音楽ナタリー Power Push - BULL ZEICHEN 88
10年経っても変わらない絶対的な信頼関係
憎たらしい部分も含めてメンバーを愛おしく思える
──BULL ZEICHEN 88は今年で結成10周年を迎えられたわけですが、この10年で変わった部分と変わってない部分はどんなところですか。
淳士 この10年間というのは、改めてすごく濃い時間だったと思います。当然、考え方は10年分大人になったし、すごく柔らかくなった部分があることも、自分自身よくわかるし。もちろん、すべていい意味でなんですけど。そもそも10年前は、「傘」みたいな曲は作らなかっただろうし、ここまでメンバーに感謝とかしなかったから(笑)。今は憎たらしい部分も何もかもすべて引っくるめて、メンバーを愛おしい存在だと思える自分がいる。それが大きな変化です。
──そこまでの信頼関係を築けたということでもありますよね。
淳士 そうですね。もともと僕は絆だの情だのを重視する暑苦しい人間なんです(笑)。IKUOくんとも「絶対にこのメンバーで続けよう」という話でBULL ZEICHEN 88を始めたし、メンバーが誰か辞めると言い出したら解散しようというところでも意見が一致していました。僕らはバンド内での人間関係を一番大事にしていて、いい意味でお互い気を使うし、プライベートにも干渉しない。それが長く続いた一番の秘訣かもしれないですね。あと、うちのバンドって血液型が全種類いるんですよ(笑)。
──それは珍しいですね。
淳士 そうなんです。だからいい感じでバランスが取れてるのかな? でも何よりプレイヤーとして尊敬し合えてきたことが大きいと思います。そこが一番変わってない部分ですね。
栄二郎 僕もその部分については変わってないです。僕はこのバンドに入ったときから、淳兄とイク兄に「こいつ俺のバンドのボーカルだぜ」って胸を張って言ってもらえるようにがんばってきたんです。世の中には、すごいミュージシャンがいっぱいいますけど、僕の中では、淳兄とイク兄にカッコいいと言ってもらえたら、もうそれでいいとさえ思っていて。結成当初から自分のスタンスはあんまり変わってないんです。この10年の間には、うまくいかないことが何度もありましたけど、メンバーに対する信頼だけは絶対に揺るがなかったですね。
淳士 この10年で、メンバー4人の中だと確実に栄二郎が一番伸びてるんです。ボーカリストとしてもパフォーマーとしても。そこは素直に、「お前スゲえよ」って言うしかないです。最初の頃はライブでのMCも全然ダメで、コール&レスポンスをするときもお客さんのリアクションを待てずに、すぐワーッてしゃべっちゃったりして(笑)。当時は、「お前、もうちょっとなんとかしろよ」って、IKUOくんと一緒に説教してました。BULL ZEICHEN 88の活動スピードがどんどん速まっていったから、僕らは彼の成長をじっくり待っていられなかったんです。だから、あの手この手で成長を促して。それこそ、すごくおだてる期間を設けてみたり、調子に乗りすぎてきたら逆に怒ってみたり。これ、栄二郎は初耳だと思うんだけど(笑)。
栄二郎 マジで! それは聞きたくなかった(笑)。
淳士 ははは。でも栄二郎自身、いっぱい研究したと思うし、だんだんライブの盛り上げ方も覚えていって。今ではバンド引っ張ってくれる存在になりました。
──こうしてお話を伺っていても、皆さんが楽しみながらバンド活動に取り組んでいることが、ひしひしと伝わってきます。
淳士 今はホントに楽しいですよ。メンバー全員、常に切磋琢磨しあえる関係にあるし。
栄二郎 「もっとやれよ」って、10年経っても言えてるところが面白いなって。たぶん、もっと若かったら、相手に対する不満が爆発して「もう、こんなヤツとやりたくねえ!」って解散してると思うんです。だけど、それもなくお互いケツを叩き合いながら続けられてる、この関係性がBULL ZEICHEN 88のサウンドにも絶対に表れてると思うんです。
淳士 自分も、ほかのメンバーと比較されて「最近、淳士ダメだよね」とか言われたらアウトじゃないですか。そこは僕なりにちゃんとセルフプロデュースをしながら、いろんな主張の仕方をしてるし、みんなそれぞれの形でがんばってます。
──いい意味でのバチバチ感もあると。
淳士 もちろんあります。それってバンドに絶対必要なものなので。
ありのままのBULL ZEICHEN 88を見てほしい
──では、10月26日から行われる全国ツアー「BULL ZEICHEN 88 10th Anniversary Tour『BULL ZEICHEN 傘傘 ~カッサカサだぜ要保湿~』」についても聞かせてください。
栄二郎 今まで北海道、九州、広島とか、10年間やってて1度も行ったことないので、各地のファンの皆さんに、やっとBULL ZEICHEN 88を見せられるぞっていう喜びがありますね。
淳士 実は結成10年目にして初の全国ツアーになるんです。新曲はもちろん、これまでの鉄板曲もたくさんやって、濃い内容のライブにしたいですね。
──そして、12月28日にZepp DiverCityで開催される、10周年記念のワンマンライブ『BULL ZEICHEN 88円 ~おごるぜマジで~』ですが(参照:BULL ZEICHEN 88、10周年記念シングル携え88円DiverCity公演)、入場料金が88円というのはインパクトがありますね。
淳士 おかげさまでソールドアウトになりましたけど、88円にしてソールドアウトしなかったらそれこそ解散ですよね(笑)。ただ、チケットが売れるにつれて赤字になるっていう(笑)。タダにしちゃったほうが、チケット販売の手数料がかからないので全然安上がりなんですよ。でも、ここで88という数字にこだわって、「この人たち馬鹿じゃないの?」って印象を残すのがBULL ZEICHEN 88らしいんじゃないかっていう。そこは全員意見が一致しました。でも、「実際にこのぐらいの赤字になります」っていうのを見たときは、みんな引きましたけど(笑)。
──ライブ自体は、ツアーとはまた違う内容になるんですか。
淳士 そうなると思うんですけど、大がかりな仕掛けを設けたりせず、ちゃんと普通にライブをやろうと思ってます。まだ内容は全然詰められていないんですけど、BULL ZEICHEN 88のよさを出せるようなライブをしたいなって。10周年だからって変に凝るよりも、今のありのままのBULL ZEICHEN 88を見てほしいし、来てくれたら絶対に損はさせないんで。一緒に楽しい夜にしましょう!
栄二郎 88円分は楽しませます! ……っていうのは冗談ですけど(笑)。ファンの中には、10年の間に結婚したりいろいろあってライブに来れなくなったりした人もいると思うんですけど、今回のライブには、そういう人たちに「ひさびさにBULL ZEICHEN 88のライブを観に行ってみよう」って、軽いノリで来てもらいたいんです。来てくれたからには絶対に楽しませる自信はあるので。ぜひ楽しみにしててほしいですね。
淳士 あと、おひねりも大歓迎です!(笑)
CD収録曲
- 傘
- Who am I
- I.B.Z
DVD収録内容
- メイキング映像
BULL ZEICHEN 88 10th Anniversary Tour「BULL ZEICHEN 傘傘 ~カッサカサだぜ要保湿~」
- 2016年10月26日(水)
- 東京都 CLUB PHASE
- 2016年10月27日(木)
- 新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2016年11月6日(日)
- 宮城県 darwin
- 2016年11月8日(火)
- 北海道 cube garden
- 2016年11月16日(水)
- 愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2016年11月17日(木)
- 大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- 2016年12月8日(木)
- 広島県 SECOND CRUTCH
- 2016年12月9日(金)
- 福岡県 BEAT STATION
「BULL ZEICHEN 88円 ~おごるぜマジで~」
- 2016年12月26日(月)
- 東京都 Zepp DiverCity TOKYO
BULL ZEICHEN 88(ブルゼッケンハチハチ)
栄二郎(Vo)、sebastian(G)、IKUO(B)、淳士(Dr) による4人組ロックバンド。淳士とIKUOが中心となり2006年に結成。2007年4月に1stシングル「Infinity」をリリースし、テクニカルなプレイとヘヴィかつキャッチーなメロディが融合した独自のサウンドで注目を集める。以降、コンスタントに作品を発表。2017年10月にニューシングル「傘」をリリースした。10月26日の東京・CLUB PHASEを皮切りに全国8都市を回る10周年ツアー「BULL ZEICHEN 傘傘 ~カッサカサだぜ要保湿~」を実施。12月26日には88円という破格のチケット料金が話題を呼んだワンマンライブ「BULL ZEICHEN 88円 ~おごるぜマジで~」を開催する。