ナタリー PowerPush - COMEBACK MY DAUGHTERS
メンバーチェンジが引き出したバンドの本質「Mira」
日本語詞を書いた理由
──一方の高本さんはソングライターとして、「21 years old」「Please, Please, Please 」「Tornado」「El Dorado」で初めて日本語詞を書かれていますよね。
高本 このバンドらしさを今後磨いていくには母国語である日本語で歌うことで、自分たちらしさを一番いい形で突き詰めていけるんじゃないかなという考えのもとでのトライです。「Tornado」は戸川の作詞です。楽曲に関しては、今まで作ってきた音楽のよさを再度提示すること、そして自分が好きな音楽をどう曲に反映させるか……例えば「21 years old」のドゥーワップ的な要素であるとか、「Steal her lips」のスワンプロック的な要素であるとか、そういう自分の好みを色濃く反映させつつそこに別の要素を加えるっていう、自分の中でのちょっとした実験でしたね。
──不在のキーボードは高本さんと松原くんが担当されたわけですが、ストリングスをキーボードで置き換えたサウンドが楽曲のスケール感を広げています。
高本 助かったのは、状態のいいビンテージ機材が向こうのスタジオに揃っていたことですね。僕らは生音志向のバンドなんで、そういったビンテージ機材を鳴らしてみるとやっぱり「この音最高だな」ってことになりますし。ストリングスも生音は生音で最高なんですけど、僕はキーボードで置き換えたストリングスのサウンドに感じられる洋楽感が大好きなんですよね。だから、そういう音を出すためにキーボードのこのボタンを押すか、それともあっちのボタンを押すか、わからないながらに試行錯誤して音を作った感じですね(笑)。
──それからTHE BEACH BOYSを思い起こさせる「21 years old」やビデオクリップも制作したリード曲の「Alone in the dark」など、今回のアルバムは夏を意識させる作品でもあるように思いました。
高本 今回はレコーディング中のいろんなタイミングで「リリースは夏だしね」っていう話になったんですよね。まあその先の会話は続かなかったんですけど(笑)、おそらくはみんなの頭の片隅に夏リリースということがあったんじゃないかな。
戸川 そういう会話の中で“海”っていう言葉が出てこなかったので、僕としてはホッとしたんですけどね。だって、メンバーには海に行ってる奴はいませんからね(笑)。
このバンドを続けることが理想郷
──しかし、こうやってアルバムのお話を伺っていると、前段階では混沌としていた今回のレコーディングは充実した時間だったんだな、と。
戸川 まあ、この4人でバンドを続けていくと腹をくくったことで、好き放題やることができたんでしょうね。しかも、今回は2度目のニューヨークレコーディングだったので、前回締めすぎてしまったところを解放できたことも大きいと思います。
CHUN2 俺の場合は、前回もそうだったんですけど、今回も着いた初日にKマート(大型スーパーマーケット)で服を買って。その時点で下着から何から着るものがすべてアメリカ産になるんです(笑)。それでテンションがアガっちゃってる上に、みんなと一緒にいられるし、いやもう満足な20日間でしたね(笑)。
高本 言ってることがアホすぎる(笑)。
──ははは(笑)。バンドのオフィシャルTumblr(ブログ)の写真を見たら、行きの空港ではハッピ着てるし、帰りの空港はリムジンで。相当に満喫しちゃった感じですよね。
戸川 (笑)。あのリムジンは、最終日にホテルのロビーでラテン系の受付の人に「この人数で空港に行きたいから、タクシーを2台呼んでほしいんだよね」って頼んだら、「わかった。今から呼ぶよ」ってことになって。でも、待っていてもなかなかタクシーが来ないんですよ。そうしたら、やって来たのがあの車体の長いリムジン。「タクシー2台ぶんの規定料金を払うなら、こっちがいいだろ?」っていうことだったんですけど、うちらは荷物も山ほどあるし、リムジンの天井も低いので、結局、荷物と人でぎゅうぎゅう詰めになった状態で空港に行きましたよ(笑)。
──そんな紆余曲折あったニューヨークレコーディングと今回のアルバム「Mira」の制作を通じて、改めてCOMEBACK MY DAUGHTERSとはどんなバンドだと考えましたか?
高本 今まで自分の曲は受け手それぞれで解釈が違っているのがいいなと思っていて、今でもその考えは変わっていないんですけど。メンバーが抜けて、レーベルも移籍して「それでも僕たちやるんです」という思いは、こうやってインタビューを通じて話してもすべてを伝えきれないだろうし、その言葉にしても受け取り方はさまざまじゃないですか。だから、その思いを曲として記しておきたいなと思って、今回、最後の曲「El Dorado」を書いたんです。“El Dorado”というのは“黄金郷”という意味なんですけど、ここで歌っているのは「僕たちにとって、このバンドを続けることが理想郷なんです」ということ。うん、だから、今の僕たちにとってCOMEBACK MY DAUGHTERSはそんなバンドですね。
収録曲
- Cold Audiences
- 21 years old
- Please, Please, Please
- No One Knows
- Meatpacking
- Steal her lips
- Alone in the dark
- Tornado
- sciolism
- Just leave me be
- Cherry blossoms
- El Dorado
COMEBACK MY DAUGHTERS緊急Ust生特番「カウントダウンSP」
配信日時:2013年7月3日(水)21:00~23:00(予定)
配信URL:CBMD0703 @ Ustream.TV - . 無料ライブ配信
ハッシュタグ:#cbmd_ust
<出演者>
COMEBACK MY DAUGHTERS / 加藤ひさし(THE COLLECTORS)
MC:ネルソン・バビンコイ
「Mira Tour」
- 2013年9月5日(木)東京都 東京キネマ倶楽部(ワンマン)
- 2013年9月12日(木)愛知県 名古屋APOLLO THEATER(ワンマン)
- 2013年9月13日(金)大阪府 世界館(ワンマン)
- 2013年11月1日(金)宮城県 仙台CLUB JUNK BOX
<出演者>
COMEBACK MY DAUGHTERS / FRONTIER BACKYARD - 2013年11月2日(土)岩手県 盛岡CLUB CHANGE
<出演者>
COMEBACK MY DAUGHTERS / FRONTIER BACKYARD - 2013年11月9日(土)栃木県 宇都宮HEAVEN'S ROCK VJ-2
<出演者>
COMEBACK MY DAUGHTERS / FRONTIER BACKYARD
COMEBACK MY DAUGHTERS
(かむばっくまいどーたーず)
1998年結成。2000年8月に初音源となるアナログ盤「HOME OF THE SUN」を自主レーベルからリリースし、自主企画イベントも積極的に開催。2004年4月に1stアルバム「SPITTING KISSES」をリリースし、琴線に触れるメロディと強固なアンサンブルが幅広い層の支持を集める。2013年7月3日、古巣のPIZZA OF DEATH RECORDSを離れて日本コロムビアより通算5枚目のニューアルバム「Mira」を発表。メンバー脱退や加入を経て、現在は高本和英(Vo, G)、CHUN2(G)、戸川琢磨(B)、松原圭甫(Dr)の4名で活動している。