ちゃくら初CDリリース記念インタビュー|バンドを突き動かす情熱の源 (3/3)

曲順でも攻める

──ここからは11月28日の渋谷CLUB QUATTRO公演で限定発売されるCD「こんなとき聞きたくなるのはきみのこえだ」について伺っていきます。これがちゃくらにとって初のCD作品になりますが、オープニングを飾る「劇場と負けヒロイン」のエモーショナルさにはびっくりしました。

ワキタ このタイミングでバラードに挑戦してみたくて。自分よりも葉弥のほうがよりコードに関する知識があるので、いろいろ協力してもらいました。“1人の夜に、イヤホンで聴いてグッとくるようなイントロ”が欲しくて、自分なりに好きな音楽の要素を入れ込んだりして。でも、歌詞に関してはレコーディング当日に変更したりして、なかなか悩みましたね。

葉弥 前々日くらいから何回も変えてたよね。

ワキタ そうだね。あと、バラードらしいギターリフも初めて作ったのかな。

まお 私はバラード自体を普段聴くことが少ないから、どうしたらいいかいろいろ悩みながら作って。ルルに「どういう曲を聴くといいかな?」って聞いたりもして、それでできたリフをみんなに投げて、意見をもらいながら完成させていきました。自分が思いつかないようなアイデアをもらいながら、私なりに色を付けたりしたんですけど、自分の中では新鮮な1曲だなと思います。

ちゃくら

──サクラさん、歌に関してはどうですか?

サクラ 自分で言うのもなんですけど、この曲で歌われている恋に関しては一番理解していると思うんですよ。

ワキタ 間違いない(笑)。歌詞が超私のことなんですよ。

サクラ 「ああ、これはあのことね」とか「これとこれね」とか深く知ってるし、しかも今まで以上にメロディアスなので、歌っていてすごく気持ちよくて。大好きな曲です。

──そういう挑戦的な曲を初CDのオープニングに持ってくるあたりに、バンドとしての自信が伝わります。

ワキタ 正直、2曲目の「ユスリカ」とどっちを頭にするかは、けっこう悩みました。今までのちゃくららしさと言ったら「ユスリカ」のほうな気がするんですけど、「こういう曲順でもいけるんだぞ、攻められるんだぞ」という意味では、この並びで正解だったかなと思います。

誰よりもルルの曲をうまく歌いたい

──「ユスリカ」は爽快感の強い、ストレートな王道ロックチューンです。

サクラ 「ユスリカ」こそ、ルルらしいなって思う。

まお葉弥 あー、わかる。

ワキタ 本当に?

サクラ 「君に振り向いてもらえない私なんて大嫌いだ」っていうフレーズが、まさに等身大のルルだよね。

ワキタ なるほど(笑)。バンドのアレンジに関しては、ちゃくらならではの仕上がりになったんじゃないかな。

まお うん。「こうだよね、ああだよね」と練っていくうちに4人の色が加わって、ちゃんと、ちゃくらっぽい曲に変わっていくんだよね。

ちゃくら

ワキタ 4人ともルーツが違うのに、バンドとしてやりたいことが一致しているからかな。

葉弥 バンドの結成とそれぞれのバンド人生の始まりが一緒で、「絶対にこれがやりたいんだ」という強い信念を持っているわけじゃないし、いい意味で何も知らないからよかったのかもしれない。

ワキタ 一緒に成長しているんだね。

──ワキタさんは作詞する際、自分の実体験をモチーフにしているわけですが、それをバンドメンバーと共有することに対して気恥ずかしさみたいなものはあったりするんでしょうか。

ワキタ そもそも私、「聞いてーっ、こんなことがあってさー」ってプライベートの話をメンバーの誰よりもするんです(笑)。

サクラ だから歌詞を読んだときに「これ、なんの話?」ってこと、ないもんね(笑)。もらったときにはわかってるという。

──そこの共通認識はかなり大きいですね。ワキタさんのことを誰よりも理解しているサクラさんが歌うからこそ、より響くものがあると。

サクラ 誰よりもルルの曲をうまく歌いたいという気持ちでやってます。

ワキタ うれしい!

一同 (拍手)

──サクラさんの歌の表現力も、リリースを重ねるごとにどんどん迫力や説得力を増していますが、今回の2曲はその側面がより際立っているのではないでしょうか。

サクラ もともと歌の中で感情的になるタイプのアーティストさんが好きで。レコーディングでは、声優が演技をするように、歌詞の主人公を憑依させるような気持ちで歌ってます。だから、ルルからデモをもらって家で練習をしていると、自分のことじゃないのに泣いちゃったりすることもあって。歌詞に誰よりも共感したいって常に思ってます。

──めちゃめちゃいい関係性ですね。

ワキタ いいですよねー。私も思いました(笑)。

一同 (笑)。

実生活以外のことも表現したい

──年末まで充実した活動が続きそうですが、未発表のスケジュール含め2025年もいろいろ予定が控えているそうですね。ちゃくらとしての展望を聞かせてください。

ワキタ まだ発表前ですが、来年は自分たちにとって大きな挑戦が控えていて、あえて自分たちと横並びで一緒に戦っている人たちとは違った道を進もうとしています。そこに今のちゃくららしさがあるんじゃないかなと。隣の芝生は青く見えるじゃないですけど、けっこう気持ちが揺らいじゃうこともあって、ここ最近で自分たちの軸がしっかり固まってきたからこそ、来年はもっと自信を持っていきたいです。

──では、それぞれこういうことができるようになりたい、こんな表現をしたいという目標は?

葉弥 私は今年の5月からジストニアの治療で活動休止してて。まずはジストニアという病気と向き合いながら、もっとドラムがうまくなりたいですね。ジストニアになったことで、「自分にしか叩けないドラムをプレイできるようになりたい」と強く思うようになりました。

サクラ 私は「ライブのほうが歌がいいね」と言われるようになりたいんです。まだまだ未完成だと思うので、「音源もいいけどライブはもっとすごい」とお客さんの心に刺さる歌を歌えるように実力を高めていきたいです。

まお 私はちゃくらのギターとして「こいつが一番カッケーんだぞ!」と、みんなに言ってもらえるギタリストになりたくて。そのくらいの自信を持てるようなギタリストになることが来年の目標です。

──ワキタさん、ソングライターとしての目標はいかがですか?

ワキタ 今までのちゃくらの曲は自分の実体験そのままだったんですけど、今後は例えば1本の映画を観て思ったことを書くとか、自分の実生活以外のことも表現してみたくて。

サクラ 視野が広がると表現の幅も広がって、そこに描かれることも変わってくるだろうから、これからが楽しみになってきました。いつでも「サクラにこれを歌ってほしい」と思ってもらえるようになりたいです。

公演情報

「ちゃくら全国侵略大作戦 ~もう一人にはしないよ編~」

2024年11月28日(木)東京都 渋谷CLUB QUATTRO

プロフィール

ちゃくら

2022年6月に結成された、サクラ(Vo, G)、まお(G)、ワキタルル(B, Cho)、葉弥(Dr, Key)からなるガールズロックバンド。2022年12月に1stシングル「海月(Demo ver.)」を配信リリース。「海月」のミュージックビデオの再生数は50万回を突破している。2024年11月に初のCD作品「こんなとき聞きたくなるのはきみのこえだ」を東京・渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブ会場で発売。