ジャンルをクロスオーバーさせるブッキング
大木 過去のラインナップの中でも、2011年の組み合わせは興味深くない?
MC Boo その年を振り返って「ストリート系とヴィジュアル系を初めて一緒にしたのはBooちゃんだよね」ってよく言われる。まず、ストリート系とヴィジュアル系ってチケットの値段が全然違うんだよ。
大木 ストリートのほうが安いんだ?
MC Boo そう。だから、ヴィジュアル系に合わせて価格設定すると、それまでのストリート系よりも高めになってしまう。それでもいいから、まずはやってみようということで、SADS、PTP、MIYAVI、プラトゥリ(Plastic Tree)、マンウィズという組み合わせになったんだよ。ラインナップ的にPTPはヴィジュアル系でも通用するバンドだったし。
JESSE Kはもともと、ヴィジュアル系寄りのバンドもやってたもんね。
大木 俺は学生時代、ヴィジュアル系にカテゴライズされる音楽に対して苦手意識があったんだけど、音楽を生業にするようになってからちゃんと音源を聴くと、めちゃくちゃカッコいいことをやってるんだって気付いた。
JESSE わかる。そうなんだよね。
MC Boo そういうこともあるから、ジャンルの隔たりをなくしたかったんだ。それこそRIZEも出てくれた2009年の「Boo Xmas」では、ワンオクに対してアイドルバンドっていうレッテルを貼ってるやつもいたからね。俺は自分の番組でワンオクを特集することになって、じゃあライブを観に行かなきゃってことで足を運んでみたら、確かに客席には女の子がたくさんいてキャーキャー言ってるけど、ライブ自体は森ちゃん(Taka)の声の強さとかバンドの演奏力の高さ、曲のよさも相まって、全然アイドルバンドじゃなかった。それで「Boo Xmas」の最後の枠にワンオクを入れたいと思って、すでに出演が決まっていた各バンドに「ONE OK ROCKを入れたいんだけどいいかな?」って確認をとったら、みんなが「Booちゃんがいいと思うバンドなら全然いいんじゃない」と言ってくれて。
大木 Booちゃんは気になるバンドがいたら実際に現場へ足を運んで、その感想をシェアしてくれるから、僕らも知識をアップデートして「じゃあ今度聴いてみよう。ライブを観てみよう」ってなるんだよね。逆にダメなバンドのどこがよくなったかもはっきり言ってくれる。誰かの顔色を気にするようなことはしないし、ストリート系だから、ヴィジュアル系だから、アイドルだからとジャンル云々を判断基準にしてないから、ちゃんと筋が通っていることが伝わるんだよ。
MC Boo そのジャンルのミックス感覚が早すぎて興行としては失敗することもあるんだけどね(笑)。でも、2009年の「Boo Xmas」をきっかけにワンオクとcoldrainが出会って今ではコラボしてる、というのは感慨深いよ。
大木 Booちゃんは常に10年先を見てるんだろうね。
「Boo Night」の役割
大木 いろんな物語が詰まった「Boo Night」が、この年末に9年ぶりに復活すると。前回からけっこう間が空いたね?
MC Boo 周りからはずっと「そろそろやれよ」って言われてたんだけど、コロナ禍があったりでタイミングが合わなかったんだよ。でも、今回いいお話をいただいて、満を持してツアー形式で再開することになった。
大木 現時点(取材は11月中旬実施)では最終日の大阪だけ出演者が未発表だけど、もう決まってるの?
MC Boo もうすぐ発表できると思うので、楽しみにしてて。あと初日の名古屋はTHE ORAL CIGARETTESとSPYAIRなんだけど、この2組の対バンは初めてなんだ。俺、やったことない同士をくっつけるのが好きなんだよね。
JESSE 結局、「Boo Night」ってそういう者同士をつなげる役割なんじゃない?
大木 ホントそうだよね。福岡はThe BONEZとDragon Ashじゃなくて、RIZEとThe Ravens。このタイミングで「Straight Up」をやらない組み合わせっていうのもいいよね。
JESSE うん。しかも、ちょうどこの取材の前にもう1組の出演者であるモンパチとフェスで共演して、キヨちゃん(キヨサク)とも熱い話をしたばかりだから、本当に楽しみにしてる。
大木 いいなあ。俺も福岡、出たかったなあ。
JESSE 東京も「これぞ『Boo Night』」っていう熱い組み合わせじゃん。
大木 もちろんそうなんだけど、地方で飲みたいんだよ(笑)。
JESSE 打ち上げの話じゃん!(笑)
大木 だって、俺がJESSEと仲よくなったのって打ち上げのおかげだから。
JESSE ああ、RED WINGのブーツがなくなった事件ね(笑)。
MC Boo え、そんなことあったの?
大木 10-FEETがよくネタにしてくれるんだけど、「Trinity Trip」で福岡に行ったとき、打ち上げで俺が履いてたRED WINGが盗まれて。それでTAKUMAが「大木、俺の靴を履いておけ」と言ってくれて。まだ仲よくなりたてなのに、TAKUMAが裸足でブーツを探しに出て行ってくれて、「なんていい奴なんだ」って泣きそうになっていたら、「あったぞー!」って戻ってきて。「マジで?」と思ったら、マジックで「レッドウィング」って書いたスリッパを持ってきた(笑)。
MC Boo さすがだね(笑)。
大木 で、JESSEはJESSEで「俺はこんなナリでタトゥーもいっぱい入れてるし、めちゃくちゃ不良に見られるから、ポイ捨てとかもしないし、普段の生活にはちゃんと気を付けてる」とか言ってて、「なんてまっすぐなやつなんだ。こいつのこと好きだわ」と思ったんだよね。で、2軒目に飲みに行くことになって、誰かが店を探しに行っている間、ほかのみんなはタバコを吸って待ってたんだけど、「店決まりました!」って声がかかった瞬間、タバコをその場にポイっと捨ててさ(笑)。
一同 (笑)。
大木 「おい!」っていう(笑)。「ああ、間違った」って、すぐ拾ったけどね。そういうところ含めて、大好きなんだよ。
20周年はジャンルレスのフェス形式で
MC Boo 今日もこの取材をお願いしたとき、大木ちゃんに「JESSEとなんだけど、どう?」と聞いたら「今一番カッコいいと思ってるボーカリストだし、うれしい」って言ってたもんね。
大木 この間、フェスのトリでThe BONEZのステージを観たんだけど、本当に素晴らしかった。The BONEZのライブは何度も観てるけど、今は誰にも止められないくらいの勢いが伝わってくる。
JESSE 長く一緒にやってきた仲間にそう言ってもらえるのが、一番うれしいね。
大木 だから、今回別会場なのが寂しくて(笑)。
JESSE でも、「Boo Night」が始まってから20年近く経った今も、こうしてRIZEとACIDMANが残っていて、ともに出演できていることが一番うれしいけどね。
MC Boo 「Boo Night」はRIZEとACIDMANから始まって、最多出演者でもある2組が9年ぶりの復活ツアーにも出てくれて本当にうれしいよ。しかも、年末年始の忙しいタイミングにスケジュールを空けてくれてさ。
大木 ここからまた、定期的に続けていくの?
MC Boo 2027年でちょうど20周年になるから、そのタイミングでデカいことをやりたくて。俺、死ぬまでに一度でいいから自分主催のフェスをやってみたいんだよね。
大木 それ、ずっと言ってるよね。
MC Boo 今まで出てもらった人たちみんなに声をかけたら、ストリート系からヴィジュアル系、ダンスボーカルグループ、アイドルとジャンルレス中のジャンルレスなフェスが作れると思うんだよ。ライブが本当に素晴らしくて、ちゃんと血の通った人たちを集めた、自分にしかやれないフェスを作ってみたいので、そのためにも今回の「Boo Night Tour」は絶対に成功させるので、大木ちゃんもJESSEも協力お願いします!
公演情報
Boo Night Tour 2025-26
- 2025年12月17日(水)愛知県 Zepp Nagoya
<出演者>
THE ORAL CIGARETTES / SPYAIR / THE& - 2025年12月20日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
<出演者>
MONGOL800 / The Ravens / RIZE / THE& - 2025年12月27日(土)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
<出演者>
ACIDMAN / coldrain / MAN WITH A MISSION / THE& - 2026年1月23日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside
<出演者>
※後日発表
プロフィール
MC Boo(エムシーブー)
2003年にMTVのVJとして活動を開始。2007年には自らがプロデュースするライブイベント「Boo Night」「Boo Xmas」を立ち上げた。「Boo Night」は2017年以降、コロナ禍などの影響で開催が見送りとなっていたが、2025年12月に約9年ぶりに4都市ツアーとして復活する。
ACIDMAN(アシッドマン)
1997年に結成された、大木伸夫(Vo, G)、佐藤雅俊(B)、浦山一悟(Dr)の3人からなるロックバンド。2002年に限定シングル「造花が笑う」「アレグロ」「赤橙」を連続リリースし、2002年10月にアルバム「創」でメジャーデビューを果たした。2007年7月に初の日本武道館公演を開催。生命や宇宙をテーマにした独特の詞世界、静と動の両面を表現する幅広いサウンド、映像とリンクした演出を盛り込んだライブなどが高い評価を得ている。2024年1月に映画「ゴールデンカムイ」の主題歌「輝けるもの」をリリース。2025年3月よりワンマンツアー「ACIDMAN LIVE TOUR "This is ACIDMAN 2025"」を開催。10月にはニューアルバム「光学」とトリビュートアルバム「ACIDMAN Tribute Works」を同時リリースした。
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RIZE(ライズ)
幼馴染のJESSE(Vo, G)と金子ノブアキ(Dr)を中心に、1997年に結成されたロックバンド。2000年8月にシングル「カミナリ」でメジャーデビュー。楽曲に込められた熱量と圧倒的なライブパフォーマンスが支持を集め、多くのリスナーを獲得した。以降、ライブツアーを繰り返し、全米ツアー、アジアツアーを成功させるなど、ワールドワイドに活躍の場を広げている。2006年3月に金子の実弟・KenKenがベーシストとして加入。その後もRIZEとしての活動を展開しつつ、JESSEはThe BONEZのボーカル&ギター、金子はソロワークや俳優活動、KenKenは自身のバンドLIFE S ROOVEやさまざまなバンドのサポートメンバーとしても活躍する。


