bokula.の新たな扉が開くメジャー1stアルバム「MELT」、こだわりのプレイが光る自信作 (3/3)

えいの父親も大歓喜の「トラッシュミー」

──「トラッシュミー」からはTRICERATOPSへのリスペクトが強く伝わってきます。

えい わかりますか? トライセラ、好きなんですよね。

ふじい この曲のレコーディングに一番時間がかかった理由って、えい以外のメンバーがトライセラを通ってないからなんですよ。だから、どんなフレーズを持っていけばいいかわからなかったし。

かじ まずトライセラを聴くところから始めたもんね。

かじ(G)

かじ(G)

えい 同世代にトライセラが好きっていう人があまりいなくて。だからなのか、わりとおじさんたちと音楽の趣味が合うんですよ(笑)。そういう意味では、「トラッシュミー」は上の世代にアプローチできる大切な1曲なんじゃないかな。

──僕は皆さんよりもかなり上の世代ですが、この曲はドンピシャでした。

えい だと思いました(笑)。自分の父親からの影響が強くて、よく車の中でトライセラを聴いていたんですよ。ほかにもモーニング娘。、チャットモンチーもそうだし、BOØWY、BUCK-TICK、布袋寅泰さんやhideさん、X JAPANを聴いて育ってきた。Guns N' Roses、Extreme、Mr. Bigとか海外のハードロックも耳にしていたのかな。そういう……言っちゃうと“ナウくない”曲で育ってきたからなのか、若い人が好むような音楽を作ることに最初はちょっと抵抗がありましたからね。だから、今もなお「トラッシュミー」みたいな曲が自然と出てくるのかもしれないです。

──全体的に「Raspberry」を彷彿とさせるところや、最後の最後に飛び出す「FEVER」のリフなど、TRICERATOPSの楽曲をオマージュした遊び心を含めて、「トラッシュミー」はアルバムの中でもいいフックになっていると思いますよ。

えい 気付きましたか(笑)。うれしいなあ。あのフレーズ、ついつい入れちゃったんですよ。父親にも聴かせたんですけど、大歓喜でした(笑)。

もう1回丁寧に音楽を届けていく

──かつ、シンガーズハイの内山ショートさん(Vo, G)がゲスト参加した「magatama feat. 内山ショート」という、同世代にもしっかり刺さる曲も用意されている。

えい 内山とは普段からLINEでよく話していて、お互い「こういう曲ができたんだよ」ってデモを送り合っていたんですけど、その中でこの曲にめっちゃ反応してくれたんです。もともとはタイトルも含めちょっとふざけた曲だったんですけど、松崎さんと話したときに「各楽曲に意味を持たせるようにしよう」ということになり、LINEで内山と話し合ったストーリーもあるから、だったらフィーチャリングゲストとして参加してもらったら面白いんじゃないかと思いました。

えい(G, Vo)

えい(G, Vo)

──歌詞はえいさんと内山さんの共作になっています。

えい 劣等感みたいなものを歌っていて。最初は「自分、めちゃくちゃカッコいい曲書いてるけど本当は偏差値4」みたいな、けっこうイキっているような歌詞を書いたんですけど、内山をフィーチャーすることになって2人で話した結果、言葉遊び満載の歌詞になりました。「裂空」とか「点睛」とか、全部「ポケモン」の“ルビサファ”(「ポケットモンスター ルビー・サファイア」)に出てくる言葉ですから(笑)。そういう自分ら世代の遊び心も取り入れていて、歌っていても楽しいです。

──この記事が公開される頃には終了していますが、4月13日には地元・広島での主催フェス「ASOVIVA FES 2025」が行われます(参照:「時代を作りたい」bokula.が地元でドリアン、ふぉるて、アルステイク、シンガーズハイと競演)。前回のインタビューで「いつか広島でフェスをやりたい」とおっしゃっていましたが(参照:bokula.インタビュー|多彩なアレンジが光るEPの制作秘話、CDとサブスクの狭間世代にとってCDとは)、これはその第一歩なわけですよね。

えい そうですね、進歩であり課題であり。シンガーズハイにも出てもらうし、今から楽しみですね。

ふじい 長くやればやるほど、それまで見えなかった課題もしっかり見えてくるようになって、それを克服しようとしてみんなどんどん成長していけるので、まずはこういうイベントを続けていくことが大事なのかな。

えい 定着させてどんどん規模が広がるかどうか……まずは続けることですね。

──7月24日には「MELT」を携えた新たな全国ツアー「ジョーショーツアー」もスタートします。ツアータイトルにもありますが、バンドとしてここからどのように“上昇”していきたいと考えていますか?

えい 正直に言えば、今の自分たちにZeppツアーができるかと言われたら絶対できないし、日本武道館でワンマンができるかどうかと言われたらできない。最近は夢番地というイベンターが制作に入って、土台作りをイチからやり直そうと提案してくれたんですけど、そう言ってもらえたことに安心したんです。ここから再スタートじゃないですけど、ちゃんと全国各地に行ってbokula.の現状だったり本質を改めて知ってもらいたい。そのためにも、もう1回丁寧に自分たちの音楽を届けていかなきゃいけないなと思っています。

bokula.

bokula.

公演情報

bokula.「MELT」Release Tour ジョーショーツアー

  • 2025年7月24日(木)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
  • 2025年7月25日(金)群馬県 前橋DYVER
  • 2025年7月30日(水)北海道 SPiCE
  • 2025年8月1日(金)宮城県 enn 2nd
  • 2025年8月6日(水)熊本県 Django
  • 2025年8月7日(木)鹿児島県 SR HALL
  • 2025年8月19日(火)石川県 vanvanV4
  • 2025年8月20日(水)京都府 ROKA
  • 2025年8月26日(火)岡山県 IMAGE
  • 2025年8月27日(水)静岡県 Shizuoka UMBER

bokula.「MELT」Release Tour「チョーテンツアー」

  • 2025年10月18日(土)広島県 LIVE VANQUISH
  • 2025年10月19日(日)福岡県 LIVE HOUSE CB
  • 2025年10月25日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2025年10月26日(日)大阪府 BIGCAT
  • 2025年11月2日(日)東京都 Zepp Shinjuku(TOKYO)

プロフィール

bokula.(ボクラ)

広島を拠点に活動するロックバンド。2019年5月にえい(G, Vo)、かじ(G)を中心に結成された。2021年4月にLD&K内レーベルSTAY FREEEE!!!!!!!!より、初の全国流通盤となる1stミニアルバム「いつ失ってもいいように.」をリリース。2023年12月に配信シングル「最愛のゆくえ.」でTOY'S FACTORYよりメジャーデビューを果たし、2024年4月にメジャー1st EP「涙 滲むのは心の本音です.」をリリースした。2025年4月にはメジャー1stアルバム「MELT」を発表。7月から8月にかけて全国ツアー「『MELT』Release Tour ジョーショーツアー」を行う。