超特急×高田漣|異色の交わりが生んだ新しいダンスミュージック 高田漣の“実験”と超特急の“挑戦”

ちょっとした手間が生活の中にあるのは豊かなこと

──また今回の楽曲は配信に加えて、高田さんの歌う「ソレイユ」セルフカバーとのスプリットアナログ盤がリリースされますが、アナログで超特急の曲が聴けるのは初めてですね。

カイ

カイ そっか、そうですね。しかも12inchですしね。

タカシ すごくうれしいですよ。いろんな人に聴いていただけるチャンスだなとも思いますし。僕個人のことで言うと、親がレコードを集めていて、ラッツ&スターのレコードとかたくさん持っていたんです。だから小さい頃の思い出も頭の中に巡ります。ジャケットを見るだけでもワクワクすると思う。早く手にしたいです。

──これを機に初めてアナログ盤に触れるという8号車(超特急ファンの呼称)さんもきっと多いんじゃないかなと思うのですが、高田さんが思うアナログならではの音楽の楽しみ方、みたいなものはありますか?

高田 レコードを聴くときって、ちょっと気持ちがシャンとするんですよね。アナログ盤って、ポイッと乗っけたりできないじゃないですか。

ユーキ そうですね。

高田 レコードの上に針をちゃんと置いて……というような作業が、茶道の世界みたいなものと通じるような。いい意味の緊張感があって、僕はそういった作業や感覚が好きですね。朝起きてインスタントコーヒーを飲むのか、自分でドリップしたコーヒーを飲むのかの違いもそう。そういうちょっとした手間が生活の中にあるのは豊かなことのような気がしていて。なので超特急のファンの方でアナログプレーヤーを持っていない方はプレーヤーも買って、レコードを聴く楽しみも一緒に見出してくれたらうれしいなと思いますね。

──ありがとうございます。ではせっかくなので、超特急の皆さんから高田さんに聞いてみたいことなどありますか?

高田 くだらないことでもなんでもいいよ。

タクヤ

タクヤ 高田さんは何時に寝ていますか?

高田 いい質問ですね。僕めちゃくちゃ寝るんです。なのに、いつも眠いんですよ(笑)。

タクヤ めちゃくちゃ寝るのに?(笑)

高田 朝は5時くらいに起きるの。みんな若いから寝ていられると思うけど、だんだん寝られなくなってくるんですよ(笑)。だから早い時間に起きて、休みの日には昼寝を2回くらいする。それでも眠いんで、夜は10時くらいに寝るかな。

リョウガ 早い!

高田 朝は7時くらいから仕事や書き物をするんだけど、それがすごいはかどるんですよ。町が静かな時間にやるほうが気分がいいので、年々そうなっていってますね。

タクヤ すごいですね。僕は寝るのが遅いんですけど、ミュージシャンの皆さんはだいたい夜行性で、夜に歌詞や曲が浮かぶのかな?と勝手に想像していたので。まさか朝から作業されているとは思ってもいなかったです。ビックリしました(笑)。

高田 確かに、同業者は夜行性の人のほうが多いかもしれないね。

皆さんが思っている以上に音楽のことしか考えていないんです

カイ じゃあ、好きな女性のタイプは?

高田 いいね(笑)。子供の頃から一番好きなのは宮沢りえさん。

超特急 へえー!

高田 好きすぎてサンタフェに行ったこともありますから(笑)。幸い一緒にお仕事をさせてもらうこともあったんだけど、いい意味ですごく男らしいというか。素敵な方です、とても。同い年なんですよ。

カイ そうなんですね!

ユースケ

ユースケ あの、僕もいいですか? 音楽ができない人でもすぐにできる楽器はありますか?

リョウガ なんの相談?(笑)

カイ 質問じゃなくて相談だよ(笑)。

高田 いずれ披露されるかもしれないってこと?

ユースケ 僕、作詞作曲をやらせてもらったことがあるんですけど、編曲はまだしたことがないんです。初心者でもすぐに始められる楽器とかがあったら、もっと身近に僕たちからの発信ができるかなと思って。何をすれば近道じゃないですけど、もっと音楽作りが身近になるのかなって。

高田 なんだろうなあ。まず1つは楽器のことじゃないんだけれど、僕らミュージシャンってきっと、皆さんが思っている以上に音楽のことしか考えていないんです。だから音楽に費やしている時間はすごく長い。あともう1つ言えるのは、皆さんが想像している以上に練習もしているんですよ。天から降りてきたメロディのおかげでいい曲ができて、ステージ上では音楽の神が宿って素晴らしいギタープレイをして……なんて思われがちだけど、いい曲もいい演奏も、日々のちょっとしたことの積み重ねの表れで。練習しないとどんどん下手になりますし、案外近道ってないんですよね。だってほら、皆さんもダンスはずっとやり続けないとダメになるでしょう? それと同じで、音楽も思った以上に努力のハードルは高いと思います。でも、これはなんでもそうだけど、あきらめずにやり続けたら絶対にできるんですよ。楽器はどんな人でも必ず弾けるようになる。だからユースケくんが今持っている「弾きたい」とか「音楽に携わりたい、作ってみたい」という思いのほうが大切な気がしますね。

ユーキ

ユーキ 確かにアクロバットなんかも最初からできたわけじゃないし、全部基礎から練習を続けて、それがいつか応用になってできるようになりました。「最初からできてる」というふうに見られがちですけど、時間をかけて努力してきたことがあるなって、今お話を聞いて思いましたね。

──周囲の想像よりも練習や準備を重ねている、という点は超特急のライブ作りにも言えるのでは? 皆さんすごく時間を費やしてステージを作り上げていますよね。

ユーキ そうですね。ただやればやるほど「時間が足りない」って思いますけどね(笑)。

超特急のみんなはその先にあるものをちゃんと見れている

──では最後に高田さん、今回プロデューサー的な立場で6人と関わって、超特急というグループに対して感じたことがあれば。

高田 教えられることがたくさんありました。本当に、年齢やキャリアは全然関係なくて。超特急のみんなが「ソレイユ」という曲をこれからリリースして、歌ってダンスを踊っていくんだなっていう、そういったプロセスを考えると……僕は普段「作ること」に興味があったんだなと。作ったあとのことって、ないがしろにしている部分が多かったんだなと今になって思うことがあって。でも、みんなはこれから「ソレイユ」を、1人ひとりに伝えていくわけですよね。本当はそこが一番大事なんだよな、と。あっという間の時間ではあったけど、みんながスタジオに来て楽しそうにやっていた、その姿の先にたくさんのお客さんが見えた。それが自分としては新鮮な経験でしたね。1人でレコーディングしていると、どうしても自分との戦いに終始してしまいがちなんです。だけど超特急のみんなはその先にあるものがちゃんと見えているんだろうな、という気はしました。今この瞬間もきっとそうだろうし。そこはすごく勉強になりましたね。

ユーキ 恐れ多いです。

カイ

カイ 超特急としては今までにない曲を高田さんにいただいて。グループとしての楽曲の幅はもちろんですけど、表現の幅も広がるなと思いました。この曲に合わせて踊るのがすごく楽しみですし、どんな振りになるかは現時点では全然想像がつかないけど、8号車のみんなに観てもらうのも楽しみです。すごく素敵な曲をいただいたから、今までよりももっと、自分たちの1曲1曲を大事にできそうな気もします。あとこれはお伝えしておきたいんですけど、高田さんって年齢不詳だなって……。

ユーキ そう、わからない!

高田 あはははは!(笑)

カイ レコーディングスタジオでお会いしたときからずっと思ってました。

タクヤ 今日、宮沢りえさんと同い年だってわかった(笑)。

カイ とにかく(笑)、僕らの表現の幅が広がるし、超特急を見つめ直すきっかけにもなりました。

リョウガ

──ステージでの共演も期待してしまいますね。

リョウガ ぜひお願いします!

高田 あの、踊るほうじゃなければ。

超特急 あはははは!(笑)

カイ それはどうかなー?(笑)

ユーキ まさかの? どういうオファーの仕方なの(笑)。

カイ 万が一にもないので、安心してください!

超特急、高田漣。

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