で、Ki/oon Musicよりメジャーデビューを果たす。2006年春には初の全国ツアー「smoke on the ご当地'06」を開催し、同年1月には初のフルアルバム「耳鳴り」をリリース。この作品はオリコンウィークリーチャート10位を記録した。2008年春、初の日本武道館ワンマンライブを2日間にわたって開催。チケットは2日間とも完売し、大成功を収めた。その後も精力的な活動を繰り広げるが、2011年9月29日の地元・徳島でのライブを最後に高橋が脱退。その後は橋本と福岡の2人体制で活動を継続し、同年11月からは対バンツアー「チャットモンチーの求愛ツアー」を行う。2012年2月には初のベストアルバム「チャットモンチー BEST ~2005-2011~」をリリース。その後、7カ月間で計5枚のシングルを次々と発表。同年10月、2人体制となって初のフルアルバム「変身」を発売する。