ナタリー PowerPush - BUGY CRAXONE
ポップな新境地「Joyful Joyful」
15年やってきたっていう実感は全くない
──15年のキャリアを持ったバンドがこういう突き抜けた作品を作れるというのは、ある意味すごいことだと思うんですが、そのあたりの感慨みたいなものはありますか?
鈴木 でもこれ出すまでに4年も空いてるし、15年やってきたっていう実感は全くないですね。15年やっててすごいですねって言われればそりゃあ光栄だけど、自分では全然ピンときてない。
──これだけ長くバンドをやっていると、第1期、第2期みたいなシフトチェンジのタイミングが何度かあったと思うんですけど、ブージーにとって最初のターニングポイントはどこだったんでしょう?
鈴木 最初はビクター辞めて自分たちで始めるってなったときじゃない? バンド組んで東京に出てくるまでがあっという間だったから、いわゆるアマチュア活動とかインディーズ活動みたいなものはほとんどしてなかったんですよね。東京出てきていろいろ経験して、で、メジャー契約終わって自分たちでやるってときにすごく変わったような気がする。
──自主レーベル「ZubRockA RECORDS」を設立したのが2003年ですよね。今は自分たちでレーベルやったりマネジメントをしたりするバンドも多いですけど、当時はだいぶ珍しかったのでは?
鈴木 いや、でもインディーズがすごい流行ってたときだったから、それほど茨の道を開拓するわけでもなくて。
笈川 面白がって力貸してくれた人は結構いたもんね。ただ、楽しかったけど最初は何もかもわかんないからたいへんだった。
旭 忙しすぎて鼻血出したっていう。
笈川 そうそう、リハ中に何もしてないのに鼻血出て。
鈴木 どの時期も楽しんでやってるけど、手応えはそのへんから強くなってますよね。いろいろわがまま言いながら、自分の好きな感じで物事を進めるっていうのは、やっぱ規模は当然小さくなるけど、ZubRockAのときからすごく強くなったかな。
誰か1人でも欠けたら解散って思ってたけど
──じゃあZubRockA時代が第2期だとして、第3期はいつから?
笈川 それは増子(直純 / 怒髪天)さんに声かけてもらって、Northern Blossom Recordsでやるようになってからですね。
鈴木 ずいぶん経歴があべこべだなって思うよね。
──あべこべっていうのは?
鈴木 普通はインディーズでちゃんとやってからメジャーデビューするわけでしょ。私たちは逆だから。バンドもほとんど固まってないのにボーンって出てきてて。そのくせにいろいろ経験できてるのは、すごいラッキーだなって思う。周りに恵まれてるね、やっぱり。
笈川 ドラムはいないけど(笑)。
旭 いないけど、それがちょうどいい。三角形みたいな感じ。いびつかもわからんけど、今はちょうどいいバランスで。
──モンチ(Dr / 2004~2009年在籍)さんが抜けたのは当時のバンドにとってかなり大きな出来事だったと思うんですが、結局3人で続ける方向を選びましたよね。
鈴木 モンチが抜けるまでのあの4人でやってた感じって、私には初めてのバンド経験に近かったっていうか、歳もわりかし近くて、自分たちだけでツアーもやって、そういう意味でも仲間意識みたいなのがすごくあって。だから4人でやってたときは、このうち誰か1人でも欠けたらもう解散かなって思ってたんだけど。
──でも解散しなかった。
鈴木 うん、モンチに「辞める」って言われたときに「でも解散はしない」ってそのとき思った。「なんでこっちが辞めなきゃいけないんだ!」って(笑)。そう思ったのは自分でも意外だったけど、もう続けるしかないなって感じだったから。
笈川 バンドなんて好きでやってることだからね。無理だって白旗上げる人がいたらそれはしょうがない。じゃあ残ったメンバーで何ができるかっていうことを考えるしかないし。
鈴木 それでバンドの歩みが遅くなるっていうのはわかってたから、じゃあできることをやろうっていう感じで、その頃はひたすら練習してましたね。書けなかったジャンルの曲の歌詞を書けるようになろうとか。
──そうした経緯を経て今に至るわけですが、どうですか、バンドが一歩ずつ成長してるという実感はありますか?
笈川 成長なのかわかんないけど、まあちゃんとやってる。いや、ちゃんとかどうかわかんないけど、どうにかやってるつもりです(笑)。
CD収録曲
- ハレルヤ
- レモンジュース
- ボクを信じて
- パーフェクト
- マンハッタン ストーリー
- アイム ノット ファニー
- ラブリー
- ロンリーハート・フルーツグミ・サンデーパーク
- ファミリー ルール
- トゥディ
- オーライ
- ガーデン
BUGY CRAXONE(ぶーじーくらくしょん)
1997年に結成された北海道出身のロックバンド。札幌での活動を経て、1998年9月から活動拠点を東京に移す。1999年12月にシングル「ピストルと天使」でメジャーデビュー。ハードでメロディアスなサウンドを特徴とし、ライブハウスシーンを中心に支持を得る。2003年からは自主レーベル「ZubRockA RECORDS」を設立し、インディペンデントな活動を続ける。2007年9月に増子直純(怒髪天)主宰の新レーベル「Northern Blossom Records」とタッグを組み、2008年に「Good morning, Punk Lovers」「Hello, Punk Lovers」という2枚のアルバムを発表。2012年6月に4年ぶりのオリジナルアルバム「Joyful Joyful」をリリースした。現在は鈴木由紀子(Vo, G)、笈川司(G)、旭司(B)の3名にサポートドラマーを加えて活動中。