私たちの愛の音だけ

──「Night Track」はYUKIさんの作曲ですね。

YUKI　そうですね。だから私が責任を持って方向性を決めなくちゃと思って、「ヒップホップな感じにしたい」とCharaに話したんです。そうしたらそれをCharaがアレンジャーのmabanua（Ovall）くんに伝えてくれて。具体的にどうやるかというのはCharaに引っ張ってもらいました。ベースラインもそうですけど、リズムの感じとか、新しく生まれるフレーズもCharaが「これはいいから生かそう」みたいな感じで取り入れてくれて。「Night and Day / Day by Day」のメロディはCharaが作ってくれました。

Chara　放っておくとどんどんポップに寄り添いがちになってしまって。それはそれでいいんですけど、今回Chara+YUKIでやりたいのはそうじゃないから。普通にやっていればもう十分ポップなので、例えばヒップホップみたいに音のズレがいいグルーヴを作るんだったらズレていていいんです（笑）。

YUKI　「お客さんとコール＆レスポンスする曲があってもいいよね」というのはライブもあるし、ミニアルバムを作ると決まったときから言っていたので、「この曲でできるんじゃない？」と言って。それでCharaが「ラヴリー！ ラヴリー！ おう いえい」とか「Night and Day / Day by Day」という、みんなで歌えるフレーズを入れてくれました。

──そして、アルバム最後に収録されている「echo」は、アコギと歌を基調にしたシンプルな曲です。

Chara　今回のミニアルバムは打ち込みの曲が多いですけど、この曲はシンプルなアレンジがいいよねって。私がギターを弾きながら「メインのラインじゃないところをちょっと歌いたい」って、これは唯一言った曲かもしれない（笑）。

YUKI　ハモるところがあったり、なかったりっていうのはいいよね、と。だからドラムを入れるか入れないかも最後までずっとどうしようかと話していました。

Chara　もっと曲の前半から入れることもできたけど、最終的には引っ張って最後だけにしました。サイケデリック感があって好きですね。

YUKI　この曲はCharaから、ギターとベースはくるりの岸田（繁）さんに弾いてもらったらいいんじゃないかというアイデアが出て。

Chara　岸田くんは楽器をすごく愛している人なので、この曲はアレンジをしてもらうのではなく、弾いてもらうのがいいなと思ってお願いしました。歌心で持っていきたいというか、歌詞を聴かせたかったし、シンプルに私たちの愛の音だけにしたかったから。

YUKI　ギタリストじゃない人が弾くギター、ベーシストじゃない人が弾くベースというのはやっぱり面白いんだなと思いました。この曲ではCharaもアコースティックギターを弾いています。

Chara　しかもYUKIのギターを弾いたんです。YUKIのHummingbirdを弾かせていただいています！（笑）

勇敢な人になってほしい

──歌詞で気に入っているフレーズはありますか？

Chara　“さなぎ”という言葉は絶対に入れたいってYUKIが言っていましたね。

──「さなぎが ちょうちょうになり 花へと移る」という描写がなされています。

YUKI　時間の流れみたいなものをどうしても書きたくて。Charaの「勇敢な人に なりたい」「勇敢な人に あげたい」という歌詞や、「歌につけた 永遠や」という部分もすごくいいなと思って。その繰り返すということが「こだま」になるんですけど。

Chara　これはとても大きい詞ですね。子供たちにも勇敢な人になってほしいし、愛する人にお花を持っていくような心の美しい人になってほしい。雨が“悲しい”とか“切ない”という思いの比喩だとしたら、そういう経験があってこそ架かる虹というのもあるし、下ばかり向いていたら虹を見つけられないよって。

YUKI　でも思っていた以上にハッピーなアルバムになって、すごくうれしいです。

──4月には初ライブが予定されていますね。

YUKI　カッコいいと思います。もう、大変なことになるということだけは言えます（笑）。

Chara　普通に楽しいと思うし、とにかくいろいろな筋肉を動かすつもりで来てもらえたらいいよね。

YUKI　皆さんで踊りに来てもらえればと思います。