bokula.インタビュー|多彩なアレンジが光るEPの制作秘話、CDとサブスクの狭間世代にとってCDとは (3/3)

0歳児から持ち続けている感性を大事に

──えいさんが広い世代に向けた曲作りを意識したのはいつ頃から?

えい メジャーが決まってからですね。それまでは今の自分の感性を大事にして、今しか書けない曲を書こうと思っていたんですけど、TOY'S FACTORYのスタッフから「10年後、20年後も歌い続けられるような曲を作るといいよ」と言われたときにすごく腑に落ちた。確かに、10年前に聴いていた曲を今聴いてもいいなって思うことも多いし、それを自分にも当てはめたことで考え方が変わりました。

──ちなみに、歌詞を書くうえで影響を受けた人はいますか?

えい それは……ないに等しいかもしれないです。このアーティストのこの言葉が、このバンドのボーカルのこの言葉がすごく刺さって影響を受けた、というのはないかなあ。強いて言えば……一時期、TRICERATOPSがすごく好きで聴いていて。直接的じゃないけど歌詞に書かれていることがなんか伝わる感覚が好きで、そこの影響は受けているのかもしれないです。あと、ZARDも好きだったので、1990年代の音楽が下地にあるのかもしれないですね。

bokula.

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──なるほど。いい意味でそういう影響が見えなかったから、すごく気になっていたんですよ。自分の内面を吐露するような歌詞もあればちょっとボカしている感じもあり、さらに「怪火」みたいにトリッキーな歌詞もあるので、「この人はどういうところから影響を受けているんだろう?」って。

えい そうですよね。誰かの言葉を借りてとかではなく、自分が0歳児から持ち続けている感性を大事にできているのかもしれないです。

──それが歌詞のみならず、楽曲や作品のタイトルにおける個性的な言葉選びにもつながっているんでしょうね。

えい サブスクとかでパッと見たときに「何これ?」と思って、そのまま再生したくなるような、そういうタイトルにしたいと常に思っています。

──皆さんはえいさんから歌詞やタイトルが届いたとき、毎回どう感じていますか?

ふじい 僕はもともとHi-STANDARDとかパンクが大好きで、英語で何を歌っているかわからないけど語感がいいなと感じて、その流れでラップを聴くようになったんです。そこからラッパー特有のパンチが効いた楽曲ばかりを耳にしてきたので、えいの書く歌詞やタイトルに対しては胸を張って「いいよね、頭に残るよね」と、お客さんと同じように共感してます(笑)。

さとぴー デモが届いてタイトルを見たときに、「このタイトルはバラードか、アップテンポな曲なのか」と想像しています。僕はインターネット音楽を聴いてきたので、YouTubeとかニコニコ動画のサムネイルからどんな曲かをイメージして、その中から自分の好みの曲を探すことが多かった。そういう意味では、わりとタイトルは大事にしているところがありますね。

広島を代表するアーティストになりたい

──ちょっと話題は変わりますが、ライブを中心に活動していると、同世代のバンドと共演する機会も多いと思います。ほかのバンドから刺激を受けることもあるんでしょうか。

えい 同世代には見せ方や売り方がすごく上手だなと思うバンドも少なくないけど、自分たちには自分たちなりのやり方があって、そこに対して胸を張れているので、ライバル視はしてないです。「お互いのやり方でいいよな」みたいな、肯定的な気持ちで僕は見ています。

ふじい 以前はライバル的な考えを持っていたんですけど、ワンマンツアーを経て「これがbokula.だ!」っていう自分たち自身のライブを確立できたことで、今は全然なくなったかな。

bokula.

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かじ 僕は同世代バンドからの影響はないかもしれないです。それよりも、高校生の頃に聴いていた上の世代のバンドから受ける影響のほうが大きくて。自分が音楽を始める前から活動しているバンドが今も続けていると、経験値とかに対して「すげえな」と思うことが多いです。

さとぴー 昔はもっと対バンとかいっぱいして、近い距離で競い合っているところもあったんですけど、最近は憧れていた人から影響を受けることのほうが多いかな。

えい 周りからの影響よりも、最近はメンバーと一緒にいる時間や、ライブで起こるアクシデントに向き合うことの大切さを痛感しているところで。そういう意味では、やっぱり俺たちはライブに生かされているバンドなんだなと思います。

──結成5年という節目を前に、ここからバンドとして達成したい目標は何かありますか?

ふじい 俺は2つある。まず自分たちがフェスを主催すること。もともと、広島でフェスを作ることが夢だったんです。広島ではフェスがあまり開催されないから1回本気で調べてみたんですけど、広島の文化的な問題が理由らしくて。基本的に許可が下りにくいみたいなんです。なので、まずはその文化を変えていって、いずれ広島で野外フェスを開催したいです。あともう1つは……結婚したいです(笑)。

えいかじさとぴー (笑)。

ふじい 結婚できるようになるってことは、音楽で生活が安定することとイコールだと思っているので。その2つが大きな目標です!

えい なるほどな(笑)。今の広島での主催フェスにもつながるけど、俺は広島を代表するアーティストになりたい。「bokula.って売れてるよね。全国で人気だよね」と言われるよりも、「bokula.は広島の売れてるバンドだよね」と言われるほうがめちゃめちゃうれしい。なので、ずっと地元を大事にしながら活動していきたいです。

bokula.

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ツアー情報

bokula.「涙 滲むのは心の本音です.」Release Tour「僕らで時代を作ります。ワンマンツアー ~“じゃけぇ”ってすぐ言う編~」

  • 2024年5月31日(金)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2024年6月5日(水)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
  • 2024年6月9日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2024年6月19日(水)東京都 LIQUIDROOM

プロフィール

bokula.(ボクラ)

広島を拠点に活動するロックバンド。2019年5月にえい(G, Vo)、かじ(G)を中心に結成された。2021年4月にLD&K内レーベルSTAY FREEEE!!!!!!!!より、初の全国流通盤となる1stミニアルバム「いつ失ってもいいように.」をリリース。2023年12月に配信シングル「最愛のゆくえ.」でTOY'S FACTORYよりメジャーデビューを果たした。2024年4月にメジャー1st EP「涙 滲むのは心の本音です.」を発表し、5月から6月にかけてリリースツアー「僕らで時代を作ります。ワンマンツアー ~“じゃけぇ”ってすぐ言う編~」を行う。